以前から一度は行ってみたいと思っていたパラオ共和国の「ジェリーフィッシュレイク」。ようやく訪問の機会がありました。水温上昇が原因なのか、2014年ごろに20匹くらいにまで減ってしまい心配されましたが、今は回復し十分な数のクラゲを見ることができました。
パラオの美しい海!コロナ・パンデミックで訪問者が激減したことで、サンゴが回復したり、魚がゆったりしていたりといいこともありました。
ジェリーフィッシュレイクがあるのはパラオのロックアイランドを構成する島の一つ、マラカル島。ロックアイランドはコロール州にある400ほどの島々の総称で昔のサンゴ礁が隆起してできた石灰岩の島です。日本のパラオ統治時代(1914年から1945年終戦までの31年間)には「パラオ松島」と呼ばれた景勝地です。
ジェリーフィッシュレイクへの桟橋に到着。ここからは歩いて湖まで行きます。森の中の山道の階段を上がって、下がって。あまり重いものは持っていかない方がいいです。
「Ongeim’l Tketau」はジェリーフィッシュレイクのパラオ名。下に「World Heritage Site」とありますが、2012年に「南ラグーンのロックアイランド群」として世界遺産に登録されました。
ユネスコのホームページには下記のように記されています。
「南ラグーンのロックアイランド群
パラオ南西部に浮かぶロック諸島の南ラグーンは、石灰岩の大小の島々と周囲のサンゴ礁からなる。445に及ぶサンゴ礁由来の島々は火山活動による隆起によって誕生し、淡水湖と海水湖からなる52の海洋湖は「生物進化の実験室」と呼ばれるほど多様な性質を持つ。746種の魚類、385種のサンゴ、13種のサメとマンタが生息する水域は、新種が次々と見つかる生物多様性の宝庫。現在は無人島だが、紀元前3100年から2500年間にわたって人が住み、洞窟や岩絵、墓など生活の痕跡があることから、複合遺産に登録された。」
パラオの海を潜っていると本当にたくさんの魚と出会えます。さすが世界遺産に指定された「生物多様性の宝庫の海」!
到着したジェリーフィッシュレイク。クラゲたちはこの湖を回遊しています。湖の端に浮桟橋がありここからエントリーします。
ここで、注意。クラゲはとってもか弱い生き物。フィンがあたると体が傷つき傘の部分と体が切れたりして死んでしまいます。フィンはゆっくり動かし当たらないように心掛ける必要があります。また、湖は下に行くほど酸素濃度が下がり硫化水素の濃度が上がるので潜ったりすることは禁止されています。また当然ですが日焼け止めクリームも禁止です。
エントリーしてしばらくすると数匹のクラゲが現れ、やがて周囲がクラゲだらけに。癒しの光景。
このクラゲはタコクラゲ Spotted jellyfish Mastigias papua の亜種でGolden Jellyfish Mastigias papua etpisoni と呼ばれるタコクラゲの仲間です。
タコクラゲの足は8本。中には少ない個体や多い個体もいるようです。ジェリーフィッシュレイクの亜種タコクラゲはタコクラゲと比べ触手が短いのが大きな特徴です。光合成で酸素や栄養素を作る共生性の藻類が体内にあり、藻類の光合成産物をエネルギーが得られるめ触手の役割が退化したと考えられるそうです。
それにしてもいつまでも浮いていられる不思議な光景!コロナ・パンデミック中の訪問のため観光客がほとんどおらず、ジェリーフィッシュレイクは貸し切り。「こんなことは二度とないよ」と言われました。
浮桟橋に戻るとかわいらしいお魚が!ホソスジマンジュウイシモチ Orbiculate cardinalfish、テンジクダイ科のお魚です。太平洋に分布し、浅いところで小さな群れを作る魚で、この時も7~8匹の群れでいました。
そしてここのホソスジマンジュウイシモチは「手乗り」するんじゃないかと思うほど近くにやってくる、人に慣れた子たちです。
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : Jan 2022, Jellyfish Lake, Parau