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BIRDING in ANDAMAN – アンダマン島で探鳥

Andaman Serpent-Eagle アンダマンカンムリワシ

12月、渡り鳥も加わりバードウォッチングのコアシーズンを迎えたアンダマン諸島の探鳥レポートです。アンダマン諸島は「なんでここがインド?」と思ってしまう、どちらかというとマレー半島やスマトラ島が近いロケーション。かつての大英帝国インドの政治犯が収容された流刑地でもあり、独立後はもちろんインドに帰属。今は、デリー、コルカタ、南インドの諸都市と複数の航空会社で結ばれ、インド人のハネムーンや家族旅行のメッカとなっています。そしてインドのバードウォッチングのメッカでもあります。

アンダマン諸島が見えてきました。たくさんの小島がありますが、上陸が許されるのは限られた島だけで、特に外国人は訪問できる島は少ししかありません。

ポートブレア着陸前の景色。緑が豊かで期待で胸が膨らみます。今回のアンダマン島&リトルアンダマン島の滞在で固有種21種、固有亜種11種、留鳥・冬の渡り鳥55種の観察ができました。インド亜大陸の鳥好きには一気に種数が増えるうれしい場所です。

アンダマン島南部滞在の2日間で観察(写真が撮れた)野鳥たちです。

Collared Kingfisher ナンヨウショウビン Todiramphus chloris davisoni ナンヨウショウビンのアンダマン諸島&ミャンマー領ココ島の固有亜種。今回の探鳥の旅で一番最初に見た鳥です。Chidiya Tapu(南アンダマンの有名な探鳥地)へ向かう途中の海岸で観察しました。

Long-tailed Parakeet オナガダルマインコはアンダマン諸島&ニコバル諸島固有種。インド人の観光客でいっぱいのBurmanallar Beachの木にいました。あちこちでよく見かけたインコです。

こちらはアンダマンの留鳥で、Red-breasted Parakeet ダルマインコ。ネパールのタライ平原の森や北東インド、アンダマンにいるインコです。Long-tailed Parakeet(オナガダルマインコ)と一緒に海岸の木にいました。

初日に見た鳥のハイライトは、Andaman Nightjar アンダマンヨタカ(アンダマン諸島固有種)。リトルアンダマン島でも夜に観察トライしましたが、入れたのはこれが最初で最後でした。でも日中の光で見れてラッキーです✨

翌朝はフェリーで対岸に渡りShoal Bayの森へ。早朝に行ってAndaman Crake(アンダマンオオクイナ)とか狙ったのですが音はするけど見れず。その後は森の小道を歩いて探鳥。

Andaman Treepie アンダマンオナガ、アンダマン諸島の固有種です。

Andaman Woodpecker アンダマンキタタキ、アンダマン諸島固有種。リトリアンダマン島でもよく観察できた鳥です。

キツツキの仲間はもう1種観察できました。Freckle-breasted Woodpecker ムナホシアカゲラ(和名不明?)Dendrocopos analis andamanensi  でアンダマン諸島の固有亜種。”Birds of Indian Subcontinent”の本では Spot-breasted Woodpecker として載っていますが、この名前で検索すると南米のキツツキがでてきました。

なお、前の名前はSpot -beasted で「点々のある胸の」、新しい名前はFreckle-breasted で「そばかすのある胸の」、です。

Andaman Bulbul アンダマンヒヨドリ、アンダマン諸島固有種。

この森では非常にレアな冬の渡り鳥を見つけました。Arctic Warbler コムシクイです。ガイドは興奮してすぐにeBirdに登録、数年ぶりのアンダマンでの確認とのことでした。

3時間の探鳥を楽しみ、いったんポートブレアのホテルへ。

午後はSippighat地区の湿地、マングローブで探鳥。上空を飛ぶ、White-belied Sea Eagle シロハラウミワシ。アンダマン島でも、リトルアンダマン島でも毎日見る鳥でした。

マングローブ林の中にいた、Ruddy Kingfisher アカショウビン Halcyon coromanda mizorhinaアンダマン諸島の固有亜種です。このほか、Stork-billed Kingfisher コウハシショウビンもいました。

