ラダック
Ladakh標高3,500mの荒涼たる茶褐色の大地、乾いた大地に恵みをもたらすインダス川、要塞を思わせる岩山に築かれた大寺院、信仰篤く厳しい自然と共存して生きる人々。インドの中の別世界、秘境小チベット・ラダックの見どころを紹介します。
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標高3,500mの荒涼たる茶褐色の大地、乾いた大地に恵みをもたらすインダス川、要塞を思わせる岩山に築かれた大寺院、信仰篤く厳しい自然と共存して生きる人々。インドの中の別世界、秘境小チベット・ラダックの見どころを紹介します。
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現在はジャンムー・カシミール州、ラダックの中心地。かつてはラダック王国の首都として繁栄を見せた街。この場所が外国人に開放されたのは1974年のことで、それ迄はパキスタン・中国という2国に隣接している特殊な場所柄、軍事的理由により長い間閉ざされた場所でした。その為、このレーを中心とするラダックにはチベット本土では破壊され、失われてしまった本当の仏教文化が残されました。 レーの街のはずれ、小高い丘の上に昔の王宮がそびえています。この王宮が建てられたのは1640年頃の事。当時の王であったセンゲ・ナムギャルがこの王宮を建設し、以降レーはさらなる繁栄を見せる事となります。現在は訪れる観光客も増え、中心地にはゲストハウスや商店が立ち並んでいます。レーの街は年々賑やかになって行きますが、ラダックの人々の生活と篤い仏教への信仰はは変わらず受け継がれています。
レーの中心部から少し北。ラダックの僧院の中では珍しく平地に建つ僧院です。創建されたのは20世紀の前半で、周囲には普通の民家が立ち並んでいます。 2階建ての小さな僧院で、なんといっても見ものは2階の一番奥に納めれれているドゥカル(白傘蓋仏母)の像。高所順応を兼ねて歩いて行ける距離にあるのも魅力です。
レー郊外の丘の上にあるストゥーパ(仏塔)。 1985年、日本山妙法寺によって創建された新しいストゥーパです。 階段を息きらせながら登っていくと、そのストゥーパからは荒涼とした大地の中に広がる緑豊かなレーの街を一望することが出来ます。
レーの空港のすぐ横。空港を見下ろす小高い丘の上に建つ僧院。ものすごく頑張ればレーの街から歩いて訪れる事も可能な距離ではあります。 この僧院はラダックで初めてのゲルク派の僧院で、各お堂へは階段を上ったり下ったり。この複雑な造りが出来上がったのは15世紀の事だそうです。ゆるやかな階段を登ると集会堂(ドゥカン)の入口。集会堂には砂マンダラの台が置かれており、運がよければ、砂マンダラを見ることが出来るかも。壁画やタンカなども比較的新しい物が多いですが一見の価値ありです。 レーの空港を一望できる絶好の場所にありますが、この空港は軍用空港のため、写真撮影は厳禁です。空港方面を向いてシャッターを押さないように気をつけましょう。ちなみにこの僧院の座主はバクラ・リンポチェ。ラダックの名士です。
レーの街を見渡すことが出来る岩山の上に小さな僧院が建っています。ここへは歩いて行くことも出来ますが、すぐ下まで車で行くことも可能。 小さな僧院の中には巨大な弥勒菩薩像が納められています。ここから眺める夕日は一日の最後を飾るにふさわしい美しさ。晴れていればヒマラヤの奥に沈み行く太陽がレーの街を赤く染め上げていきます。
レーの街から見てインダス川の対岸。といっても歩いて行ける距離ではありません。レー近郊のチョグラムサルという街から綺麗に舗装された車道が続いています。 4階建てのこの建物、「Stok Palace」と言ってもこれは昔の話で、現在は歴代王の寝室や宝石、数々の尊格のタンカ等を展示する博物館になっています。昔の写真パネル等も展示されており、非常に興味深い内容です。
ラダックで唯一のサキャ派の僧院。ここもやはり小高い丘の上に建っていますが、僧院の入口まで車で行くことが出来ます。 創建は15世紀前半。小さな僧院ですが見所はたくさんあり、特に内部の壁画は非常に良い雰囲気です。この僧院が一番盛り上がるのはチベット歴の1月。マトゥ・ナグランというラダックでも独特のお祭りが中庭で繰り広げられます。
レーから車でインダス川沿いの道を遡り、川に架かる小さい橋を渡ると、目の前にどことなくラダックの他の僧院とは趣を異にした僧院が建っています。17世紀に創建されたこの僧院の座主はスタクナ・リンポチェ。スピトク僧院のバクラ・リンポチェと並び非常に高名な方です。あまり大きな規模の僧院ではありませんがその影響力は絶大で、時折大きな法要が開かれています。僧院への登り道から眺めるインダス川はまさに絶景。見学後はずらりと並ぶチョルテンをコルラして下りましょう。ラダックで唯一のサキャ派の僧院。ここもやはり小高い丘の上に建っていますが、僧院の入口まで車で行くことが出来ます。創建は15世紀前半。小さな僧院ですが見所はたくさんあり、特に内部の壁画は非常に良い雰囲気です。この僧院が一番盛り上がるのはチベット歴の1月。マトゥ・ナグランというラダックでも独特のお祭りが中庭で繰り広げられます。
