種名 | ヒグマ |
英名 | Brown bear |
学名 | Ursus arctos yesoensis |
体長 | 1.3~2.3m |
体重 | オス 200~400kg メス 100~200kg |
分布 | 北海道、国後、択捉 |
エゾヒグマは、ツキノワグマに比べ肩の筋肉が大きく盛り上がり、前足の爪が長いのが特徴です。大型で、体色は明るい茶褐色から黒色のものまでさまざま。そのいかつい見た目から、ヒグマは肉食だと思っている人が意外に多いですが、相対的には植物質の餌の方が多い雑食性。動物質の餌ではアリが多く、他にザリガニや昆虫、交通事故などで死んだエゾシカなどを食べます。植物質ではミズバショウやフキ、セリ科の植物。秋にはサルナシやヤマブドウの実、ドングリなど。甘い物が好きなので、養蜂家のミツバチの巣箱を襲ったり、トウモロコシやビート畑を荒らす個体もいるそうです。
知床国立公園は世界有数のヒグマ高密度生息エリアです。海岸線から高山帯までバラエティに富んだ環境が凝縮され、多種多様な餌資源が存在することが狭い範囲で多くのヒグマが生息できる理由だといわれています。遊歩道や登山道では、実際の姿は見えなくても、彼らの痕跡を見つけることができます。たとえば木に登った爪の跡やフン、地面に付いた足跡などです。知床半島のヒグマの生息数に関して、現在詳しい調査が行われているところです。
ヒグマの冬眠明けは4月上旬頃に集中しますが、その年に穴の中で子どもを出産(1月下旬~2月上旬頃)したメスは、さらに1ヵ月程度遅れて冬眠穴を離れます。5月上旬頃には、単体や親子連れなどすべてのクマが出揃う形となります。
これらのクマが春先によく利用するのが日当たりのよい海岸斜面。雪解けが早いため、いち早く芽吹いた草を供給してくれるからです。最も安全にヒグマを観察できるのはこの季節で、運が良ければ漁師の瀬渡し船(相泊港~知床岬往復)や観光船(斜里~知床岬往復)から、静かに草を食んでいるヒグマの姿をじっくり見ることができます。
6月前にはヒグマは交尾期を迎え、オスは複数のメスとの出会いを求めて広い範囲を徘徊しています。湿地帯などを注意して見てると、メスの跡を辿ったオスのひときわ大きな足跡を発見することがあり、これだけでも迫力があります。夏になると沢沿いのフキ群落などでクマの彩食痕を見かけますが、このような場所は見通しが悪い上に沢の音で聞こえにくく、お互いに気づかぬままうっかり至近距離で遭遇する可能性が高いので、慎重に行動する必要があります。
実りの秋。なんといってもヒグマの大好物はミズナラのドングリです。冬眠に備えて大量に食べまくり、脂肪を蓄積します。産卵のために遡上するカラフトマスやシロサケも、冬眠前の貴重なたんぱく源。8月下旬になると、比較的警戒心の弱いクマが、河口付近の浅瀬で魚を追う場面に遭遇することがあります。
12月上旬。たっぷりと栄養を蓄えたクマが、次々と冬眠穴にもぐり込み始めます。この穴はまれに樹洞や岩穴を利用することもありますが、大抵は自ら掘った土穴を使用します。クマの場合、冬眠といっても眠りは浅く、いざというときは行動可能な状態で穴の中に収まっています。そのため、真冬であっても、人間の接近を察知して身の危険を感じれば、雪を押しのけて飛び出してくることもあります。クマが冬眠する場所は比較的標高の高い山奥というイメージがあるかもしれませんが、海岸付近や道路の近くなどでも多くの冬眠個体が確認されています。
ヒグマとの共生を考えるうえで大切なことは、本来人間に接近することを好まないヒグマが、私たちの行動によって接近させてしまい、事故につながることになるかもしれないという視点をもつことです。
以前、知床半島の番屋にヒグマが侵入する事件がありました。ヒグマはそこに置かれていた大量の缶ジュースを飲み干しました。封は開いてなかったので匂いはしなかったはずですが、缶の中には甘いジュースが入っているとすでに学習していたのです。おそらく捨てられた空き缶をかじるうちに味を覚えたのでしょう。たまたま無人だったのでケガ人は出ませんでしたが、人の食べ物を覚えさせてしまうと人身事故につながりかねません。ヒグマを「駆除が必要な問題個体」にしないために、絶対にゴミを捨ててはいけません。また、自然採餌場の保全や、近年運用され始めている地域での人身事故発生防止を目的とした学習プログラムなども、ヒグマとの共生を目指す上で大切な取り組みです。
種名 | 二ホンジカ亜種エゾシカ |
英名 | Hokkaido Sika Deer |
学名 | Cervus nippon yesoensis |
体長 | 90~190cm |
