花のアムネマチン山麓
幻のブルーポピーを求めて
- 中国
2025.01.07 update
中国青海省、黄河源流のほど近くに位置するアムネマチン山麓には、7月になるとブルーポピーが群生します。インドやブータンなどで見られるヒマラヤのブルーポピーは、背が高くシャキッとした一凛の花が岩場の影にひっそりと咲きますが、アムネマチン山麓は、背丈が低く一つの株に複数の花が咲き、山の斜面に群生しているのが特徴です。その他にも黄色や赤のケシや、様々な高山植物を楽しむことができます。
旅の起点は青海省省都である西寧。ここから大型の観光バスで移動します。近年の中国のインフラ整備は目覚しく、山道ではありますが舗装されていて快適です。フラワーウォッチングのポイントは大きく分けて3つあります。
①青海湖湖畔
②アムネマチン山麓周辺
③黄河源流域マトゥ周辺
①青海湖湖畔
青海湖は中国最大の塩水湖。琵琶湖の6倍もあり、一見海のようにも思います。モンゴル語で「青い湖」という名の通り、晴れた日には紺碧の湖面がキラキラと日差しに輝きます。湖畔一面には菜の花が咲き、7月に満開を迎え、8月頃まで見頃が続きます。青い湖面や、黄土色の山を背景にした美しいコントラストがあちこちで見ることができます。菜の花で採れた蜂蜜が路面で売られていることもあります。
②アムネマチン山麓周辺
青海湖からアムネマチン山麓の町・マチン(瑪沁)へは南に450km。途中、カワスムド(同徳)の町に滞在します。同徳へ向かうには黄河を渡り幾つかの峠を越えていきますが、この間も様々な高山植物を楽しみながら移動します。この周辺では沈丁花の群生が広がっていたのが印象的でした。また、峠付近には黄色のポピーが咲いており、チューリップのように花が大きく、抜群の存在感です。
-幻の最高峰アムネマチン-
1944年、アメリカの軍用機がこの空域を飛行していた際、高度8500mを保っていたにも関わらず、目の前に山が現れ、あわや大惨事という事件があったようで、9,000mを超える謎の山されてきました。その後、中国では入域制限などがあり調査が進んでいませんでしたが、最新の技術を用いた計測では6,282mとなっています。チべット民族の聖地でもあり、山を望む丘などには無数のタルチョがはためいています。7月は雨の時期でもあるので、なかなかお目にかかるのは難しい、ある意味では今も幻の山とも言えそうです。私が訪れた時は、幸運に恵まれ、山の全容を望むことができました。
マチンからマトゥ(瑪多)へは幾つもの峠を越える山道を進みます。山の斜面の至るところに、様々な高山植物が咲き誇ります。ポピーも黄色や赤、紫など種類も増えてきます。山には野生の鹿の群が草をかき分け逃げていく姿もあり、移動中の車窓も飽きることがありません。
③黄河源流域マトゥ周辺
アムネマチンをマトゥ(瑪多)周辺までやってくるとブルーポピーの群生を見ることができます。これまではマトゥの奥にある黄河源流のオリン湖まで訪れることができましたが、2018年より環境保護のために立ち入ることができなくなってしまいました。それでも、マトゥへは訪れる人も少なく、峠周辺には高山植物が自然のままに咲いています。また、マトゥから西寧に戻る道すがらの峠道でも、ブルーポピーの群生に出会いました。
マチンやマトゥは3,500mを越える高所にあるため、高山病の心配もありますが、徐々に標高を上げていきますので、高度順応もしやすいコースです。7月なので雨季に当たり、雨が振ることも多々あります。気温は、朝夕は冷え込みますので、しっかりとした防寒具が必要です。宿泊施設は、田舎街にも関わらずしっかりとした建物ですので(暖房はなかなか効かないのですが)、安心してご参加いただけます。お食事は野菜の多い中華料理でどれも絶品です。峠でお花を探す際に少し斜面を登りますが、ご自身の体力に合わせて加減していだけます。どなたでもご参加いただけるフラワーウォッチングツアーですので、是非足を運んでみてください。