湿地に群れをなしていた、Andaman Teal アンダマンシコガモ、アンダマン諸島固有種。開発による生息地の減少とハンティングにより(禁止なのですが・・・)、個体数が激減していると聞きました。ガイドの話では、アンダマン諸島だけでなくニコバル諸島でも開発や港湾整備などで野生動物の生息地が脅かされています。”Birds of Indian Subcontinent” の本にはSunda Tealで載っています。

この湿地の草原には冬の渡り鳥が来ていました。Yellow-breasted Bunting シマアオジです。ユーラシア大陸中部~シベリアで繁殖し、冬にインド亜大陸に広く移動しますが、アンダマンへは稀な冬の渡り鳥です。フォトグラファーに囲まれてました。

Eastern Yellow Wagtail ズアオツメナガセキレイ(和名不明?)アラスカからロシアまでの北極圏のツンドラで繁殖し、冬の渡りの時期は東南アジアの草地や水辺で見られ、インドでは稀な渡り鳥です。

Pied Harrier マダラチュウヒ、アッサムで繁殖し、冬に北東インドなどへ移動しアンダマンにも来る鳥です。

この湿地では、Dusky Warbler ムジセッカ、Oriental Reed Warbler オオヨシキリ、Clamorous Reed Warbler チュウヨシキリ、Red-throated Pipit ムネアカタヒバリ、Blue-tailed Bee-eater ハリオハチクイ などの渡り鳥を、水辺では Common Sandpiper イソシギ、Pacific Golden Plover ムナグロ、Lesser Sand Plover メダイチドリ、Common Redshank アカアシシギ、Long-toed stint ヒバリシギなどの渡り鳥を観察。アンダマンでは Black-winded stilt セイタカシギが珍しいとのことでガイドが興奮していました。

翌日の午前は再びChidiya Tapuで探鳥。Greater Racket-tailed Drongo カザリオウチュウはアンダマンの留鳥です。亜種ではありませんが、スリランカ、アンダマン&ニコバルのカザリオウチュウは、冠羽がなく、尾羽の形状以外はLesser Racket-tailed Drongo(ヒメカザリオウチュウ )みたいに見えます。これまで撮影の難しい鳥だと認識していたので、ビデオも撮影できるほどの数と近さに驚きました。
アンダマン諸島にはオウチュウ3種おり、Andaman Drongo、Ashy Drongoがいますが、Ashy Drongoは観察しにくいそうです。

留鳥の Black-naped Monarch クロエリヒタキ

Scarlet Minivet ヒイロサンショウクイ♂、アンダマン諸島の留鳥です。

Crested Serpent Eagle カンムリワシ Spilornis cheela davisoni、アンダマン諸島の固有亜種のカンムリワシ。

こちらはアンダマン諸島固有種の Andaman Serpent-Eagle アンダマンカンムリワシ

訪問したBilogical Park の Andama Water Monitor(アンダマンミズオオトカゲ)のいる池で餌を横取りしていた、シロハラウミワシくん。威嚇するAndaman Water Monitor(V. s. andamanensis)も好きな人にはたまらない光景です。

ここではAndaman Shama アンダマンシキチョウの撮影をがんばりましたが、残念ながら撮れず。声とチラ見だけで終わりました。

そして午後はロス島とアンダマン刑務所、日本軍が一時占領し日本の歴史にも触れる場所を訪問し、探鳥と観光を満喫です!ロス島は「密林に埋もれる遺跡」マニアにはお勧めの場所です♪♪

ロス島・・・イギリス植民地時代の建物が樹木に覆われています、鳥がいれば最高なのですが。

ところで、北センチネル島ご存じですか?誰も上陸が許されない非接触部族が暮らす島です。ポートブレア離発着の際に見えるのです。非接触部族の人たちは、空には複数の飛行機が見え、インドのごみが大量に海岸に漂着している現状をどう思っているのでしょうか、大変興味深いです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2022, Andman Island, India

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ヒマラヤの野鳥にカンチェンジュンガ!シンガリラ国立公園(インド)

