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インドみどころガイド

サンチーとビーマベトカ

Sanchi and Bhimbetka

2千年前のアショカ王時代のストゥーパ(仏塔)がほぼ完全な形で残るサンチー遺跡、1万年前にさかのぼるといわれるビーマベトカの岩壁画。インド中部、マディヤ・プラデーシュ州の州都ボパール近郊の2つの世界遺産をご紹介します。

サンチー仏教建造物群/ Buddhist Monuments at Sanchi

観光の拠点となるボパールの北東46kmの所に位置する小高い丘の上に残されたサンチー仏塔。1989年に世界遺産に登録されました。カリンガの戦いの後、自分の行いを悔いたアショーカ王は仏教に帰依し、紀元前3世紀にこの大ストゥーパを建立しました。いくつかストゥーパが残されていますが、ハイライトは第一ストゥーパと呼ばれる丘の中心に位置するストゥーパで、高さ16m、直径37mの規模を誇ります。ストゥーパの周りはトラナと呼ばれる鳥居に似た塔門が四方に置かれ、時計回りに巡礼ができるよう通路が施されています。トラナには釈尊が天界に赴き母親マヤ夫人へ説法を行った場面、出家を決意したときの場面、父親スッドーダナとの再会の場面、釈尊の前世における善行を集めた物語集・ジャータカに基づく様々な場面、説法を聞く動物達の様子等が精緻な彫刻と浮き彫りで見事に表されています。塔門を丁寧に見ていきますと、一つ一つに表情があり、象の丸みを帯びた鼻のラインやヤクシー像のなめらかな曲線美に吸い込まれていくことでしょう。気がつけば、シャッターを切る手が止まらなくなっています。サンチー仏塔が建造された時代、釈尊の姿を仏像として表現することはまだ行われていませんでした。そのため釈尊を象徴するシンボルとして仏足跡や法輪、菩提樹として表されていることも、その当時の仏教美術を感じることのできる見所の一つです。

サンチー仏塔第一ストゥーパのトラナ(塔門)
サンチー仏塔第一ストゥーパ
トラナに施されたレリーフ

ビーマベトカ岩窟群/ Bhimbetka

ボパールより幹線道路を南下すること約50kmのところに位置し、2003年に世界遺産に登録されました。ビーマベトカの岩窟群はチークの木が生い茂る山の中にあります。点在する大きな岩壁にはシンプルな点と線で描かれた多数の人物や動物、狩猟の様子を見ることができます。壁画に使用されている顔料は草木や動物の血などを混ぜた天然塗料で今でも鮮やかな色彩を放っています。ビーマベトカ岩窟群に残る最も古いものは今から1万年ほど前に描かれた岩絵と考えられています。この岩窟群の価値は、古さだけでなく人間社会の発達の過程を見て取れる点にもあります。古い時代のものでは単に人や動物の形を模写したものだったのが時代が新しくなるにつれ、人と人が輪になり楽器を演奏する様子や、仲間で協力して狩りをする様子、戦う様子に変遷して行き、社会が形成され発達していく過程をうかがい知ることができます。

無数に描かれた動物たち
踊る人々

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