タグ別アーカイブ: Wildlife of Japan

十勝岳のナキウサギ The Japanese Pika of Tokachi-dake Mountain

北海道中央部の高山には氷河期の生き残りといわれる可愛らしいナキウサギが棲んでいます。ここで見られる種はキタナキウサギ (学名:Ochotona hyperborea, 英名:Northern Pika) の亜種、エゾナキウサギ(学名:Ochotona hyperborea yesoensis, 英名:Japanese Pika)です。冷涼な気候を好み、12度前後が適温と言われています。

ナキウサギの外観

ナキウサギとは? 

近縁のウサギと外観はかなり異なり、体長15~18cmと小さく、耳は丸くて短く、尾は短くて体毛に隠れて見えなく、足は短いので、一見するとネズミやハムスターのような姿です。しかし、歯の構造はウサギと同じで、ネズミの様に前足で物をつかむことはできません。名前の通り、オスはキチッ、キチッ、キチッ、と連続して4~16回強く鳴きますが、メスは単音、または不規則な連続音のみです。

ナキウサギの棲む環境

棲みかは「露岩帯」とか「ガレ場」といわれる大小の岩が積み重なったところで、天敵のエゾオコジョ、イイズナ、キタキツネなどの捕食者からの逃げ場所となるとともに、夏に岩の隙間には冷涼な空気が保たれます。また、近くに食料が得られる灌木や森林があることも条件となっています。

望岳台から見た十勝岳

十勝岳のナキウサギ

十勝岳の登山口である望岳台のガレ場には多くのナキウサギが見られます。冬眠をしないナキウサギは秋に食料を蓄えるために活動が活発になるのでベストシーズンとなります。特に晴れて風がなくてほどよく暖かいときには岩の上でじっとして日光浴をしますので、撮影や観察には良いでしょう。また、同様な環境を好むシマリスも見ることができます。

鳴き声をあげるナキウサギ

日光浴しているナキウサギ

地衣類を食べるナキウサギ

シマリス

白金温泉に宿泊して、ナキウサギの観察のついでに、早朝は「白金温泉の青い池」を訪ね、午前中はナキウサギの観察、午後は「美瑛の丘」巡りというプランも時間的に充実ですね!空気が澄む秋はお勧めです。

 

Photo & text : Hiromichi HAYASHI

Observation : Tokachi-dake Mountain, Hokkaido

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天売島2023・ウミガラス観察近況

オロロン鳥ことウミガラス Common guillemot の日本で唯一の繁殖地となっている天売島では、今年もウミガラスが餌を巣に持ち帰る姿が確認されました。餌を持ち帰るということは、ヒナが順調に生まれているということです、非常にうれしいですね!初めて確認をしたのは7月8日になりますので、ウミガラスの繁殖時期は例年通りのようです。

また、今年は繁殖地になっている洞窟では、デコイと本物のウミガラスを合わせて非常に窮屈になっており、まるで東京の満員電車のようです。

その為か、今年は7月に入ってから繁殖地の洞窟とは別に赤岩本体にも止まっている個体が頻繁に確認されています。

赤岩では、ヒメウ Pelagic cormorant も繁殖しており、隣の窪みに沢山集まっていました。この場所は陸上からは確認できない場所にあるため観察ができるのは、海鳥観察用の船の上からだけになります。

ウミガラスが集団で飛んでいる姿や、50羽ほどで海に浮いている姿も確認できていますのでウミガラスの観察は良好です。

群れで飛ぶウミガラス

群れで浮かぶウミガラス

一時は13羽まで減ってしまったウミガラスですが、個体数は順調に増えています。ただ、今年も繁殖場所は1か所のみと、繁殖場所の増加は確認されておりません。1か所だけだと天敵が現れるなど何かあった際に個体数が激減してしまうことも懸念されますので、次は繁殖場所が増えていってくれることを祈ります。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido

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神秘のマリンレイク(下地島)

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (4)

冬場の下地島は「地形ポイント」ダイビングの季節です。下地の三大地形ポイントとして「アントニオガウディ」「魔王の宮殿」「通り池」が知られていますが、この「マリンレイク」もなかなかの絶景ポイントです。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (3)

洞窟の入り口からホールへ抜けていき、そこから地上に空いた「池」に浮上するのですが、ホールまでの間も洞窟の隙間から光が差し、その間をアカマツカサ、ミナミハタンポなど暗闇大好きな魚が泳いでいます。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (9)

今回潜った洞窟の中でも、マリンレイクのアカマツカサの数はダントツ多かったように思います。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (2)

こちらも夜行性で暗闇にいるミナミハタンポ。時々リュキュウハタンポも混じっているようです。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (1)

色がとてもあざやかなウケグチイットウダイ。名前の通り、本当にウケグチで、こちらも暗闇メンバーズ。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (4)