インドの首都デリーから国内線で西ベンガル州のバグドグラ空港へ。晴れるとネパール・インド・ブータンにまたがるヒマラヤも展望できるフライトです(往路は左側(A側)の席がお勧めです)。バグドグラ空港からネパール国境へと4時間ほど走ると到着するのがマネイバンジャン。ここがシンガリラ国立公園訪問のベースとなる町です。

シンガリラ国立公園(Singalila National Park)はネパールに接する国立公園で、世界第3位峰のカンチェンジュンガ 8,586m展望地としても有名で、多くのインド人トレッカーが訪れる場所でもあります。

この国立公園はレッサーパンダ (Red Panda)が見られることでも知られています。もちろん観察は容易ではなく、秋の実のなる季節に5日ほどかけて探すことになります。運がいいと、樹冠のキウィの実を食べているレッサーパンダを車道から観察できることもるようです。2022年はキウィの実がならず、レッサーパンダ受難の年となりました。ただでさえ、「エキゾチック・ペット」としての密猟が絶えないのが現状です。インド側では厳しく取り締まられていますが、国境を接するネパール側では密猟が横行していると聞きました。

シンガリラ国立公園に入ったカンチェンジュンガ展望地の道ですが、右側の森林が広がるのがインド側、左の気が伐採されているのがネパール側。この景色はちょっとショックでした。

この道は本当に「国境」を走っており、通過する山小屋は「インド側」だったり、「ネパール側」だったりします。インド人はネパール側のロッジに宿泊することができますが、外国人はインド側のロッジにしか泊まることができないそうです。

マネイバンジャンからカンチェンジュンガ展望地のトングルーへ向かう途中に何度も道路で見かけたセボシエンビシキチョウ Spotted Forktail 。

「地べた系」の鳥は写真が難しいです、ミヤマハッカン Kalij Pheasant のオスとメス。オスもメスも目の周りの皮膚が赤く、とても大きな尾羽をしています。

ノドジロシマドリ Hoary-throated Barwing

ノドジマコバシチメドリ throated-winged Siva (またはBar-throated Minla)

ノドジロチメドリ White-browed Fulvetta

ヤマガラモドキ Rufous-Fronted Tit

シロスジガビチョウ Striated Laughingthrush

ロッジや村の周りで容易に観察できる、キンバネガビチョウ Black-faced laughingthrush。

ズアカガビチョウ Chestnut-crowned laughingthrush はキンバネガビチョウの群れに1~2羽混じって採餌していました。

キバラシジュウカラ Green-backed tit

キバシサンジャク Yellow-billed blue magpie はキンバネガビチョウと同じく、ロッジや村の周りに現れます。飛んでいる姿が美しい鳥です。

キバラアカゲラ Darjeeling Woodpecker

地べた系、藪の中系の野鳥には苦労しました。しっかり観察・撮影できなかったのがヒマラヤダルマエナガ Brown Parrotbill。竹の皮をはがす音の方向をしっかりさがしましたが一瞬しか姿を見せてくれませんでした。

シンガリラ国立公園内のトレッカーロッジは本当にシンプルな作りです。電機はソーラー蓄電のささやかなものだけで、トイレは共同。

ロッジを経営しているのはネパール人です。食事に凝っているロッジのキッチン。

地元ビールHIT SUPER STRONG(8%!)とパコラのおつまみ。

満点の星空に包まれたロッジ夜。

夜明けには町の明かりと紫色に染まるカンチェンジュンガの姿。ダージリンの町から見るカンチェンジュンガとは一味違う景色とヒマラヤの鳥を楽しめます。

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2022, Singalila National Park, West Bengal – Nepal border, INDIA

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繁殖羽のヘラサギ・夏のインドで探鳥!バラトプール編

繁殖羽のヘラサギを見たかったので、バラトプールに行ってきました。とても素敵なヘラサギのディスプレイの写真を見たことがあり、いつかそんな姿が見れたらいいなと思っていました。

バラトプールは世界遺産でもあるケオラデオ国立公園 Keoladeo National Parkがあり、この国立公園は他の国立公園と違い、閉鎖期間がほぼなく夏でも入場可能です。が、ヘラサギの繁殖地は公園内ではなく、村の周りの池にありました。

