タグ別アーカイブ: エチオピアの動物

エチオピア固有種の宝庫 バレマウンテン国立公園 Bale Mountains National Park

バレマウンテン国立公園 サネッティ高原

バレマウンテン国立公園 Bale Mountains National Parkは「アフリカ最後のオオカミ」、エチオピアオオカミがいることで知られ、標高2,000~4,000mの森林、草原、湿地、高原にエチオピア固有種の野生動物・野鳥が暮らす貴重な国立公園です。

アフリカ大地溝帯が貫くエチオピアは、海抜-120mのダナキル砂漠から、標高4,000mを越える高原地帯まで、変化に飛んだ大地が広がります。エチオピア中南部に位置するバレマウンテンは、面積2165平方kmあり、その植生は変化に富み、”One Park, Many World “という標語にふさわしい、多様性に満ちた国立公園です。

バレマウンテン国立公園は5つのエリアに大別されます。

  • 北部ディンショー付近の草原 Gaysay Grasslands ガイセイ草原
  • 北部ディンショー付近の森 Juniper Woodlands ジュニパーの森
  • サネッティ高原 Sanetti Plateau のアフロアルパイン植生
  • エリカベルト Etrica Belt
  • 南部ハレナの森 Harenna Forest  エチオピアで2番目に大きな森林

バレマウンテン国立公園 ジャッカル

北部ディンショーのガイセイ草原で出会ったキンイロジャッカル Golden Jackal

バレマウンテン国立公園 マウンテンニアラ

北部デンショーのジュニパーの森にいたの雌のマウンテンニアラ Mountain nyala

バレマウンテン国立公園 エチオピアオオカミ

バレマウンテン国立公園の中心をなすサネッティ高原に暮らすエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf

バレマウンテン国立公園 エリカベルト

苔、地衣類で覆われたエリカベルトの森

バレマウンテン国立公園 ホオジロエボシドリ

南部ハレナの森で出会ったホオジロエボシドリ White-cheeked Turaco 、エリトリアの国鳥です。

バレマウンテン国立公園では哺乳類78種、爬虫類12種、両生類17種に、310種の野鳥、1300種を越える植物が確認されており、18種のエチオピア固有種の野鳥のうち6種が、エチオピアとエリトリアのみの固有種14種のうち11種がこのバレマウンテン国立公園で確認されています。

エチオピア固有種の哺乳類では、マウンテンニアラ Mountain Nyala、メネリクズ・ブッシュバックMenelik’s Bushbuck、エチオピアオオカミ Ethiopian Wolf、エチオピアコウチノウサギ Starck’s Hare、エチオピアオオタケネズミ Giant Molerat(バレ山地の固有種)、バレモンキー Bale Monkeyが観察されます。

バレマウンテン国立公園はサネッティ高原北部のディンショーやゴバを拠点として訪問できるほか、トレッキングして高原地帯を歩くことも可能です。

バレマウンテン国立公園の野生動物・野鳥 西遊旅行

多様性に満ちたバレマウンテン国立公園内の地域、ワイルドライフについては別ページにてご紹介していきます。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign, Helm Field Guide ” Birds of Horn of Africa”

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エチオピアオオカミ Ethiopian Wolf  

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (10)

アフリカ最後のオオカミと言われ、その個体数はエチオピア全体で400-500頭ほどといわれる、エチオピアの固有種。そのうちの50頭ほどがシミエン山地に、250頭ほどがバレ山地に暮らしていると言われています。

エチオピアオオカミの祖先はおよそ10万年ほど前にユーラシア大陸から渡ってアフリカ大陸に入り、当時のアフロアルパイン植生に覆われていたエチオピア高原に順応し、高原のげっ歯類(ネズミ)を捕食しこの厳しい環境で生き抜いてきました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (16)

体は赤っぽい毛で覆われ、手足が長くスマート、鼻口部は細長く、尻尾の先はこげ茶色です。一瞬、犬?と思う小柄なオオカミで、オスは14~20キロ、メス11~16キロほど。

エチオピアオオカミはバレマウンテン国立公園のサネッティ高原で2~18頭の群れでテリトリーを作って暮らしています。日中に捕食を行い、特に朝と夕方に高原を歩きまわっているのを見ることができます。探し回っているのはげっ歯類(ネズミ)の動物。特にバレ山地の固有種のげっ歯類、Giant Molerat 、和名はエチオピアオオタケネズミといそうですが、これを探して高原をうろうろしています。

バレマウンテン国立公園について

サネッティ高原のげっ歯類

セネッティ高原のネズミ、名前はわかりません・・・、バレマウンテン国立公園には8種のげっ歯類の動物が生息し、いずれもエチオピアオオカミと猛禽類の大切な食料源となっています。

オオタケネズミ giant Molerat

これがエチオピアオオタケネズミ、Giant Molerat。頭を出して植物の根を食べている様子を観察することができますが、体全体が地面から出てくるのはレア。頭もできるだけ出さないように進化し、目が頭の上部にあります。よく地面を見ていると、ところどころ、エチオピアオオカミが掘って壊れたオオタケネズミの巣の入り口があります。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (14)

エチオピアオオタケネズミ Giant Moleratを探すエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (12)

観察していると、嫌だったのか走り出しました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (18)

歩いて近づいたら、怒ってしまいました。こちらを向いて、警戒の鳴き声。ごめんなさい。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

食料となるネズミ類を探している時は、道路のすぐそばでもおかまいなく行動。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (20)

サネッティ高原を縦断する民間バスが走るすぐそばにいるエチオピアオオカミ。

エチオピアオオカミはその保護が進められてはいますが、個体数は回復に向かってはいません。2015年には犬ジステンパーがオオカミの間で広がり、数が減ってしまったといいます。理由は、このサネッティ高原がいまだに放牧に利用され、人間が持ち込んだ「犬」から病気が移ったことでした。

この高原は、エチオピアオオカミ、貴重な固有種の動物たち暮らす最後の自然であるだけでなく、周辺諸国を含めて周りの低地に暮らす人・動物の貴重な水源です。サネッティ高原の保護は真剣に取り組むべき問題です。

「アフリカ最後のオオカミ」と言われるエチオピアオオカミ。高原でGiant Molerat (エチオピアオオタケネズミ)を探して歩き回る、「日常の風景」が続きますように。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign

★★バレ山地も訪問するエチオピア・ネイチャーツアー 2018年発表★★

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