タグ別アーカイブ: ミステリーサークル

奄美大島ダイビング

★Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

5月の奄美大島ダイビングのレポートです。アマミホシゾラフグを狙って15ダイブのうち、10ダイブをアマミホシゾラフグのサークルづくり観察に投入しましたが、残りの5ダイブも充実の生き物観察でした。>>「アマミホシゾラフグのサークルづくり」はこちら

Broadclub cuttlefish コブシメの卵 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (5)

この時期はコブシメの産卵の季節。本来、コブシメも観察予定だったのですが、今年は数が少なく集団で産卵する様子は見れませんでした。ユビエダハマサンゴの奥にあったコブシメの卵です。中に赤ちゃんが見えてます、まだ小さいですね。

コブシメの体色変化 color change of Broadclub cuttlefish

コブシメの体色変化は本当に面白いです。私が近づいたら機嫌が悪くなり、少し移動してから擬態はじめました、笑。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (8)

外洋の砂地にある根にいたカシワハナダイのオス。スカシテンジクダイの群れを背景に泳ぐ姿はとてもきれいでした。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (7)

外洋ポイントのキンメモドキの群れ。

ゾウゲイロウミウシ Hypselodoris bullockii 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

ゾウゲイロウミウシを赤いカイメンに乗せて撮影。和柄みたいになりました。

Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

このポイントの嬉しいのは水深15mと浅いところにピグミーシーホース Hippocampus bargibantiがいることです。このピグミーシーホースは、黄色や赤色のウミウチワというソフトコーラルについています。擬態して同じ色になり、さらにポリプまで擬態。初めて小笠原で見たときはどこにいるのかわかりませんでしたが、回数を重ねて少しわかるようになってきました。

大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (2)

そして大仏サンゴ。大きなコモンシコロサンゴ群です。

Purple queen ハナゴイ 大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (1)

サンゴの上にはハナゴイが群れていました。

Purple queen ハナゴイ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (12)

尻尾が黄色くなった婚姻色のハナゴイのオス。私が近づくと黄色かった尻尾が卵色になりました。興ざめしたようです。

ハナゴイ乱舞 Purple queen wild dance(Videography by Chizuko MURATA)

ハナゴイが雨のように降る光景も見れて、大変きれいでした。

Bubble Coral Shrimp 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (13)

バブルコーラルシュリンプ。卵を抱えていました。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (6)

そしてハイライトのアマミホシゾラフグのサークルの観察です。水底は細かい砂で巻き上げないようにかなり注意しなくてはなりません。着底してしばらくするとモクモクと濁ってきたりします。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (16)

天気が悪く透明度の悪い日なんてこんな感じです。深いし透明度のこともあり、しっかり観察したい人は複数回のチャンスがあったほうがいいのです。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (4)

仕上げ段階のアマミホシゾラフグ。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (3)

完成したサークル。このサークルを上から見ることなくこれだけ緻密に完成させるアマミホシゾラフグ、ただものではありません。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (14)

あとはメスを待つだけ、アマミホシゾラフグのオス。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (15)

翌日、卵(真ん中の灰色のもの)が産み付けられたサークル。このあと、オスは卵のお世話だけをしてサークルのメンテナンスは行いません。

奄美大島に6連泊したのですが、毎日の食事はとても楽しみでした。毎日が食べ歩きの日々。シマダコ、コブシメ、キハダマグロ、タイの仲間、夜光貝・・・。

奄美のおすすめレストラン 纏(まとい)奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (18)

毎日雨が降った梅雨の奄美大島でしたが、海と食を堪能したダイビング企画でした、ご参加のみなさま、お世話になったダイブシピーシーズ諏訪様ご夫妻、ありがとうございました!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photographs and video provided by Chizuko MURATA

Observation: May 2022, Amami-Oshima

Special Thanks : Dive Spiecies Amami, Mr.Suwa Homare

アマミホシゾラフグのサークル作り(奄美大島)

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (2)

テレビでも番組が放映されたりして話題になった、奄美大島の「海底のミステリーサークル」。1995年に水中写真家が見つけ、だれがいったい、何のために作ったのかわかっていませんでした。それが小さななフグが作ってると分かったのは2011年のこと。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (1)

奄美大島の「海底のミステリーサークル」。水深30m付近に作られることが多く、深さのため長い時間潜って観察することもできず、また季節も潮回りも限られるため、この作り主のフグに出会うまでに16年かかったのだそうです。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (32)

これがアマミホシゾラフグ Torquigener albomaculosus のオス、サークルの作り主です。このフグは2014年に「新種」として登録されました。アマミホシゾラフグの名前は背中の水玉模様が奄美大島の夜空の星のように美しいことに由来します、本当にキレイな名前!

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (26)

私たちはこのアマミホシゾラフグがサークルを作る過程を5日間にわたって観察しました。この写真はサークルのふちを貝殻で飾り付けているアマミホシゾラフグ。大きい貝はかみ砕いたりもするそうです。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (8)

サークルづくりの最初は気に入った場所の海藻などを取り除く作業から始まります。サークルの基礎となる溝を作っていきます。外側のサークルの溝作りでは胸鰭で砂を左右に巻き上げ、その砂が両側に堆積し、より深い溝になっていきます。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (21)

サークルの真ん中の卵を産んでもらうところはお腹でやさしく浅い溝を作ります。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (29)

サークルづくりの仕上げをするアマミホシゾラフグ。最終メンテナンスに大忙しです。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (27)

あとはこのサークルを気に入ってよってくるフグの女の子を待つだけ!

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (38)

2022年の5月上旬の潮回りのときは、潜れる範囲に7つのサークルがありました。この日の朝、サークルの真ん中に卵がありました。真ん中のグレー色のものが卵です。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (36)

卵を産むとメスはすぐにいなくなってしまい、オスがせっせと卵のお世話をします。ヒレで卵と砂をかきまぜ、新鮮な海水を送ります。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (37)

卵のお世話に忙しいアマミホシゾラフグのオス。もうサークルのメンテナンスは行われなくなり、少し崩れ始めています。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (22)

で、7つのサークルのうち6つのサークルには卵があったのですが、私たちが毎日見守っていた水深30mの「フグ太」のサークルには卵がありませんでした。毎日見ていた私たちにとって「一番キレイで立派なサークル」と思っていたのですが、フグのメスに選ばれなかったのです。フグと私たちの選ぶ感覚に差があるのでしょうが、それでも「コンクールで一等確実と思ってた子が予選落ちした」感じで非常に納得いきませんでした。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (23)

健気にまだメンテナンスをするフグ太。それでも昨日ほどの元気はなく、ショボショボと作業をしていました。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Torquigener albomaculosus white-spotted pufferfish mystery circle ミステリーサクル Dive in Amami-osihma (35)

フグ太。この時のサークルは最終的にメスに選ばれず、放棄されました。繁殖シーズンはあと2か月ほど続きます。次の潮回りではきっと女の子に選ばれるサークルを作ってね、と祈りながら海底を後にしました。

5日間15ダイブのうち、10ダイブをアマミホシゾラフグの観察に費やしました。サークル作り、メンテナンス、卵のお世話・・というステージを観察。相当、頭のいいお魚です。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : May 2022, Amami Oshima

Special Thanks : Dive Species Amami, Mr.Suwa Homare