グジャラートの大都市アーメダバードからわずか2時間ほどの場所にあるヴェラヴァダール・ブラックバック国立公園の紹介です。グジャラートのワイルドライフと言うと、やはり「インドライオン Asiatic Lion」、ササン・ギル国立公園が出てきますが、ヴェラヴァダールのブラックバック国立公園では他のサファリでは出会うことの難しい、インドオオカミ Indian Wolf、シマハイエナ Striped Hyenaと出会うチャンスがあり、何よりも美しいブラックバック Blackbuckの群れがいます。
国立公園はブラックバックを保護するため1976年に設立されました。最初は18平方キロメートルから始まった公園は1980年に16平方キロメートルが加わり、現在34平方キロメートル。小さな国立公園ですが、草原 Grassland part、湿地 Wetland partがあり、南はカンバート湾へとつながり大潮の満潮時には海水が入ってくる湿地があります。
3月上旬に訪問したときのサファリで出会った野生動物たちです。
ブラックバック Blackbuck オスの成獣は繁殖期にLekking Ground(メスにアピールするためのディスプレイを行う集団求愛場所・・・というのでしょうか)に集まり、角をぶつけあって争います。オスは年をとるほど毛の色がこげ茶~黒色になります。
こちらはブラックバックのメスの群れ。ブラックバックはかつて、地元のマハラジャにより狩猟対象となっていました。しかも、訓練したアジアチーターを使って狩猟をしていたことで知られます。このアジアチーター、16世紀のインド、ムガール帝国時代から狩猟で飼育されインドの独立まで藩主や貴族の間で使われましたが、1948年に最後の野生のアジアチーターが射殺され、インドから絶滅しています。
これはメスと若いオスの群れを率いるオス、アルファメイル(優位オス)。あごを上げて「アルファメイル・ウォーク」しています。
こちらはニルガイ NIlgai。最大の羚羊でインド亜大陸の固有種です。Nilgaiという言葉自体が「青い牛」を意味し、「牛」とついたからにはヒンドゥ教徒は食べることができず、狩猟対象となりにくかった野生動物です。
こちらはニルガイのメスのグループ。この時期、オスがメスを追いかけまわしているのを見かけます。
インドオオカミ Indian Wolf。ヴェラヴァダール・ブラックバック国立公園では増加傾向にあります。
シマハイエナ Striped Hyenaくんです。夜行性なので早朝か夕方のサファリの一番最後に見れるチャンスがあります。
こちらはジャングルキャット Jungle Cat。公園内に何箇所か人口の水場があり、そこに水を飲みにきていました。
湿地エリアにいくとインドトキコウ Painted Storkが。
ヘラサギ Eurasian Spoonbillです。
草原エリアのあちこちで見かけるシマシャコ Grey Francolin。
こちらはインドイシチドリ Indian Think-kneeのご夫婦。
他にもイノシシWild Boarやたくさんの野鳥を観察することができました。決して派手な「サファリ」ではありませんが、草原を歩くブラックバックの群れ、インドオオカミ、シマハイエナはやはりこの国立公園のハイライトです。
そしてこの公園を訪問するときに楽しみにしているのが、ブラックバックロッジ Blackbuck Lodgeでの滞在。自然の中に配置された部屋からブラックバックの群れの姿、敷地内の池に集まる水辺の鳥など楽しむことができます。そして、サファリ風の内装が素敵な建物。
水辺に建てられたテラスから野鳥を観察。
セイケイ Purple Swamphen、ヨシゴイ Yellow Bitternです!私はここで初めてYellow Bitternを見たのでかなりうれしかったです。
客室コテージは大きく、ゴージャスなバスルーム。草原が見えるテラスがあるのも素敵です。
ヴェラヴァダールのサファリは他の国立公園のサファリと違い観光客も少なく、サファリガイドも地元の人たちが「学びながらやってまーす」というのが現状ですが、身近な自然にいる珍しい野生動物と出会える国立公園です。
Photo & Text : Mariko SAWADA
Observation : March 2018, Blackbuck National Park, Velavadar, Gujarat,India
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