訪れた7月下旬はちょうど求愛の季節でした。ペアの仲良い姿。

ヘラサギ Eurasian Sponnbill はユーラシア大陸とインドで繁殖し、アフリカやアジアへの渡りを行う鳥ですが、インドではインド西~南部では留鳥として観察されます。このバラトプルも、ケオラデオ国立公園や周辺の水場でヘラサギを一年を通じて観察することができます。

冠羽をはでに開いた繁殖羽のヘラサギ。

冠羽が・・・。

この池ではヘラサギ以外の水鳥も繁殖していました。クロトキ Black-headed Ibis は、ヘラサギと同様にインド西~南部で留鳥として観察されます。この時期、すでに雛が誕生していました。

アオサギ Grey Heron も繁殖していました。この季節のアオサギの美しいこと!

雛の姿が見えました!

チュウサギ Internediate Egret のペア、繁殖期の美しい色。

ゴイサギ Black-crowned Night Heron のペア。足が赤くキレイ。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の幼鳥。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の雛の姿も。

人との距離がとても近い、村の池で繁殖する水鳥たち。この距離の近さは「インドならでは」です。

<観察できた鳥(07:00-09:00am)> ヘラサギ (Eurasian Spoonbill)、クロトキ (Black-headed Ibis)、ヨシゴイ (YellowBittern)、ゴイサギ (Black-crowned Night Heron)、アオサギ (Grey Heron)、ムラサキサギ (Purple Heron)、チュウサギ (Intermediate Egret)、ダイサギ (Great Egret)、コブガモ (Knob-billed Duck)、アジアコビトウ (Little Cormorant)、セイケイ (Purple Swamphen)、アジアレンカク (Bronze-winged Jacana)、シリアカヒヨドリ (Red-vented Bulbul)

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : End July 2022, Bharatpur, Rajasthan, India

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ベンガルトラと出会う! タドバ国立公園 Tadoba National Park (1)

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (12)

インドのタドバ国立公園のベンガルトラのサイティングレポートです。2016年トラシーズンのタドバは、マヤとソナムの2匹の雌と子供たちの出現で観光客はおおいににぎわっていました。でも、他のトラたちもプレゼンスを忘れていません。タドバのベンガルトラたちは比較的、「人慣れ」してます。

タドバ国立公園について

1955年に設立された国立公園で、国立公園116平方キロメートル、隣接するアンデリ野生動物保護区509キロ平方メートルを含め625平方キロメートルがトラの保護区域となっています。2016年現在、60頭以上のベンガルトラが確認されています。また、タドバ国立公園は今も公園内に人が住んでおり、村を移動させる努力が続けられている国立公園でもあります。サファリジープに乗って公園内を移動している時に道端に座りバスを待っている村人を見かけるのは不思議な感じがします。

ある朝、竹林をドライブしていると「アラームコール」が響きました。しばらく待っていてもトラが現れる様子がなかったので移動しようとしたところ、私たちの前にいたジープが「待て」のサイン。

トラの登場です。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (4)

6歳くらいの雄、パンドゥと呼ばれている雄です。頻繁に目撃される雄ではなく、ラッキーな遭遇です。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (1)

木にすりすりしてマーキング。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (2)

木にオシッコを吹き付けてマーキング。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (3)

立派な若い雄です!

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (5)

道路に出てきました。あっちを向いて・・・

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (6)

こっちを向いて・・・

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (7)

3台のジープの間を悠々と歩いていきます。どうしたいのか、ベンガルトラ。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (9)

座り込みです。3台のジープの真ん中で座り込みました。以前にも同じようなトラの行動を見ましたが、これもちょっとしたマーキング?アピール?私たちはただひたすら、トラを眺め、次の行動を待ちます。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (10)

立ち上がって、歩き始めました。

インド タドバ国立公園 ベンガルトラ (11)

そして竹藪の中に入り、糞。マーキングです。この後、トラは藪の中へ姿を消しました。・・・緊張のショータイム、終了。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Apr 2016 , Tadoba National Park,  Maharashtra, India

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