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知床ツアー特集知床を知る

知床を知る

世界自然遺産知床。太古の火山活動によって形作られたこの地は、300種類近くの鳥類と30種類以上の哺乳類が生息する、まさに動物王国。そのスケール感は世界中のフォトグラファーを惹きつけてやみません。

四季

春/3月~5月

オホーツク海から流氷が姿を消す4月。森の木々はゆっくりと芽をふくらませ、雪解けの沢には黄色い花のエゾノリュウキンカなどがいち早く春の訪れを告げます。川では、孵化したサケ、マスの稚魚たちが先を争うように海へと向かいます。5月になると根室海峡には多くのシャチが現れ、ハシボソミズナギドリの大群が南半球からやってきます。

国後島をバックに、シャチのポッド(6月撮影)
夏/6月~8月

原生林の緑が濃くなっていく夏、野生動物たちは子育ての真っ只中。エゾシカやヒグマ、キタキツネが子連れで現れることもしばしば。海ではシャチやイルカ、マッコウクジラに出会えることがあります。8月下旬になると、産卵のため遡上するサケやマスを狙ってヒグマが河口近くに顔を出します。また、多くの観光客が訪れるこの季節、羅臼岳や知床連山も登山シーズンに入ります。

カラフトマスを獲るヒグマ(8月撮影)
秋/9月~11月

知床峠からは羅臼岳の麓を彩るハウチワカエデ、ナナカマドなどの紅葉を楽しむことができます。周囲の森からは、繁殖期を迎えたオスのエゾシカの特有の鳴き声「ラッティングコール」が頻繁に聞こえ、メスを追いかける様子を見られることがあります。また、9月に入ると、川は遡上したカラフトマスで黒く染まります。シロザケの遡上はやや遅れて10月がピークとなっています。

遡上するカラフトマス
冬/12月~2月

1年で最も長い冬の季節。1月下旬頃になると、アムール川から誕生した流氷は、北西の風に促されながら成長しつつ、豊かなプランクトンや魚、それを餌にするオジロワシ・オオワシを引き連れて知床半島に接岸します。厳冬期、国後島より昇る朝日、オホーツクの流氷原に沈む夕日は、銀世界に燃え立つような炎の色彩を見せ荘厳な世界となります。

流氷に立つオオワシとオジロワシ

日の出・日の入り時間

日の出・日の入り時間

※日の出・日の入時間は、各月中旬頃の時刻を平均したものです。目安としてごご覧ください。

知床の成り立ち

知床半島は、約860万年前から始まった海底火山活動により、海底が押し上げられて生まれた陸地です。約500~400万年前に北海道が乗っている北米プレートに太平洋プレートが衝突することにより、海底から現在の半島の根本部分が海上に現れ、その後約100万年前には現在の半島ほぼ全域が陸上に隆起しました。約25万年前から現在にかけて続いている陸上火山活動により、羅臼岳や硫黄山などの知床連山が誕生し、ほぼ現在の知床半島が形づくられました。

知床半島が形づくった海底火山は、隆起し陸上火山となった後も火山活動を続け、数万年前に海底火山由来の古い地層の上を新しい溶岩が覆いました。海底火山の古い溶岩は脆く風化しやすい性質ですが、陸上火山の新しい溶岩は硬く強い性質があり、この性質の違いにより羅臼や半島先端部とウトロや半島中央部との地形が異なります。

知床半島の地層の成り立ち

また、知床半島には「獅子岩」や「カブト岩」「赤岩」といった名前の付いた奇岩が多くあります。これは海底火山由来の古くて脆い基盤が、降雨や波、流氷などの浸食により削れ、浸食を受けにくい硬い岩石はそのまま残り様々な形になったものです。こういった奇岩や断崖は、海鳥達の営巣地としての役割も果たしています。クルーズなどで海から知床半島を観察すると、このような火山活動の形跡が多く見つかります。

海鳥の繁殖地になっている岩

羅臼の漁業

羅臼は「魚の城下町」

羅臼の漁業は、18世紀後半ころ、商人が漁場開拓を本格化させたとから始まりました。当時は主にニシンやシロザケ、カラフトマスを塩漬けや魚粕に加工して本州に送っていました。現在は沿岸のサケ・マス定置網漁に加え、数キロ沖合で急激な深海になる根室海峡の特性を活かしたキチジ(メンメ、キンキ)、ホッケ、スケトウダラの刺し網漁のほか、イカ漁や昆布の養殖、ウニの栽培漁業なども行われています。羅臼はウトロ側とは異なり、絶えず流氷が移動するため冬でも漁が可能なので、一年中漁業でにぎわう「魚の城下町」として知られています。

羅臼は冬でも漁ができる

魚の旬の季節

魚の旬の季節
※上記以外にも、5~12月にかけて主にタコ、キチジ、ホッケ、ソイ、オヒョウ、カレイなどを楽しむことができます。

羅臼のコンブ漁

天然昆布と養殖昆布

羅臼昆布には、天然と養殖の昆布があります。羅臼の天然コンブ漁は、毎年7月中旬から8月下旬の朝6時から11時頃に行われます。水中を箱眼鏡でのぞき、マッカという専用の竿でコンブをねじりとり収穫します。養殖は、コンブの種苗をロープにつけて海中に沈め、2年ほど育てて1~3mに成長した後収穫されます。天然昆布は主に高級だし昆布として、養殖昆布は昆布巻きや菓子として使われます。知床の栄養豊かな海水で育ち、収穫後に手間ひまをかけた工程を経ているため、羅臼昆布は濃厚な香りと旨味がある高級品として有名です。また、栄養豊富な羅臼昆布を食べているウニも上質であると評価されています。

