ラダック~ザンスカール
To Zanskarラダックのアルチから、4,000mの峠を越えてインド最北部・ヒマラヤ山麓の地ザンスカールへ。 高峰群や大氷河、荒野、湿原など、インドヒマラヤの変化に富んだ大自然も大きな見どころ。ザンスカールの中心地パドゥムへの道のりの風景とともに、各地をご紹介します。
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ラダックのアルチから、4,000mの峠を越えてインド最北部・ヒマラヤ山麓の地ザンスカールへ。 高峰群や大氷河、荒野、湿原など、インドヒマラヤの変化に富んだ大自然も大きな見どころ。ザンスカールの中心地パドゥムへの道のりの風景とともに、各地をご紹介します。
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アルチから先、カルツェのチェックポストを過ぎてインダス川沿いの道を北へ向かいます。この道はパキスタンとの国境地帯へと続く軍用道路。この先は入域許可が必要なインナーラインと呼ばれる地域なのです。外国人が訪問できる最奥の場所はダーの集落。アルチから125kmほどの距離になります。
インダス川下流域で最大のゴンパであり、周辺の僧院を全て統括している僧院です。元々パドマサンバヴァが瞑想用の洞窟を開いたのが建立の由来とされており、スクルブチャンの村を見下ろす崖の上に建てられています。 村からお堂まで登るのは一苦労。自分のペースでゆっくりと登っていきましょう。最上部ではドゥカンと千手観音堂、小さなお堂を見学する事が出来ます。
外国人が通る事の出来る最後のチェックポストを越えるとすぐにダーの街に到着します。インダス川沿いの車道から集落の中心地までは10分ほどの上り道。本当にこの地域にだけ青々とした木々や果物、野菜が育っているのにびっくりすることでしょう。集落の一番奥には小さなゴンパが建っており、さらに奥には廃墟となった昔の城砦跡が残っています。ここから先、パキスタンの国境までは約20kmほどの距離しかありません。ダーの集落にはラダッキやザンスカーリーとは異なる、ドロクパと呼ばれる青い目と彫の深い顔が特徴の人々が住んでいます。周囲に比べ標高も低いため、お野菜や果物が豊富に採れ、毎日新鮮な花を頭に飾りとして付けるのがこの地の人々の特徴です。
ラマユルからカルギルの道路は二つの峠を越えて行きます。まず最初に越えるのがこの区間の最高地点でもあるフォトゥ・ラ(4,094m)、続いて越えるのがナミキカ・ラ(3,790m)。 舗装された道路がサンギェ・ルンマ沿いを走り、ムルベク、そしてカルギルへと続いています。
カルギルまでの道中で仏教徒の住む最後の街がムルベク。その道沿いには巨大なチャンバ磨崖仏が建ち、往来する人を見守っています。 高さ15m程のこの弥勒菩薩様。すぐ横の看板には紀元前1世紀に彫られたと書いてありますが、本当は8世紀頃に彫られたカシミール様式の磨崖仏です。すぐ隣には小さなお堂が建てられています。
レーに次いでラダック第2の都市であるカルギル。この街には仏教の香りは全くせず、完全なイスラムの居住地となっています。 かつてはカシミール、レー、ザンスカールの交易上の拠点として繁栄を見せていたこの街も、今は田舎の小さな街。パキスタン国境までは実に4kmほどの距離しかありません。昔は印パの紛争の象徴でもあったようなカルギルの街も、今は平穏さを取り戻しており、スリナガル、ザンスカール、レーをそれぞれ結ぶ道路の中間点として重要な役割を果たしています。
カルギルからザンスカールの中心地パドゥムまでは約240kmの行程。お世辞にも良いとは言えない道路が続きます。カルギルを出てしばらくの間はムスリムが住むエリア。緑深いスル川沿いを走ります。 道中のサンクーというムスリムの集落を過ぎると天気が良ければ目の前に、頂上に雪を頂くヌン峰(7,135m)とクン峰(7,087m)の姿を臨むことが出来ます。先へ先へと進み、対岸に美しい姿を見せるパルカチック氷河を過ぎて、しばらく走ると周辺の景色は一変します。道沿いにカラフルなタルチョがはためき、荒涼とした景色になってくる辺りがムスリムの世界と仏教世界の境界点。いよいよザンスカールに入ります。
1780年に創建された歴史あるゲルク派の僧院。2000年7月には侵入して来たイスラムゲリラによって、3名の僧が殺害されるという悲しい事件も起こりました。 湿地帯の中に広がる丘の上に建つこのランドゥム僧院。一階のドゥカンも当然見ものですが、僧院の2階には小さな博物館があり、貴重なタンカや仏具などが展示されています。この僧院の壁は赤色に塗られています。この赤い色は「ツェ」という魔除け意味があるのだそうです。
カルギル・パドゥム間の最高地点がペンシ・ラ(4,401m)。 数多くのタルチョとその奥に見えるのが「ジグザグ」という意味の名前がついたダラン・ドゥルン氷河。この峠を越えるとザンスカールの中心地・パドゥムまではもうすぐです。