西部沿岸地方
Westan Seacoast Areaイエメンの冬の首都アデン、紅海沿岸部のホデイダなど、現在も賑わう港町から、世界遺産の中でも危機遺産に指定されているザビード、かつてのコーヒーの積み出し港であったモカなど、交易地として栄えたイエメンならではのみどころがあります。
アデンはイエメンの冬の首都と言われ、火山活動によって溶岩が海に流れ込んだことにより、自然の良港が作られました。イギリス支配時代はヨーロッパからインドへ向かう旅客船の重要な寄港地となり、南北統一以降も経済の中心地として位置づけられています。
1世紀に造られた18個の貯水タンクが残るアデンタンク、かつてフランスの詩人ランボーが住んだ家などが残っています。また、休暇シーズンになるとビーチはたくさんの人達で賑わい、女性も黒のベールをかぶったまま泳いでいる姿を見ることができます。
紅海沿岸部の平野部はティハマと呼ばれ、その中心地となっているのがホデイダです。夏の間は湿度も高く、蒸し暑い気候が続きます。山岳部とは異なり、アフリカの影響を受けた人々が暮らしています。イエメン有数の漁港でもあり、毎日開かれるフィッシュマーケットは漁から帰ってきた漁師達で賑わい、マグロやカツオなど日本で同じみのものからサメまで多くの魚が並びます。
9世紀にアラブで始めての学校が造られたとされる町で、南アラビアの学問の中心地として栄えました。中世には200以上の学校やモスクが造られ、5,000人もの生徒がここで学んだそうです。町の中心に造られたアル・アシェル・モスクは9世紀に建てられ、後々新学校としての機能を拡大させ、アル・アシェル大学となりました。ザビードの旧市街は1993年にユネスコの世界遺産に指定されましたが、保存状態は悪く、世界遺産の中でも危機遺産に指定されています。
かつてのコーヒーの積み出し港として栄えた港町。モカコーヒーの名で日本でも有名です。しかし、モカコーヒーはモカで栽培されている訳ではありません。バニー・マタルと呼ばれる山岳地帯で栽培されるコーヒーはかつてこのモカに集められ、ここから世界各国へ出荷されていきました。
現在ではアデンやホデイダといった大きな港の発展に伴い、モカでは貿易が行われる事もなくなり、かつての商人の館が昔の栄華を今に伝えるのみとなっています。