体重 | オス120~150kg メス80~95kg |
分布 | 北海道全域 |
夏毛は茶褐色に白い斑点、冬毛はオスは黒褐色、メスは明るい褐色です。寿命は、オスは10年、メスは20年程度とされています。エゾシカは主に草本や広葉樹の枝葉、冬はササや木の皮を主に食べます。草食で4つの胃を持ち、反すうします。また知床のエゾシカの多くは1歳で交尾・妊娠し、満2歳で出産します。
エゾシカは二ホンジカの亜種であり、大きさは日本国内に分布する全7亜種(諸説あり)のうち最大です。約30年前から道東地域を中心に爆発的な増加が起こり、農林業被害などが問題となっています。
積雪期になると、シカたちは「越冬地」とよばれる標高の低い樹林帯に集まって冬を越します。特に知床半島は海岸線が急峻な崖になっているとこが多く、強風などで雪が積もりにくい地形のため、越冬地として適した環境なのです。イワウベツ川の右岸斜面などは条件の整った良好な越冬地であり、双眼鏡などを使って対岸から眺めると、木々の間に何頭ものシカが見えることがあります。
夏と違い、冬は冬毛でおおわれていてフワフワしています。冬の間は、主にクマザサや広葉樹の樹皮などを食べて飢えをしのいでいますが、これらは栄養分が少ないため、体重が減少していきます。知床半島に近い野付半島、根室の風蓮湖や納沙布岬などもエゾシカの越冬地になっています。
春の足音が聞こえてくる3月~4月にかけて、エゾシカは体力的に最も厳しい時期を迎えます。草が生えないこの時期は、秋に蓄えたエネルギーが底をつき、餓死するシカが多くなります。オスジカの角は、毎年春先になると抜け落ちて生え変わります。新しく生えた角は「袋角」とよばれ、ビロード状の皮膚に包まれ血管が通る柔らかい角です。この角は春から夏の4ヶ月ほどの間に60cm以上に成長します。そして秋には「枯れ角」とよばれる木の枝のような角になります。
雪解けとともに生えてくる豊富な草本類を食べて体力を回復したメスジカは、6月頃に出産期を迎えます。子ジカはしばらくの間、茂みの中など外敵に狙われにくい場所でじっとしており、生後2週間ほどたってからようやく母親と行動を共にするようになります。
秋はエゾシカ観察のベストシーズン。角はビロード状の皮膚が剥がれ落ち、立派な枯れ角に完成します。交尾期に当たるこの時期、有力なオスジカは複数のメスを囲い込んでハーレムとよばれる群れを形成します。興奮したオス同士が角のぶつけ合いをする姿が見られたり、ラッティングコールという自分の存在を他のシカにアピールする鳴き声が聞こえたりします。
オスが性的な興奮をしたときには「フレーメン」とよばれる面白い表情をします。馬にもこの表情が見られ「馬が笑った」と形容されます。この表現を借りると「エゾシカが笑った」顔ということになりますね。
この時期のオスは、メスに自分をアピールするために独特の化粧をします。ぬかるみに排尿をした後、そこに寝転がり泥浴びをするのです。その場所は「ヌタ場」とよばれ、体中に尿のしみ込んだ泥を塗りつけることが、エゾシカのオスには最高のおめかしになるようです。
種名 | アカギツネ亜種キタキツネ |
英名 | Ezo red fox |
学名 | Vulpes Vulpes schrencki |
体長 | 60~80cm |
体重 | オス5~6kg メス4~5kg |
分布 | 北海道、特に道東に広く生息 |
北海道に広く分布するアカギツネの亜種。エゾシカに次いで出会う確率が高い野生動物でしょう。1994年から、ヒセンダニの寄生によって起こる疥癬症の大流行により、一時ほとんど姿を見かけなくなりましたが、近年ようやく回復してきました。一年に一度毛が生え変わり、夏毛は短くてスレンダーな姿が、冬毛はモフモフで可愛らしい姿が見られます。繁殖期は1月~2月で、春先に3~6匹の子どもを出産します。
キツネは家族単位で一定のなわばりを維持しながら生活します。注意深く観察すると、決まった範囲を徘徊しては要所要所にマーキングする行動や、ジャンプしてネズミやヘビを捕まえる姿など、野生の側面を垣間見ることができます。食性は雑食で幅広く、野ネズミなどの小動物以外に草木の実も食べます。特に秋の野山には、サルナシやハマナスなどの美味しい実がたくさんあり、まだ狩りが上手くない若ギツネにとっては最高のごちそうなのだそうです。
エキノコックスとは、サナダムシの一種で、感染したネズミを食べたキツネに寄生します。キツネの腸内に卵を産み、フンと一緒に排出されて、沢水を介するなどして体内に取り込むと、人にも感染します。肝臓に寄生すると、成人で十数年後、子どもだとさらに早く症状が出て、最悪の場合は死に至る危険性があります。キツネはエキノコックスに感染しても死ぬことはありません。近年道内のキツネの生息数は増加しており、エキノコックス対策が求められています。私たちにできる予防策としては、