レーから車でインダス川沿いを遡り、ヘミス僧院近くを北へ。ラダックでも非常に珍しいニンマ派の洞窟僧院があります。 「タクトク」とは「岩の天井」という意味。1750年頃に創建されたこの僧院は、もともとあった洞窟を覆うようにして造られています。ニンマ派の開祖、グル・リンポチェが開いたといういわれもあるそうですが、実際のところは明らかではありません。薄暗い洞窟の内部にはグル・リンポチェが瞑想した言われる部屋が残っています。
荒涼とした山々を背景にそびえる雄大な姿。小高い丘の上に砦のような僧院が建っています。タクトク僧院とヘミス僧院を直線で結んだちょうど中間くらいにあるこの僧院はラダック全盛期の王であるセンゲ・ナムギャルを弔うため、1644年頃に建てられました。僧院内部には美しい壁画や仏像が所狭しと並んでいます。その姿、内容からラダックに数ある僧院の中でも必見の場所の一つです。
おそらくラダックで最も有名な僧院の一つ。青い空をバックに建つその雄大な姿はどこかで見たことがあるはずです。 岩山の中腹を僧房が埋め尽くし、頂上には本堂がそびえています。本堂のすぐ下まで車道が伸びており、そこから数分階段を登って僧院へ。15世紀創建のこの僧院には数多くのお堂があり、創建当時の壁画が残されています。 入口を入ってすぐ後ろのお堂では静かな笑みを浮かべるラダックで最大の弥勒菩薩像が見られます。
レーから車で約30分、道路沿いに大きな建物が見えてきます。シェーとは「水晶」の意味。15世紀まではこの場所にラダック王国の都が置かれていました。 現在残っているのは廃墟となった旧王宮と、その奥に建てられた僧院。息きらせながら王宮への階段を上り、僧院まで歩いて登ります。 僧院の横には大きなチョルテンが建っており、ぐるっと回って入る僧院内部の壁画は必見。また、チョルテンの横に立って眺める周囲の風景は本当に素晴らしいものです。夕方になると風が吹き荒れますので早い時間に行きましょう。 シェー王宮沿いの道路、少しレーよりに大きな岩があります。その岩肌には巨大な金剛界五仏の磨崖仏が残っています。いつ彫られたものかという詳細はわからないようですが、この周辺では一番状態の良いものです。ただ、本当に道路のすぐ脇、しかも車が猛烈なスピードで走っていきますのでご注意を。
ラダックで最も古い僧院。10世紀後半、グゲ王国の下でこの場所に僧院が建てられました。西チベット、ツァンダのトリン僧院、プランのコジャ僧院と共にイェシェ・ウーにより建てられた大翻訳官リンチェン・サンポの三大寺の一つとしてその名をはせたこの僧院。今は廃墟となり、当時の面影を残す物はほとんどありません。ここを訪れる際は必ずライトを持っていきましょう。あまり知る人はいないかも知れませんが、周囲に点在する朽ち果てたチョルテンの内部には少しですが当時の壁画が残されているのです。かがみ込んで内部を照らすと目の前には鮮やかな壁画が浮かび上がります。
レーからインダス川沿いの道を東へ走り、車で約1時間半の場所。インダス川を渡り曲がりくねった道を上がって行くと、ラダック最大で、最も有名なヘミス僧院に到着です。ここは17世紀の創建以来、ラダック王家の援助の下で非常に大きな力を持ってきました。僧院内には多くの部屋があり、それぞれの内部に素晴らしい数々の壁画や仏像、タンカ、マンダラが残されています。 この僧院が最も賑わうのは毎年夏に行なわれるヘミス・ツェチュの時。全チベット文化圏からの巡礼者、各国からの観光客で中庭が埋め尽くされます。祭りが一番盛り上がるのは最終日の早朝に行なわれるトンドル(大タンカ)のご開帳。日の出前にトンドルが開帳され、その下でグル・リンポチェからの祝福が人々に与えられます。ちなみに12年に一度、申年には通常とは異なるトンドルがご開帳されます。次回は2028年の予定です。
レーから見てインダス川の下流。空港を越えしばらく走り北へ向かうとこの僧院が見えてきます。1550年代に創建されたこの僧院の座主はトグダン・リンポチェ。全ラダックで最も敬われているリンポチェの一人です。中規模の僧院の中には素晴らしい壁画が残されています。一番の見所は護法神を祀るゴンカン。集会堂へ向かう階段の右手にあるお堂がそのゴンカンです。窓もないこの建物の内部には薄明かりに照らされる数々の忿怒尊や数多くの仏具、壁画が。本当の「密教」の世界を感じることが出来るでしょう。
