北パンタナールに焦点を当てジャガーやアメリカバク、オオアリクイの観察・撮影を狙う。ジャガー観察をじっくり楽しむため8名様までの少人数限定企画。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。パンタナールとは一言で言えば、南アメリカ大陸の中央部にできた広大な窪みであり、野生動物の楽園となった世界最大の熱帯性湿地だ!雨季にはなんと80パーセントの土地が水没する平原と化し、人の開発を妨げた。そんなパンタナールの生き物を紹介する。
【監修】 秋山 知伸
#01
パンタナールとは
Complexo do Pantanal
パンタナールは、巨大で緩やかな傾斜がついた面積はおよそ20万km²、本州より少し小さい広大な平原である。そのうち1,878㎢が2000年に「パンタナール自然保護地域」としてUNESCOの世界遺産に登録された。また、ラムサール条約の登録地でもあるように水鳥も多い。乾燥と洪水を季節的に繰り返し、季節によって違う風景を楽しむことができる。つまり環境が多様で、環境が多様であることは多様な動植物が生息するということでもある。約1,000種の鳥類、約400種の魚類、約300種の哺乳類と480種類の爬虫類という、多様な生き物が生息しているのである。洪水平原生態系は水が溢れる洪水の段階から元々あった土壌の高さまで水位が下がり、乾燥状態になることを繰り返してできた地形だ。
ベストシーズンはいつ?
Best Season
年間の降水量は1,000から1,400ミリメートルで、雨が非常に多いわけではないが、高地で降った雨がパンタナール川を伝ってのパンタナールの大平原に貯まり雨期には巨大な湿地となる。気温は年間平均で摂氏25度であるが、年間の寒暖の差は0度から40度までと大きい。乾期は8月~10月だ。その時期は平原を覆っていた水が引き、トランスパンタネラと言われるパンタナールを縦断する道路からは残った水たまりが至る所にある。その水たまりには、無数のパラグアイカイマンが集まっていて再び雨期になり水が増えるのを待っている。そして、ズグロハゲコウやベニヘラサギといった鳥たちがその残り少ない水に群れとなって集まるのである。
ボートサファリ
Boast Safari
パンタナールではエンジン付きのボートに乗って動物を探すことができる。8月から10月はとても暑いのが普通。もちろん最大の目的はジャガーになるが、オオカワウソ、カピバラ、カワセミ類5種など多くの野生動物を観察できる。
ウォーキングサファリ&ジープサファリ
Walking Safari & Jeep Safari
パンタナールでは元々農場であったところが、エコツーリズムを始め、野生動物を見せるツアーが始まった。そのため牧場の中を車や歩きで陸上の動物を探す。オオアリクイ、コアリクイなどである。
#02
パンタナールの王者・
ジャガー
Jaguar of Pantanal
食肉目ネコ科ヒョウ属に分類されるネコはライオン、ヒョウ、ジャガー、トラ、ユキヒョウと5種類いるが、そのうち新大陸に分布するのはジャガーのみである。北アメリカ大陸南部から南アメリカ大陸に分布し、新大陸南部の生態系の頂点だ。
体長120-185cm、肩高68 - 75cm。尾45-75cm。メキシコでの雄の平均体重は約50kg。ブラジルでは平均体重オス94.8kg・メス77.7kg、ベネズエラでは平均体重オス95kg・メス56.3kgという報告例がある。特にブラジルのパンタナールの個体群が最も大型化すると言われ、この地域の雄は体重が136kgを超えることも珍しくない。体格に比べ頭骨が大きく、噛む力が強いのも特徴である。
ヒョウと似ているも言われるが、頭が大きく、足が短く、尻尾も短く、ヒョウよりもかなりがっしりしている。特にオスのジャガーはヒョウよりもメスのライオンくらいの大きさと迫力を感じる。
2000年ごろまでジャガーはほとんど幻の動物であった。それが2000年代に研究者が長く観察したことによって、ボートのエンジンの音を聞いてもジャガーがパンタナールの一部では隠れなくなった。そして観察が可能となり、パンタナールではジャガーを目玉とした観光が始まった。今でもジャガーを狙って観察できるのはパンタナールだけである。
ジャガー探しはエンジン付きのボートでのサファリだ。乾期の8月~10月にジャガーは川沿いを歩いて餌を探す。ボートで川を走らせるとカピバラやカイマンを探して歩くジャガーに出会うことができる。無線でボートは連絡を取り合っているのでひとつのボードがジャガーを見つけるとすぐに多くのボートが集まってくる。
ボートサファリの持ち物
夕方になると川の上には多くの昆虫が現れ、帰りのボートの一番前に座ると目をあけてられないほどぶつかる。また日中は暑く、暑い日ほど川辺でジャガーは休むので見られる確率も上がる。帽子、水筒、虫よけは必須だ。
ジャガーの撮影について
