後に釈尊となるシャカ族の王子ゴーダマ・シッダールタが29歳で出家するまで何不自由なく過ごしていたと思われているカピラバストゥ城跡が現在のティラウラコットであると考えられています。この遺跡は1967年から日本の立正大学によって発掘・城砦跡だと確認され、現在はネパールの人々により管理されています。ティラウラコットはルンビニの西27キロに位置し、周りはのどかな麦畑が広がっている森の中にあります。まだまだ発掘途中ですが、礎をレンガで補修しきれいに整備されています。ここには西門、釈尊が愛馬カンタカに乗りこの地を出発したといわれる東門、城壁お堀跡、かつての宮殿跡、井戸、貯水槽が発見されています。この場所で一番見応えがあるのは遺跡の奥にある東門。『ある時、釈尊が東門から外出した際、やせ衰えてふらふらと歩いている老人を見かけた。またある日、南門から外出した際、病人を見かけた。また西門から外出した際、葬儀の列に遭遇した。この出来事から釈尊は「老い」、「病」、「死の悲しみ」を知り、深く思い悩んだ。ところがある日、北門から外出した際、道を求めて托鉢に励む修行者の姿に接し心を打たれ、釈尊は出家を覚悟した』という有名な「四門出遊」という説話が残っている場所です。東門からはかつて釈尊が愛馬カンタカに乗り進んだであろう大地が、今も変わらず広がっています。
カピラバストゥ城跡