ザンスカール
Zanskar標高3,500mの荒涼たる茶褐色の大地、乾いた大地に恵みをもたらすインダス川、要塞を思わせる岩山に築かれた大寺院、信仰篤く厳しい自然と共存して生きる人々。多くのチベット仏教の名刹が残る、インドヒマラヤのみどころをご紹介します。
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標高3,500mの荒涼たる茶褐色の大地、乾いた大地に恵みをもたらすインダス川、要塞を思わせる岩山に築かれた大寺院、信仰篤く厳しい自然と共存して生きる人々。多くのチベット仏教の名刹が残る、インドヒマラヤのみどころをご紹介します。
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パドゥムの街を見下ろす丘の上に建つパドゥム・ゴンパ。現在はすっかり廃墟になっていましたが、この丘の上から眺める光景は昔日のザンスカール姿を彷彿とさせます。
パドゥム僧院から先、丘を登っていくと、17世紀創建のドゥク派の僧院であるスタグリモ・ゴンパが建っています。このゴンパへの道中からは眼下にパドゥム全体を見下ろす事が出来ます。
パドゥムの街はずれ、小高い丘の上に建つ17世紀創建のゲルク派の僧院。 「おっぱい僧院」の別名を持つこのゴンパの内部にも色鮮やかな壁画が描かれています。ここは常に強烈な風が吹き続けています。
パドゥムの中心地からすぐの、ツァラプ川沿いの大きな岩に彫られたギャワリンガ(金剛界五仏)磨崖仏。 人により意見の分かれるところですが、右側より宝生・阿シュク・大日・阿弥陀・不空成就の金剛界五仏が彫られています。その他にストゥーパと供養者像がはっきりと見られますが、いつごろ彫られた物なのかははっきりとしていないのだそうです。
1988年にダライ・ラマ14世がパドゥムでカーラチャクラの法要を行った際に建てられた僧院。 比較的新しいこの僧院の2階にはダライ・ラマ法王の専用部屋があり、運がよければ法王専用のお風呂とおトイレを見ることが出来るかもしれません。 広大な敷地のこの僧院の前庭には、カーラチャクラ当時周辺から数万人にも及ぶ人がダライ・ラマを一目見るために訪れたのだそうです。
15世紀創建のゲルク派の僧院。ザンスカールで最大のゴンパです。荒涼とした山の斜面に張り付くように建てられたその姿は遠くパドゥムの街からでも望むことが出来ます。ここの一番の見所は創建当時の美しい壁画が残るラブランラカン。内部に残された美しい仏教美術は他に類を見ない物です。ラブランラカンよりドゥカンへは登り道が続きます。途中、眼下にはストク川とツァラプ川の2つの川が合流し、ザンスカール川となって流れていく地点を望むことができ、ここからの眺めはザンスカールにいるという事を実感させる物。最上部ではドゥカンとゴンカン(護法堂)を見学する事が出来ます。このゴンパが聳えるカルシャ村の入り口近くにはチャンバリンと呼ばれるお堂がひっそりと建っています。この内部に彫られている弥勒菩薩の磨崖仏も必見です。
カルシャ僧院と対峙する丘を約20分程ゆっくりと登った場所にある僧院。小さな本堂内には13世紀のゲルク派の壁画が描かれ、高さ6mの素晴らしい千手千眼十一面観音(チョージグザル)が祀られています。 本堂からさらに上に登っていくとリンチェンサンポが建てたと言われているチョルテンが残っています。ラテルネンデッケと呼ばれる屋根のスタイルと内部に収められた無数のツァツァは必見です。