ジャガーからボートの距離は30mにも満たないことが多い。とくに支流で見つけた場合は川幅が狭いため距離も近い。撮影するならば100㎜~400㎜くらいのズームレンズが最も適している。
#03
パンタナールの哺乳類
Mammals of Pantanal
体長は65-120cm、尾の長さは 27–61cm、体重9-16kg 。とても美しいネコである。毛皮のために乱獲された悲しい歴史がある。南パンタナールの釣りを目的としてできたキャンプ場の釣り客が残す魚を食べにきていたのが、今は魚で餌付けされ、観察することも可能となった。また、トランスパンタネラのナイトサファリで水辺で出会うこともある。
体長85-140cm。尾長33-100cm。体重オス26-34kg、メス20-26kg本種のみでオオカワウソ属を構成する。よく鳴き声をあげ、9種類の鳴き声を使い分けていると考えられている。絶滅が心配される動物であるが、パンタナールでは普通に観察できる。ボートで追いかけると魚を捕まえ音をたてながら噛み砕くのも観察できる。個体数は減少していて現在約1500頭しかいないと考えられている。ジャガーよりも総個体数は少なく観察できるのは貴重なことだ。
和名:オニテンジクネズミ(鬼天竺鼠)。体長106 - 134cm。体重オス35 - 64kg、メス37- 66kgと現生の齧歯類でも最大とされる。川沿いで休んでいるのをよく見ることができる。ジャガーの餌ともなり、ツアー中にジャガーに捕食された瞬間も観察された。
別名ブラジルバク、ナンベイバクなど。最近になって数種に分けられたので和名が定まっていない。体長オス204cm、メス221cm。肩高77 - 108cm。体重150 - 250kg。全身は短い体毛で被われる。パンタナールだけでなく南米最大の陸上動物である。トランスパンタネラ道路の間にあるロッジでナイトサファリをすることで見られる可能性が高い。ボートサファリでも川を渡るのが観察されることもある。
本種のみでオオアリクイ属を構成する。体長100 - 120cm。尾長65-90cm。体重18 - 39kg。吻端は非常に長く、嗅覚も発達している。舌は細長く、最大で61cmに達する。地面に掘った浅い窪みで1日あたり14-15時間は休む。寝る時は体を丸め、尾で全身を隠すように覆う。移動する時は爪を保護するため、前肢の甲を地面に付けて歩く。背中に子供を乗せて運ぶ姿が見られたらとても幸運である。南パンタナールの牧場で観察しやすい。
アリ、シロアリ、ミツバチなどを餌とする。前肢の爪は非常に硬く、蟻の巣を壊すのに使うほか、身を守るのにも役立てる。怒ると身体をたて、地べたに座っているような格好になり、鋭い爪のある腕を広げる。とても怒っているのであるが、その姿は愛くるしい。
本種のみでカニクイイヌ属を構成する。体長64.3cm。尾長28.5cm。体重5 - 8kg。ナイトサファリで普通に観察できる。
別名カッショクオマキザル(Brown capuchin)。オマキザルの仲間はとても賢いと言われる。川沿いのボートから木々が揺れるのを見つけるとオマキザルであることが多い。
頭胴長45-90cm、尾長20-56cm、体重4-10kg。アライグマと異なり、体毛が荒くまた短い。アライグマよりやや大型で細身であり、体は黄色味を帯びる。
ハナグマ属に属する哺乳類の1種。南米に生息する。体重2–7.2 kg、全長85–113 cmになるが、全長の半分は尾が占める。体色は個体差が大きく、尾の縞模様は薄れることもある。
南北アメリカ大陸に生息する、イノシシに似た草食性哺乳類である。体長75 - 100cm、体高約46cm、尾長1.5 - 5.5cm、平均体重約14 - 18kgと、ペッカリー科現生3種の中では最も小型となる。頭部は鼻先が尖った楔形。眼は小さく、また外耳も小さく丸みを帯びている。牙(犬歯)は小さく、下向きに湾曲する。ノブタとの競争に負けて、個体数が減っている。
南アメリカに分布するアルマジロの1種である。体色は黄褐色または淡い赤みがかった茶色など黄色がかった色をしている。熱帯多雨林から草原まで広い範囲を生息地としているが、主に開けた草原生育する。
シカ類としては四肢と首が短く,小型シカ類のつねとして比較的太い胴は背中が弓形に湾曲する。枝分れしない長さ5cm以下の短い角をもつ。
カピバラと同じテンジクネズミ上科に分類される。大型のげっ歯類。森の林床を徘徊する。
【番外:爬虫類】少し前までカイマン亜科にはメガネカイマンとコビトカイマンしかいなかったが、メガネカイマンが分けられている。パラグアイ水系はパラグアイカイマンとして種となった。
#04
パンタナールの鳥類
Birds of Pantanal
パンタナールを代表する鳥と言えば、このスミレコンゴウインコとズグロハゲコウの2種である。パンタナールでしかほとんど見られない。
トヨヨと呼ばれ、現地で慕われている。
