秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

インドみどころガイド

アムリトサルとワガ国境

Amritsar and Wagah

アムリトサルは、デリーの北西約450km、パキスタンとの国境近くにあるパンジャーブ州最大の都市です。パンジャーブとは「5つの河」を意味し、インド国内でも多くの米や小麦を供給しているので、「インドの穀倉」とも称されています。 また、パンジャーブ州はインドで唯一、シク教徒が大多数を占める州です。アムリトサルは、国境の要衝であると同時に、シク教徒の総本山・黄金寺院があることで有名です。この黄金寺院は、「アムリタ・サロヴァル(不老不死の池)」と呼ばれる聖なる池の中央に建てられており、この池の名前が「アムリトサル」の由来といわれています。 他のみどころとしては、1919年に起きた「アムリトサル大虐殺」の現場に造られたジャリアーンワーラー庭園や、アムリトサルから約30km離れた町アターリーのパキスタンとの国境で毎夕行われるフラッグセレモニーなどがあります。

黄金寺院/ Harmandir Sahib

シク教徒の総本山・黄金寺院は、町の名前の由来にもなった聖なる池「アムリタ・サロヴァル(不老不死の池)」に囲まれています。ハリ・マンディール・サーヒブと呼ばれる聖堂内には、シクの聖典「グラント・サーヒブ」が安置されており、ハルモニウムやタブラーを伴奏にした聖歌が絶えず流れ、正に神聖な雰囲気に包まれています。 黄金のドームには、750kgの純金が張ってあると言われています。回廊を囲む建物の一画に博物館があり、シク教徒についての資料・文献や、過去の迫害や弾圧を描いた血なまぐさい画が並んだ画廊もあります。 このアムリトサルの黄金寺院に限らず、全てのシク教の寺院には必ず共同厨房と食堂があります。誰でも自由に入り、無料で食事を食べることができるのですが、これらは全て寄付によって賄われ、食事を作る人、食器を洗う人なども全員が無償で働くボランティアです。この食堂では皆、列に並んで座って食べますが、これはグルの前では万人平等というシク教の教えに基づくとされています。ちなみに、名前の最後に獅子を意味する「シン」を付けることもシク教徒の大切な約束ごとですが、これも皆平等の象徴だそうです。

※寺院参拝時の注意点 異教徒でも気軽に入れるのがシク教寺院の良い所ではありますが、シク寺院訪問の際は、履物を脱ぎ、足を洗い、頭(髪の毛全体)を布で覆うこと、煙草や革製品は持ち込まないことなど最低限のマナーは守るようご注意ください。

寺院には巡礼者の列が絶えません
夜は美しくライトアップされます

シク教/ Sikh

シク教とは、15世紀にグル・ナーナクによって興された比較的新しい宗教で、ヒンドゥー教とイスラム教を批判的に融合したと言われています。 「シク」とは、「グル(師)」に対する「弟子」という意味で、唯一の神グルに対して、万人は弟子であるという姿勢をとっています。開祖グル・ナーナクを含めて10人のグルがおり、黄金寺院を建立した。第4代グル・ラームダース以降は世襲制となりましたが、第10代のグル・ゴーヴィンド・シンはムガル勢力との激しい戦いで後継者である子供を全て失ってしまい、彼以降は聖典「グラント・サーヒブ」がグルとみなされるようになりました。敬虔なシク教徒は頭文字に5つのKの付くものを身に付けています。すなわち、長い髪(ケース)(※髪を切ってはいけないという掟からターバンを巻いています)、腕輪(カラー)、櫛(カンガー)、短剣(クーリパン)、短袴(カッチャ)です。「インド人=ターバン」のイメージは、商売上手で世界中に住んでいるシク教徒がそのままインド人のイメージになったと言えるでしょう。

シク教徒の巡礼者たち

ジャリアーンワーラー庭園/ Jallianwala Bagh

黄金寺院から徒歩5分の場所に、1919年に起きた「アムリトサル大虐殺」の現場に造られたジャリアーンワーラー庭園があります。 1919年4月13日、イギリス軍のダイヤー将軍は、イギリスの発布した集会禁止令に反対して独立運動の集会を開いていた非武装無抵抗のインド民衆に対して、機銃掃射を命令し、この将軍の狂気の命令を忠実に守ったグルカ兵(ネパールのグルカ族の兵士)たちは一斉に発砲しました。死者は379名、負傷者は1137名に上り、この出来事は、インド独立運動中に起こった最大の悲劇と言われています。 この庭園の中央には、犠牲者を悼む記念碑が立ち、銃弾の跡がはっきり残る壁の一画や、銃弾から逃れるために多くの人が飛び込み溺死したと言われている井戸も保存されています。

犠牲者追悼の碑
銃弾の跡が残る壁

アターリー(ワガ)国境/ Wagah

アムリトサルから約30km離れた町アターリーのパキスタンとの国境で毎夕行われるフラッグセレモニー(国境閉鎖式)は、両国の国民や観光客が集い、国歌や掛け声を掛け合って、応援合戦のように大いに盛り上がります。 双方の国境警備隊の兵士たちはそれぞれの自国の見物客の前を、隊列を組み、足を高々と踏み鳴らし、大きな掛け声をかけ、男らしさやプライド・愛国心を誇示しながら堂々と行進します。観客も拍手や歓声で応戦し、一体感が生まれます。両国の旗がゆっくり一緒に降ろされ、インドとパキスタンの両軍が固い握手と敬礼を交わす光景を目にすると、カシミール問題などで緊張状態にあるといわれている両国間にも調和が保たれていることを感じるでしょう。パキスタン側でこの国境閉鎖式を見たことがある方も、またインド側ではきっと違った雰囲気を楽しめることと思います。

ワガ国境のゲート
フラッグセレモニー
PAGE TOP