パドゥムから北へしばらく走ると驚くほどきれいに舗装された道に入ります。この道を走り約1時間。パドゥムから続く自動車道路の現時点での最終地点がザンラの集落です。 ザンスカールの歴史はパドゥム王家とザンラ王家の2つの王家が中心となって育まれてきました。このザンラの街には現在でも王様が住んでおり、そのお住まい(ザンラ・カル)を訪れる事が出来ます。現在はなぜか二人の王様がいらっしゃるのですが、本物の王様がお住まいの家の屋上には王家の宝物庫が建てられています。 現在のザンラの中心地から山の方に登って行くと、遠くに土壁の巨大な建物が見えてきます。これがザンラの旧王宮。この昔の王宮はすでに建設から数百年が経過しており、足元は非常に危険な状態になっています。床が抜けないようにゆっくりと気をつけて歩きましょう。旧王宮の中にはハンガリー人のアレクサンダー・チョーマ・ド・ケーレスという人物が住んでいた部屋も残されています。この王宮の入り口に至る道沿いには無数のストゥーパが立ち並んでいます。また、王宮を通り過ぎしばらく先へ走ると王室にゆかりのある小さな洞窟寺院が建っています。
「チョモ」とは尼僧院のことです。ザンラの街のはずれに建つこの尼僧院では旧堂と新堂、2つのお堂を見学する事が出来ます。 特に素晴らしいのは、旧堂内の黒い壁に白い線で描かれたマハーカーラの壁画。このような形で描かれた壁画はザンスカールでも非常に珍しい物なのだそうです。
カギュ派の祖師であるマルパによって創建されたこの僧院は、後にゲルク派に吸収され、現在はカルシャ僧院と同じくザンスカールで大きな勢力を持つゲルク派の僧院となっています。ここではドゥカン、ゴンカン等のお堂を見学する事が出来ます。 内部の仏像や仏画も当然素晴らしいのですが、何よりも素晴らしいのはトンデ僧院の屋根の上から眺めるザンスカールの景色。ここから眺める「ザンスカール」はまさに絶景です。
パドゥムから南へ。ダルチャへ続く道沿いの大きな岩の上に建つのがパルダン僧院。 17世紀創建に建設されたドゥク派の僧院です。この僧院の見どころはドゥカンの壁一面に描かれたマンダラ。本当に素晴らしい仏教美術が残っています。
パドゥムからカルギル方面へ少し戻り、橋の手前を左へ真っ直ぐ進むとアティンというのどかな村を通り過ぎます。この集落を抜けてさらに先へ。ダライ・ラマ14世が訪れた際に建設されたガレを積み重ねたジグザグ道をゆっくり走りぬけると、切り立った崖に造られたゾンクル僧院に到着します。 この僧院はカギュ派の祖師ナローパが1000年頃に開いた石窟寺院。暗くて小さなお堂ですが、2階のドゥカンと3階のツァンカン、ゴンカンを見学する事が出来ます。内部には無数の仏像や仏画が納められています。 さらに崖を登って行くと、ナローパが瞑想したと言われる洞窟ゾン・ゴンマがあります。きつい登りですが頑張って訪れてみてください。
2世紀にクシャーン朝のカニシカ王が建てたチョルテンが由来とされているこの僧院。その後8世紀にはパドマサンバヴァが、11世紀にはナローパがここを訪れ現在の僧院を建設したのだそうです。 ドゥカンを通り過ぎると裏庭に出ます。ここには巨大なカニカチョルテンが建ち、その脇にはパドマサンバヴァを祀ったグルラカンがひっそりと建っています。歩いてすぐの場所に残されているチャンパ石仏も必見です。
ザンスカールの中でも最も険しい山々に囲まれたリンシェ村。ザンスカールトレッキングのルート上にあり、2020年に新しい車道ができるまではトレッキングでしか来ることのできない村でした。村の北に位置するリンシェ僧院は、もともとはリンチェンサンポによる11世紀頃の創建で、その後1440年に、ゲルク派の開祖ツォンカパの弟子によって現在の僧院がつくられたと伝えられています。僧院の内部には、馬頭観音や白傘蓋仏母などの像、さらには大威徳明王やターラー菩薩など多数の尊格の壁画があります。