天然コンブを収穫する様子
羅臼昆布/オニコンブ
英名Kelp
学名Saccharina diabolica

一口にコンブといっても実は数多くの種類があります。「羅臼昆布」は商品名で、名前は「オニコンブ」。地域によって個体差があるため、羅臼地方で採れるコンブが「羅臼昆布」とよばれています。長さは3mととても長く、ときにはそれ以上の長さに成長することもあります。海底を覆いつくすコンブの森は、魚のゆりかごとして稚魚を育みます。

森のように海底を覆うコンブ

漁師と番屋

船を手漕ぎで出していた時代、日帰りできない距離の漁の際に、昆布漁やマス漁が行われるその期間だけ作業場兼宿泊所として使用していた小屋のことを「番屋」といいます。今では使われなくなった番屋も数多くありますが、知床の漁師たちにとっては切っても切れない存在です。

特に、床半島の最先端近くにある赤岩地区は、かつて昆布番屋が50以上も軒を連ね、8月には盆踊りもしていたほど賑わっていたといいます。漁期である夏の間、早朝から昆布採りや昆布干し、納屋仕事など、家族総出で気の遠くなる作業を延々と繰り返す暮らしをしています。船舶技術の進歩や合理化の波の中で、最後の2軒となった番屋も、2017年夏に赤岩から撤退することとなりました。今では廃屋が残るのみになった赤岩地区ですが、インフラも電波もない最果ての海辺で、日本の食文化を支え続けた人々の記憶が刻み込まれた貴重な場所なのです。


※写真/使われなくなった番屋とヒグマ

知床のみどころ


知床みどころマップ

❶ 羅臼ビジターセンター
羅臼ビジターセンターは、人と自然を結ぶための拠点として環境省が設置している施設です。知床の自然、歴史、文化、利用に関する展示や映像、解説を通して、知床国立公園を知り、その自然を楽しむために必要な情報の提供を行っています。2005年に相泊港で流氷に閉じ込められて死亡したシャチの全身骨格、ヒグマやエゾシカの標本など視覚的に楽しめる動物の展示だけでなく、知床の成り立ちや漁業、流氷などを解説したわかりやすいパネルが多数展示されています。
(羅臼ビジターセンターWebサイト http://rausu-vc.jp/迫力あるシャチの全身骨格

❷ 知床五湖
原生林に囲まれてたたずむ幻想的な5つの湖です。シーズンを通して散策可能な高架木道の展望台からは、第一湖と知床連山の大パノラマが見渡せます。晴天で無風の日には知床連山の鏡張りも楽しめるでしょう。木道を歩いているとクマザサの隙間からエゾシカが顔を出すこともあります。 知床五湖

❸ 知床峠
斜里町ウトロと羅臼町を結ぶ知床横断道路の頂上、知床連山の尾根筋にあたる標高738mの峠です。ドライブコースとしても人気が高く、7月下旬でも白い残雪を頂く印象的な姿を見ることができます。さらに、ここから見る羅臼岳の紅葉は見事で、天気が良ければ北方領土国後島を望むことができます。 知床峠と遠くに望む国後島

❹ 羅臼岳
標高1661m、日本百名山のひとつ。羅臼岳には登山口が2つあり、岩尾別(いわおべつ)登山口(斜里町側)と、羅臼温泉登山口(羅臼町側)です。山の名前が「羅臼」岳なので、羅臼町側から登るのが一般的と思われがちですが、斜里町側の岩尾別登山口(岩尾別ルート)から登る方が一般的です。羅臼温泉ルートは上級者向けのコースとなります。頂上までのコースタイムは、岩尾別ルート往復で8時間以上、羅臼温泉ルート往復では11時間以上が目安です。本格的な登山シーズンは7月上旬からですが、7月は残雪が多く、特に初めての方にとってはルートが分かりにくいため注意が必要です。羅臼岳

❺ ルシャ川
ルシャ川の注ぐ海岸はヒグマが良く見られるポイントで、運が良ければ親子ヒグマが現れることもあります。定置網など漁の準備をする漁師とその近くを歩くヒグマの写真は、この辺りで撮られたものが多いようです。この場所は羅臼側のルサ川から風が吹き抜けるため、いつも風が強く吹いています。「ルサ」の名前の由来は、アイヌ語の「ル・エ・シャニ」で「道が・そこから・浜へでていく所」という意味があるそう。アイヌはこの川を東西に伝い「道」として半島を行き来していたといわれています。後にルエシャニは「ルシャ」と名を変えて、斜里側は「ルシャ」、羅臼側は「ルサ」となりました。ルシャ川河口付近の番屋

❻ 赤岩地区
知床半島先端部に弧を描く小さな浜辺があります。2kmほどの長さの浜に、かつて漁師が寝泊まりに使っていた番屋という木造の小屋が見られます。この辺りはヒグマがよく出るといわれており、瀬渡し船からその姿を見られることもあります。実際に弊社スタッフが訪れた際、赤岩地区の少し手前(相泊側)の海岸沿いから、斜面を歩くヒグマの姿を見ることができました。地区名の由来となった赤岩と、廃屋のそばを歩くヒグマ

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