世界で最も美しいサギと言われる。最近まで幻の鳥であったがパンタナールやコスタリカなどで繁殖場所が見つかり、観察が可能となった。
南パンタナールのプラコ・ダス・アララスにある陥没してできた穴の岩壁にて多くのベニコンゴウインコが繁殖して、飛翔するのを上から観察することが可能である。
南パンタナールの農場などで観察できる。椰子の実が好物らしく、椰子の葉の上にとまっていることが多い。
タニシを専門に食べる猛禽類。タニシの殻の中の身を取り出すのに嘴の先が極端に細く曲がっている。パンタナールなどの湿地ならではの進化だ。
パンタナールで最もよく見ることができる猛禽類である。魚を専門に食べるのでミサゴのような食性のノスリである。
美しいグレーの体の色にオレンジの足が美しい猛禽である。河原の流木の上などで虫や蛇などを狙っている。
黒色が格好良い猛禽類。パンタナールのジャガーサファリで観察できる猛禽類としては最大である。
ハヤブサに近縁な猛禽類。南米を代表する猛禽類でもある。船が近づいてもあまり逃げない。
トランスパンタネラ道路の途中に繁殖している森がある。通るたびに楽しみになる場所である。
小さなフクロウで数は多いように思う。鳴き声はするが見つからないことも多い。
地面の穴を拝借して巣を作る。新大陸に生息。
新大陸最大のカワセミ類。パンタナールでも普通に見られ魚を捕る姿も観察できる。パンタナールではボートでかなり近くまで寄ることもできる。
二番目に大きなカワセミ類である。ミドリヤマセミ、コミドリヤマセミと南米には緑色のカワセミ類が特徴的である。
中型のカワセミ類。南米には5種のカワセミ類がいてそのすべてをパンタナールにで観察が可能である。クビワヤマセミ、オオミドリヤマセミ、ミドリヤマセミの3種はほぼ確実にジャガーを探していれば見ることが可能だ。
愛嬌のある姿でオモチャのような嘴を持っている。果実を食べているが、他の鳥の巣から卵や雛を狙う。
オオハシより小さいのでチュウハシである。シックな色が美しい。
南米特有の鳥であるキリハシ。川辺の樹にとまり、飛んでいる昆虫を狙う。メタリックな緑が美しい。
アジアならガマグチヨタカ、新大陸ならタチヨタカである。昼は動かずに樹に化ける。
ピンク色の美しいヘラサギである。トランスパンタネラの水たまりで是非見つけたい種である。
飛翔するとき、羽に蛇の目模様がある。歩いているのを見つけると、飛べーと心の中で思いながら観察することになる
下嘴が長く、飛びながらその下嘴で水面の魚をすくって食べる。休んでいるジャガーにも突っかかる強気な面もある。
ロッジの餌台に集団でくるのを観察できる。パンタナールにしかいない種でもある。
群れていることが多いインコ。パンタナールでは最もよくみるインコである。トランスパンタネラの電柱に巣を作っている。
小型のインコ。南パンタナールの農場でよく見るが餌台には来ない。
ラケット状の尾がとてもおしゃれである。姿も美しい。プラコ・ダス・アララスでベニコンゴウインコとともに観察したい種である。
南米を代表する鳥。集団でいることが多い。一見、地味に見えるのだが、よく見るととても美しい鳥であることに気づく。
オレンジ色の美しい鳥。ボートからオレンジ色の鳥が川の上を飛ぶのを見たらおそらくムクドリモドキである。新大陸は歴史的にアフリカやアジアより後に見つかったためなのか、モドキという名前がつく鳥が多い。
ツリスドリは名前が示すように樹の上に吊られた長い巣を作る。
パンタナールではレアの次に大きな鳥。樹の上から大声で叫ぶように鳴く。警戒声も遠くまで聞こえるのでジャガーが歩いている場所を予測することができる。
南パンタナールのロッジの餌台に来る美しい鳥である。
#05
パンタナールツアー一覧
Pantanal tours
※現在、募集中のツアーはありません。来シーズンの発表をお待ちください。
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パンタナール ジャガーサファリ10日間
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ブラジル・パンタナールにジャガーを求めて
南北パンタナールに計8泊滞在。大湿原に生きる野生動物の観察・撮影に特化した企画。ジャガー観察をじっくり楽しむため8名様までの少人数限定。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。 -
タテガミオオカミと光るアリ塚 パンタナール・ジャガーサファリ
セラードと呼ばれるサバンナ広がるエマス国立公園と世界的にも知られる大湿原パンタナール。2つの異なる環境で野鳥や野生動物の観察。タテガミオオカミやジャガーなど希少な野生動物を観察。光るアリ塚は計4回の観察チャンス。
※募集は終了いたしました。来シーズンの発表をお待ちください。