タグ別アーカイブ: ウガンダ野生動物

ハシビロコウ Shoebill(ウガンダ)

ビクトリア湖北岸のマバンバ湿地 Mabamba swamp にてハシビロコウの観察です。
ハシビロコウは、アフリカ大陸東部から中部の淡水の池や沼に生息していますが、湿地ならどこでも見られるというわけではなく、カミガヤツリ(パピルスpapyrus)と他の植生が混在した湿地を好みます。

今回観察したのは、ウガンダのエンテベ郊外にあるビクトリア湖北岸のマバンバ湿地で、世界的にもハシビロコウの生息地として有名な場所、ラムサール条約にも登録されている湿地帯です。

湿地帯の中では小回りの利く3人乗りの小さな船に分かれて、ハシビロコウを探しに行きます。

紫の花が咲くスイレンやカミガヤツリ(パピルス)の中をかき分けながら進んでいきます。

道中に見られたカミガヤツリとヒメヤマセミ Pied Kingfisher

水蓮の上を歩くアフリカレンカク African jacana

ハダダトキ Hadada Ibis

カミガヤツリにとまるカンムリカワセミ Malachite Kingfisher

事前にボートの船長さんがハシビロコウを見つけて目途をつけてくれていたようで、思ったより簡単に見つかりました。

「動かない鳥」として有名なだけあり、場所さえ分かっていれば見つけるのは難しくありません。飛び立ってしまっては困るのでエンジンを止めて手漕ぎで静かに近寄ります。

足から頭までの高さが1.2m。翼開長(翼を広げたときの幅)が2m以上もあります。
ハシビロコウの特徴は、英名でShoebillと呼ばれるような靴のような嘴。
クチバシにある模様が1羽1羽違うため、人間の指紋と同じようにハシビロコウの個体識別に役立ちます。
上のクチバシ先端の尖ったかぎ状の部分で魚やカエルなどを突き刺して捕らえます。

ハシビロコウの目(虹彩)は成長と共に色が変わります。
幼鳥の時は茶色で、成鳥になると黄色、年を取ってくると薄い水色。
今回出会ったハシビロコウは黄色なので若い個体であることが分かります。

このエリアにはハシビロコウの好物であるハイギョ(肺魚)が棲息しているエリア。
ハイギョは魚でエラもありますが、大人のハイギョは名前の通り「肺」を持っていて空気呼吸をします。
「動かない鳥」として有名なハシビロコウですが、動かない理由はこのハイギョが呼吸するために水面に上がってくるのをじっくりと待っているからとのこと。

今回観察できたのは10分ちょっとでしたが、その間だけでも4回も魚を捕まえようと水面に頭を突っ込む動きを見せてくれました。

魚を捕まえられたかは確認できませんでしたが、一度は激しく泥水が飛び散っていました。
水に顔を突っ込む瞬間にはいつも瞬膜を閉じています。
狩りの成功率は1日かけても1~3匹ほどで、失敗するとすぐに数百メートル離れた別の場所に移動することがあります。

この場所では捕まえられないと思ったのか、最後には飛び立っていってしまいました。動かない鳥として有名なハシビロコウのハンティングの光景まで見れて満足なサイティングとなりました。

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Feb 2024, Mabamba swamp, Uganda

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マウンテンゴリラ Mountain gorilla(ブウィンディ原生国立公園・ウガンダ)


ウガンダ共和国の南西部に位置するブウィンディ国立公園で出会ったマウンテンゴリラです。

ゴリラは2種4亜種に分類されます。ヒガシゴリラの亜種(ヒガシローランドゴリラ、マウンテンゴリラ)とニシゴリラの亜種(ニシローランドゴリラ、クロスリバーゴリラ)。

今回出会ったマウンテンゴリラはアフリカ中部のウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の3ヶ国の国境に広がるアルバータイン地溝帯のみに棲息し、近年の保護活動の成果から現在1000頭を超える数にまで増えてきています。日本の動物園のゴリラは全てニシローランドゴリラなので、マウンテンゴリラに会うためには現地に行くしかありません。

葉っぱや樹皮などを食べるマウンテンゴリラは「餌付け」が難しいので、観光客が観察できるゴリラのグループは人に慣れさせる「人付け(habituation)」という人への馴化作業が必要になります。研究者やトラッカーが初めは200mくらい離れたところから観察を始めて、だんだん距離を縮めていきます。もし近づきすぎてゴリラが威嚇してきたりした場合はもう少し距離を置いて様子を見るというのを繰り返し、完全に人に馴化するのには2~3年かかるとのことです。


マウンテンゴリラのトラッキングは片道1時間~3時間ほどかかります。
今回は1時間半ほどで出会えましたが、特に最後のゴリラに接近するあたりでは、ジャングルの中の急な斜面を草や枝をマチェットで折りながら下っていきます。


急な斜面を滑って転びそうになりながら下っていくと、ついにゴリラを追うトラッカーたちと合流。そのすぐそばでふさふさとした黒い固まりがあると思ったら、子供のゴリラでした。


そのすぐそばの2匹のメスたちは器用に指を使って毛づくろいをしていて、その姿はまるで人間のようでした。

今回出会ったマウンテンゴリラのグループは「ムクングジ(Mucunguzi Group)」というグループで、ムクングジとは雄のリーダーであるシルバーバックの名前でもあり、「救世主 Savior」を意味します。

ムクングジが別のグループのリーダーである「ビギンギ」からメス数頭を奪って(救い出し)、自分のグループを作り、現在は15頭のメンバーで1頭のシルバーバックに、7頭の大人の雌、2頭の若い雌、5頭の子供や幼児がいます。


その後、しばらくすると近くにいた雄のシルバーバックの「ムクングジ」(↑の写真左上)を発見。メスや子供たちと横になって休んでいます。


生後1年ほどの赤ちゃんゴリラが、お昼寝をするお父さんやお母さんに遊んでほしそうにちょっかいを出しています。

横になったメスの足がシルバーバックの体に乗っかっています。


観察しているとゴリラが2mほどの距離まで近づいてきました。
さらに最後にはシルバーバックも起き上がり、のそのそとこちらに向かって歩いてきました。


オスは通常8歳くらいで大人になりブラックバックと呼ばれますが、13歳を超えると背中から腰にかけて毛が灰色(シルバー)になりシルバーバックと呼ばれ、さらに18歳頃になると後頭部が盛り上がってきます。


寝起きでまだ眠いのか、大あくび。


あっという間に観察の制限時間である1時間が終わってしまいました。
野生のゴリラの寿命は野生下で35年~40年ほど、この子供が大きくなる前にはもう一度会いに来たいと強く思わされました。

 

Photo & text : Wataru Yamoto

Observation : Feb 2024, Bwindi Impenetrable National Park, Uganda

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