チュクチ海のウランゲリ島周辺でホッキョクグマの親子と出会いました。
ウランゲリ島 Wrangel Islandはロシアの北東部チュクチ海にある大きな島。東西100キロ、南北80キロありその形は「眠っているホッキョクグマの子供」のようです。
ウランゲリ島は1867年に初めてヨーロッパ人が上陸し「発見」した島で、1900年代初めは「探索」の名目でアメリカとロシアがその領土権を争いましたが1911年にロシアが領土宣言し、1926年には居住地を作りました。一時は島の開発も検討され集落が作られ、アメリカとの緊張が高まると軍事基地が置かれましたが、現在はそのほとんどが廃墟。
1976年に自然保護区となり、1997年に島の周囲12海里が海洋保護区に、2004年にはユネスコの自然世界遺産に登録されました。
2016年8月のウランゲリ島周辺は、氷が多く、ホッキョクグマたちはまだ島には上陸せずほとんどが氷の上で暮らしていました。夜21時、ホッキョクグマの親子を見つけました。
2頭の小熊をつれたホッキョクグマ。お母さんクマが船を気にしながら歩いています。ホッキョクグマの繁殖地であり、「ホッキョクグマ揺籃の地」と言われるウランゲリ島でさえ、そのデン(巣穴)の数は1990年代の調査から4分の一ほどまで減り、減少が心配されています。
小熊も船を見上げています。
氷の向こう側へ行ってしまいました。
再び姿を現し、お母さん熊が様子をうかがっています。
小熊たちも姿を現しました。
氷の上から船が遠ざかるのを見ています。
夜21時30分、暗くなり、霧も出てきました。ホッキョクグマの親子にお別れです。
霧と氷の中に消えていきました。
Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子
Observation : Aug 2016 , East of Wrangel Island – Russian Far east