魚を見ながらたどり着くのがこのホール、まるで舞台のようでした。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (5)

神秘的な光景の中をマリンレイクへ。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (6)

マリンレイクへと通じる穴。ここを浮上します。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (7)

マリンレイクに近づくと水の様子が変わり、まるで霧がかかったようです。これはケモクラインと呼ばれる現象で塩分濃度が違う水が混ざり合うことで生じる、不思議な景色です。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (8)

ケモクライン現象の見られるマリンレイクをゆっくりと浮上。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (11)

浮上したマリンレイク。このポイントは陸からもエントリーできます。

マリンレイク 下地島 ダイビング MARINE LAKE SHIMOJI ISLAND, DIVING DIVE IN OKINAWA (10)

そして再び潜航し、出口を目指しました。

地形の作り出す水中世界の美しさ、ケモクライン現象、暗闇好きのお魚たち・・・とても充実したダイビングでした。よろしければまとめ動画もどうぞ↓↓↓!

Marine Lake Shimoji Island|下地島地形ダイブ・マリンレイク

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Nov 2021, Shimoji – Irabu Islanad, Okinawa

Special Thanks : Reef Irabu  -Mr. Shimoyama  &  Ms.Yukina

抱卵するオイランヨウジ Banded Pipefish(屋久島)

オイランヨウジ Banded pipefish 屋久島 (1)

屋久島一湊湾で観察したオイランヨウジ Banded Pipefishのペアです。オイランヨウジはベースの体色は白くて吻端から尾びれにかけて赤褐色の横じまがあり、まさに「花魁(おいらん)」のイメージの華やかな尾びれを持つヨウジウオ科の魚。

オイランヨウジのペア(屋久島)A Pair of Ringed pipefish

オイランヨウジ Banded pipefish 屋久島 (6)

オイランヨウジはオスが育児嚢を持ち抱卵します。100個ほどの卵を抱き、卵は10日ほどで孵化、体長6mmの稚魚が誕生します。

オイランヨウジ Banded pipefish 屋久島 (3)

オイランヨウジは動物プランクトン食。このカップルのひそむ岩の隙間の入り口は小さな小さな稚魚で溢れ、捕食に大忙しでした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Jun 2021, 屋久島、鹿児島

Special Thanks : 潜り屋さま

ゾウアメフラシ Aplysia gigantea(冠島、若狭湾)

ゾウアメフラシ Aplysia gigantea 冠島 若狭湾  (3)

京都の日本海側、若狭湾の冠島で見た巨大アメフラシです。大きな海藻のような・・・え??と思って近づくと巨大なアメフラシがモリモリと海底を移動していました。

大きさは60センチくらいでしょうか、子犬のような大きさでした。写真と動画だけでゾウアメフラシと決めていいのかわからないのですが、調べていてゾウアメフラシAplysia gigantea の可能性が高いと思いました。ゾウアメフラシは最大70センチほどになる種で、日本、西オーストラリアで確認されている種です。

ゾウアメフラシ(冠島)Aplysia gigantea

とても活発に動くゾウアメフラシです。

ゾウアメフラシ Aplysia gigantea 冠島 若狭湾  (2)

アメフラシの名前は、刺激を与えたときに出す紫色の液体が海中で雨雲のように見えることに由来するといいます(諸説あり)。

そして英名はSea Hare =ウミウサギ。中国語でも「海兎」。この頭の2本の突起がウサギの耳にように見えることからついている名前です。

ゾウアメフラシ Aplysia gigantea 冠島 若狭湾  (5)

夢中で撮影。動きがあり、観察がとても楽しいゾウアメフラシでした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2021, Kaumuri-jima, Kyoto 冠島、京都

Special Thanks : 冠島ダイビングサービスさま

ザトウクジラの親子(奄美大島)

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (5)

3月上旬の奄美大島ホエールスイムツアーのレポートです。

あいにくのお天気と海況でまる5日間の滞在中3日間しか海に出ることができませんでしたが、船からはヒートランが観察でき、水中ではアクティブな1歳児を連れた母クジラ&エスコートを観察。

この日は午前中にクジラとのいい出会いがなく、午後になって「素敵な親子クジラがいる」との情報をもらいかけつけました。

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (4)

正面からやってきた親子。正面は本当にうれしい。

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (7)

はしゃぐ一歳児。水面でテイルスラップしたりペックスラップしたりととてもアクティブ。

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (2)

この母クジラはとても寛容で、子クジラが人間に近くてもエスコートと一緒に見守っています。子育ての経験があり、さらに人との距離に慣れてきているのでしょうか。

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (3)

母クジラの周りでお腹をみせてくるくる回る子クジラ。この子クジラも奄美を離れるころには自立しなくてはなりません。

奄美大島ホエールスイム Humback Whale Swim in AMAMI OSHIMA (8)

3頭で泳ぐ姿も圧巻です!

