秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

COLUMN 南伝仏教のルーツを辿る

人口の約70%が仏教を信仰するスリランカでは、古来から釈迦自身が生涯のうちで3度来島したと信じられています。1度目は成道後9か月頃キャンディ東部のマヒヤンガナに訪れ、釈迦の光の輝きに先住民たちが恐れおののいたと記されています。2度目は成道後5年頃、弟子を引き連れジャフナ半島のナーガディーパに上陸、島の王が帰依の心を表しました。最後は8年頃コロンボ近くのキャラニヤで説法をし、全ての人が帰依したと語り継がれています。史実としては、紀元前3世紀、当時の都アヌラーダプラの王、デーヴァナンピヤティッサ王がシカ狩りにこの地を訪れた際、アショカ王の子（一説には弟）マヒンダに出会い仏教に帰依したことから、スリランカに仏教が伝わったとされています。その後、歴代王朝により庇護され発展した上座部仏教の教えは、海のシルクロードを渡り東南アジア諸国へと伝わっていきました。

インビテーション・ロックから望むマハー・サーヤ大塔

アヌラーダプラに祀られるスリー・マハー菩提樹

COLUMN スリランカにも栄えた大乗仏教

スリランカは上座部仏教の国ですが、大乗仏教が興隆した時代もありました。大乗仏教にたいする考えの対立により教派が分裂し、12世紀には大乗を否定する大寺派が再統一したことで、大乗仏教は消滅しました。ブドゥルベガラの岩壁に残る巨大な摩崖仏は、この地に大乗仏教が栄えたことを物語っています。中央には15ｍの仏陀像たち、左右に3体ずつの菩薩像が並びます。手には金剛杵を持つものもあり、スリランカにも密教が伝わってきたことを窺い知ることができます。

ブドゥルベガラの磨崖仏

COLUMN 王朝庇護のもと花開いた仏教文化　5つの世界遺産を訪問

■アヌラーダプラ

2500年以上前に栄えたスリランカ最古の都。通称ロック・テンプルと呼ばれるイスルムニヤ精舎本堂の極彩色の仏像は、近年に塗りなおされたものですが、今も信仰の対象になっていることが伺えます。またブッダガヤの菩提樹の分け木を植えたスリー・マハー菩提樹には、日々巡礼者の姿が絶えません。

イスルムニヤ精舎本堂

■ポロンナルワ

10～12世紀にかけてシンハラ王朝の首都があったとされるポロンナルワ。当時はタイやビルマから僧が訪れるほどの仏教の中心都市として繁栄を極めました。全長14mの巨大な一枚岩に座像、立像、涅槃像が彫られたガル・ヴィハーラ、高さ17.5mの壁に彫られた仏像ランカティラカなど、大規模な遺跡はその栄華を物語ります。
ワタダーゲ

■シギリヤ・ロック

言わずと知れたスリランカのシンボル。王都として利用されたのはたった11年間、狂気に満ちた王が築いた、密林の中の孤独な空中宮殿。古代から僧侶たちの修行場であった岩上に造られた遺跡群と、中腹の半洞窟に描かれたに描かれた美しいフレスコ画、18人の美女「シギリヤ・レディ」も見学します。

シギリヤ・ロック

■ダンブッラ石窟寺院

スリランカ最大の石窟寺院。岩山の山頂の5つ洞窟内に、所狭しと描かれた極彩色の仏画と涅槃などの仏像が安置されています。壁画は、スリランカの仏教説話や歴史、シンハラ人やタミル人との抗争の物語が描かれています。天井からは、絶えず一定の湧き水が滴り落ちており、聖水として儀式にも使われています。
ダンブッラ石窟寺院

■キャンディ

シンハラ王朝最後の都。4世紀、インドの現オリッサ州にあったカリンガ国の王子が、頭髪に隠して仏歯をスリランカに持ち込み、アヌラーダプラに奉納しました。仏歯は遷都の度に一緒に運ばれ王権の象徴となりました。豊饒祈願のペラヘラ祭では、仏歯を背中に載せた象が市内を練り歩きます。
釈尊の犬歯が納められている仏歯寺