レーから西に約40km。アルチへと続く道路を見下ろす丘の上に朽ち果てた建物が建っています。本線をはずれ未舗装の道を少し登り、その後歩いて建物へ。ここは15世紀に建てられた王宮の跡。当時の面影を残すものはほとんどありませんが、修復中の壁画と2体の大きな弥勒菩薩像は必見。アルチからレーへの帰りに立ち寄ることをお勧めします。
ヘミス僧院と並びラダックで最も力のある僧院の一つ。11世紀頃の創建と伝えられていますが、詳細はわからないようで、現在見ることのできる建物は、火災による焼失後の18世紀に再建された物です。リキール僧院へは綺麗に舗装された道が続いており、すぐ手前まで車で行くことが可能。 僧院のすぐ隣には1997年に完成した高さ20mほどの金色の弥勒菩薩像が建っていますが、その姿は遠くからでも望むことが出来ます。 チベット歴の12月末、この僧院でリキール・グストルというお祭りが開かれます。その際にご開帳されるツォンカパのトンドルは全ラダックで最大の大きさ。2月の一番寒い季節にあたりますが、一見の価値ありです。
アルチからインダス川沿いをラマユル方面に走るとウレトクポと呼ばれる小さな集落があります。そこから北側、谷に入りしばらく進むと目の前に大きな僧院が建っています。青く澄み渡った空と荒れ果てた山肌。小高い丘の斜面に重なるようにして建てられた白壁の僧房。そして、最上部には全ての僧房を束ねるかのように堂々とした僧院がそびえています。ラダックで一番新しいこのリゾン僧院は1840年の創建。全ラダックで最も戒律が厳しく、「修行すること」を唯一の目的として、ツルティム・ニマという商人の寄付により建立されました。 拝観できるお堂は多くはないのですが、僧院の最上部に立体マンダラが納められた小さな部屋があります。このお堂までの道のりはかなりややこしく、上ったり下ったり、たどり着くまでが一苦労。頑張って下さい。入口までは車を降りて20~30分、きちんと整備された石段を登ります。この僧院には学校もあり、息を切らしながらゆっくりと歩いていく横を、小僧さんが笑いながら走り抜けて行くかもしれません。
レーからラマユルへ向かう道のちょうど中間点辺り、インダス川に一本の橋が架かっています。色鮮やかなタルチョがはためくその小さな橋を渡り、荒涼とした景色の中をしばらく走ると、山間にひっそりとたたずむ緑豊かな小さな集落が現れます。 端から端まで歩いて5分くらいの本当に小さな集落。そのアルチの集落の一番奥に仏教美術の宝庫・アルチ僧院が佇んでいます。 10世紀末にリンチェン・サンポによって建てられたと伝えられるこの僧院には、現在「僧院」としての機能はほとんどありません。しかし、内部に残された創建当時の壁画、仏像はラダック随一の物。ここを見ずしてラダックに来た意味は無いといっても過言ではないくらいの美しさを誇ります 。いくつかのお堂が並ぶアルチ僧院の中でも特に素晴らしいのは、最も古い建物である大日堂と呼ばれる集会堂(ドゥカン)。入口のドアの周囲を細かな木彫りが飾り、内部の壁には目を見張る大きさ、美しさのマンダラが多数描かれています。 ゆっくり見学すれば半日以上はかかる僧院。この静かな集落に宿をとり、のんびりと見学するのが良いでしょう。
アルチの集落を抜け山の方にしばらく歩いた場所にひっそりと小さな僧院が建っています。正式な名前は無く、造られた年代なども全く不明ですが、周辺の人々がこの僧院の管理をしています。内部には数多くのマンダラが描かれているのですが、残念なのは保存状態があまり良くないことですが、その美しさは目を見張るばかり。アルチの集落から散歩がてら訪れてみるにはもってこいの僧院です。
レーを出発し、インダス川沿いの道路を下流へ。この道路はカルシという場所でスリナガルへ向かう道とダー・ハヌーへ向かう道に分かれます。スリナガルの方向へ向かうとしばらくして周辺の景色は一変します。 「月世界」こう表現するしかない美しい景色の中を走りしばらくすると目の前に大きな僧院が。ここがラマユル僧院、11世紀にこの場所に一つのお堂が建てられたのがこの僧院の始まりとされおり、また、カギュ派の開祖マルパの師匠であるナローパがこの場所で瞑想したと言われています。 普段はその大きさの割にはひっそりとしたたたずまいを見せる僧院が、毎年チベット歴の5月には大きな賑わいを見せます。ラマユル僧院のカブギャット祭。そのお祭りには周辺各地で修行をしている行者が集まり、ダー・ハヌーからも巡礼者が訪れ、レー周辺の僧院の壮大なお祭りとは違った素朴な雰囲気のツァムが繰り広げられるのです。現在は僧院の入口まで車道が整備されています。僧院をお参りし、その後、村の中を散策しながら車道まで下りてくるのがお勧めです。ラマユルからスリナガル方面へとしばらく走るとスリナガルとレーを結ぶ道路の最高高度地点であるフォトゥ・ラ(4,029m)に到着します。