海に行けなかった日は金作原ウォーク、探鳥、マングローブカヌー、アマミノクロウサギ探しと、気が付いたら奄美大島の自然をたっぷり満喫するツアーになっていました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Mar 2021, 奄美大島、九州

Special Thanks : Dive Species AMAMI

(動画)キタキツネ恋の季節!(弟子屈、北海道)

キタキツネの求愛 courtship of Ezo red fox Wildlife of Japan 北海道の野生動物

2021年の冬の道東撮影ツアーのレポートです。旅も後半、弟子屈で滞在した鱒やさんの庭に現れたキタキツネ。キタキツネは1月下旬から3月下旬が交尾期で、出産は3月下旬から5月上旬です。訪れた2月半ばはまさにその真っ最中。2頭が不思議な動きをしていたので観察していたら、求愛行動が見られ、そして交尾。4月には鱒やさんの庭でキタキツネの赤ちゃんが見られるかもですね!

雪の林の中で見たキタキツネ2頭の求愛は、本当に美しいものでした。

Mating of Ezo red foxes キタキツネの交尾|西遊旅行

Video & photo : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 弟子屈、北海道

Special Thanks : 「鱒や」さま

 

飛翔、オオワシとオジロワシ(羅臼、北海道)

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (3) Wildlife of Hokkaido

冬の道東撮影ツアーのレポートです。羅臼の流氷クルーズ、今回は沖に流氷がなく、逆に漁港内に流氷が入り込んだためそこで撮影クルーズが行われました。

しかし、背景に建造物を入れずに撮るのは難しい・・・。前半は氷を入れて撮ってみて、後半は飛んでるオオワシ、オジロワシにロックオン。船のスタッフの方も、上手に魚を投げてくださいました。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (2) Wildlife of Hokkaido

船にめがけて飛んでくるオオワシ。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (11) Wildlife of Hokkaido

奪い合いの開始です。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (9) Wildlife of Hokkaido

海や氷に落ちた魚を取るより、横取りの方がリスクが低いのでしょうか。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (8) Wildlife of Hokkaido

争っています。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (7) Wildlife of Hokkaido

魚が飛んで行ってしまいました。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (5) Wildlife of Hokkaido

オジロワシの方が少し大人しい目?バトルはどちらかというとオオワシの方が多かったかもしれません(この日の朝の印象だけです)。

漁港内という場所の撮影ではありましたが(クルーズとは言えないですね)、天候に恵まれ羅臼の空を舞う、美しい海鷲の姿を見れた朝でした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 羅臼、北海道

Special Thanks : ゴジラ岩観光のみなさま

風蓮湖・氷上のオオワシとオジロワシ(根室、北海道)

Lake Furen Hkkaido Steller's sea eagle 風蓮湖 オオワシ Wildlife of Japan

冬の道東撮影ツアーのレポートです。2月半ばは気温が高め、雪も少なめで風蓮湖の氷も心配でしたが、オオワシ、オジロワシはいつも通り。何よりも今年は外国人フォトグラファーがいないので混んでいません。

朝、8時を過ぎると湖畔の木々にオオワシ、オジロワシが待機し、カラスは氷上で待ち構えていました。

Sea Eagles on Ice lake Furen 風蓮湖の鷲|西遊旅行

Video & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 風蓮湖、北海道

Special Thanks : 「レイクサンセット」さま

(動画)シマエナガ Long-tailed Tit (根室、北海道)

シマエナガ Long-tailed tit Birds of Japan, Birds of Hokkaido

2021年、冬の道東撮影ツアーのレポートです。恒例の風連湖でのオオワシ&オジロワシの撮影の後、シマエナガの撮影へ。カメラをセットして、まず現れたのはゴジュウカラ。北海道に生息するのは亜種シロハラゴジュウカラ Sitta europaea asiatica です。そして、シジュウカラ、アカゲラが現れ、ようやくシマエナガの声が!北海道のエナガは亜種シマエナガ Aegithalos caudatus japonicus で、日本にいる4亜種のうちの1つ。頭部が白く愛らしい姿をしています。

餌台にやってきて、そしてフォトグラファーのために用意されたツルメモドキの実がついた枝に乗ります・・・。このセッティングはシマエナガの愛らしさをひきたてます。

Long tailed tit シマエナガ|西遊旅行

冬の道東の撮影の新しい楽しみができました!

根室では風連湖のオオワシ、オジロワシの他、歯舞港でカモ類の観察、納沙布岬で北方領土を望みながら海鳥の観察(距離は遠いですが)と充実の滞在でした。

 

Video & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 根室、北海道

Special Thanks : レイクサンセット、Hobby’s World 吉成才丈さま