(1)沢水や山菜などを生で口にしない
(2)外から帰ったらよく手洗いをする
(3)キツネを餌付けたりしてヒトの生活圏に近づけない
(4)キツネと接触する機会をもたない
などが挙げられます。
ついつい「もっと近くで写真を撮りたい」と思い、エサを与えたくなってしまいますが、絶対にしてはいけない行動です。エキノコックスの感染リスクだけでなく、エサの味を覚えて道路を生活の場としてしまい、交通事故で命を落としてしまうこともあるのです。
種名 | キタリス亜種エゾリス |
英名 | Hokkaido Squirrel |
学名 | Sciurus vulgaris orientis |
体長 | 22~27cm |
体重 | 300~470g |
分布 | 北海道全域 |
木の種や芽、花、樹液、昆虫などたくさんの種類のエサを食べます。活動時間帯は昼で、真冬は日の出から2~3時間の間。秋になると冬に備えて一日中餌を探しては、あちこちに運んで隠している姿が見られます。樹の穴や枝木の間の他、地面に穴を掘って埋めたりします。たくさん隠して冬になると掘り当てますが、翌年になると、食べ忘れたドングリやオニグルミの実から出た芽が見られることもあります。
冬眠をしないエゾリスは、吹雪いても餌探しに出てきます。朝方2~3時間の短い間で餌を食べ終え、巣に帰り寝てしまうという生活パターンを繰り返すので、一日の大半は寝て過ごすことになります。これが冬を生き抜くエゾリスの戦略といわれています。
※上記は、野生動物の出現を約束したものではなく、気象状況や現地の環境の変化により出現時期が変動する可能性があります。
日本
冬の道東を撮る道東の野生動物の写真撮影に特化した、7名様限定の特別企画。釧路湿原のタンチョウヅル、知床半島のオオワシ、オジロワシに出会う。タンチョウの里・鶴居村には2連泊。
日本
冬の道東・弟子屈の森でエゾモモンガに出会う固有亜種・エゾモモンガの観察に特化した特別企画。3名様限定、計3回のエゾモモンガ観察・撮影チャンス!野付半島・網走湖にも足を延ばし道東の野鳥や野生動物を観察。
日本
冬の道東の風物詩 タンチョウの里・鶴居村と知床半島シマフクロウ、タンチョウ、オオワシなど雪景色の中で躍動する道東の野生動物と出会う。知床連山や摩周湖の冬景色、海の幸や温泉も楽しむ。
日本
写真家・中西敏貴さん同行 冬の北海道の風物詩を撮る写真家・中西敏貴さんが案内&撮影指導する冬の北海道の撮影紀行。知床の流氷、屈斜路湖のフロストフラワーなど、厳冬期の道東の自然現象や野生動物を撮る。
瀬渡し船で知床岬を往復し、サケやマスを追うエゾヒグマを観察。根室海峡では回遊するマッコウクジラに出会う。タンチョウやオジロワシも観察。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。サケを狙うヒグマ、カラフトマスの遡上、知床の自然と暮らしを撮る。7名限定ツアー。3日間、瀬渡し船をチャーターしたっぷりヒグマ観察&撮影。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。根室海峡のシャチや知床半島のヒグマの観察、知床五湖のハイキングなど、春の知床の自然を満喫。ラムサール条約登録湿地・野付半島も訪問。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。シャチ、ミズナギドリが集まる季節限定。計6回のクルーズで心ゆくまで観察・撮影を楽しむ特別企画。ヒグマ観察のチャンスも。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。【西遊旅行バードガイド・今堀魁人と行く】夏の北海道ワイルドライフ、知床半島から花咲くオホーツクの原生花園、大雪山へ。羅臼では根室海峡のシャチや海鳥、大雪山では旭岳でギンザンマシコをはじめとする野鳥を観察。7名様限定の少人数限定コース。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。全5回のクルーズで道東の野鳥・野生動物をたっぷり撮影!ベストシーズンの6月にできるだけベストな撮影地で時間をかけて野鳥&野生生物を撮る。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。