タグ別アーカイブ: エチオピアオオタケネズミ

エチオピアオオカミが暮らすサネッティ高原 – バレマウンテン国立公園

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (11)

エチオピアオオカミが暮らすサネッティ高原 – バレマウンテン国立公園

エチオピアのバレマウンテン国立公園は大きく分けて5つのエリアにわかれています。その中の一つであるサネッティ高原はエチオピアオオカミが生息するエリア。サネッティ、というのは現地の言葉で「風が強い場所」という意味があるそうで、風が強い日が多いようです。

バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (13)

麓のゴバの町から標高を上げていきます。森林限界を越えるとMoorland と呼ばれる植生の場所へ入ります。

バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (7)

さらに高度を上げ4,000mを越えるとサネッティ高原に入ります。ここで見ることのできる樹木は、ジャイアント・ロベリアのみ。

バレマウンテン国立公園 ジャイアントロベリア

ジャイアントロベリアの群生

「アフロアルパイン植生」のこの高原にはバレマウンテンの固有種エチオピアオオタケネズミ(Giant molerat  モグラネズミの一種)を含め、数種のげっ歯類が生息しており、これを捕食するエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf が暮らしています。ネズミのいるところにオオカミはおり、車を警戒する事もなく車道近くまでネズミを探し求めてエチオピアオオカミが現れる事もあります。

サネッティ高原の豊かなアフロアルパイン植生に貢献しているのがげっ歯類たち。地面にトンネルの巣穴を掘り、はりめぐらされたトンネルネットワークと植物の根を食べては掘り返す行動が、サネッティ高原の豊かさのもと。

オオタケネズミ giant Molerat

エチオピアオオカミの好物、エチオピアオオタケネズミはエチオピアの固有種の中でも、このバレ山地のみに生息するネズミです。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

エチオピアオオタケネズミ Giant Molerat を探すエチオピアオオアミ Ethiopian Wolf

エチオピアコウチノウサギ

このウサギは和名がよくわからないのですが、エチオピアコウチノウサギ (?) 、Stark’s Hare。エチオピアの固有種であり、エチオピアオオタケネズミと同じくエチオピアオオカミの食糧源です。

これら高原のネズミ類、ウサギはエチオピアオオカミだけでなく、猛禽類の食糧でもあります。

White-backed Vulture コシジロハゲワシ バレマウンテン国立公園

コシジロハゲワシ White-backed Vulture が空から獲物を探しています。

Augur Buzzard ヨゲンノスリ バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (6)

高原を移動しているとあちこちでヨゲンノスリ Augur Buzzard が獲物を探している様子を見ることがありました。エチオピアオオタケネズミ、空からも陸からも狙われて、大変です。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign, Helm Field Guide “Birds of Horn of Africa”

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エチオピアオオカミ Ethiopian Wolf  

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (10)

アフリカ最後のオオカミと言われ、その個体数はエチオピア全体で400-500頭ほどといわれる、エチオピアの固有種。そのうちの50頭ほどがシミエン山地に、250頭ほどがバレ山地に暮らしていると言われています。

エチオピアオオカミの祖先はおよそ10万年ほど前にユーラシア大陸から渡ってアフリカ大陸に入り、当時のアフロアルパイン植生に覆われていたエチオピア高原に順応し、高原のげっ歯類(ネズミ)を捕食しこの厳しい環境で生き抜いてきました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (16)

体は赤っぽい毛で覆われ、手足が長くスマート、鼻口部は細長く、尻尾の先はこげ茶色です。一瞬、犬?と思う小柄なオオカミで、オスは14~20キロ、メス11~16キロほど。

エチオピアオオカミはバレマウンテン国立公園のサネッティ高原で2~18頭の群れでテリトリーを作って暮らしています。日中に捕食を行い、特に朝と夕方に高原を歩きまわっているのを見ることができます。探し回っているのはげっ歯類(ネズミ)の動物。特にバレ山地の固有種のげっ歯類、Giant Molerat 、和名はエチオピアオオタケネズミといそうですが、これを探して高原をうろうろしています。

バレマウンテン国立公園について

サネッティ高原のげっ歯類

セネッティ高原のネズミ、名前はわかりません・・・、バレマウンテン国立公園には8種のげっ歯類の動物が生息し、いずれもエチオピアオオカミと猛禽類の大切な食料源となっています。

オオタケネズミ giant Molerat

これがエチオピアオオタケネズミ、Giant Molerat。頭を出して植物の根を食べている様子を観察することができますが、体全体が地面から出てくるのはレア。頭もできるだけ出さないように進化し、目が頭の上部にあります。よく地面を見ていると、ところどころ、エチオピアオオカミが掘って壊れたオオタケネズミの巣の入り口があります。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (14)

エチオピアオオタケネズミ Giant Moleratを探すエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (12)

観察していると、嫌だったのか走り出しました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (18)

歩いて近づいたら、怒ってしまいました。こちらを向いて、警戒の鳴き声。ごめんなさい。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

食料となるネズミ類を探している時は、道路のすぐそばでもおかまいなく行動。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (20)

サネッティ高原を縦断する民間バスが走るすぐそばにいるエチオピアオオカミ。

エチオピアオオカミはその保護が進められてはいますが、個体数は回復に向かってはいません。2015年には犬ジステンパーがオオカミの間で広がり、数が減ってしまったといいます。理由は、このサネッティ高原がいまだに放牧に利用され、人間が持ち込んだ「犬」から病気が移ったことでした。

この高原は、エチオピアオオカミ、貴重な固有種の動物たち暮らす最後の自然であるだけでなく、周辺諸国を含めて周りの低地に暮らす人・動物の貴重な水源です。サネッティ高原の保護は真剣に取り組むべき問題です。

「アフリカ最後のオオカミ」と言われるエチオピアオオカミ。高原でGiant Molerat (エチオピアオオタケネズミ)を探して歩き回る、「日常の風景」が続きますように。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign

★★バレ山地も訪問するエチオピア・ネイチャーツアー 2018年発表★★

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