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月夜とマガンのねぐら入り(蕪栗沼)The magical moment of the roost of thousands of geese !!

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (10)

11月下旬、ガンのねぐら入りを見ようと伊豆沼・蕪栗沼へ。夕方までねぐら付近の牧草地でせっせと餌をついばみ、夕刻時にいっせいにねぐらへとやってきます。

その光景は圧巻。鳥好きの方でなくとも、遠く北極海沿岸やシベリアから越冬のためにやってきたガンが創り出す自然の営みの風景には感動するはず。

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (2)

ねぐらとなる沼のまわりの牧草地で日中を過ごすマガンの群れ。この付近は仙台牛の産地でその牧草となる草が栽培され、秋の最後の収穫の後は放置されています。そこの集まるのがこのガンの群れです。

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (1)

マガン Greater White-fronted Goose は夏にロシアの北極海沿岸の広範囲で繁殖し、冬に極東アジアの一部の国、北日本に飛来し越冬します。

日本ではマガンは狩猟の対象となり一時期生息数が激減しましたが、伊豆沼周辺では個体数回復のための努力がなされ、2005年にラムサール条約湿地となり、地元耕作者との合意のもと湿地の復元が進められ、現在は数万のガンなど水鳥の生息地となりました。

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (5)

牧草ロールとマガン。日本の冬の景色。

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (4)

ねぐら入りが始まりました。いろんな方向からマガンの群れが沼に向けて飛んできます。シジュウカラガンの声も!

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (8)

マガンのねぐら入りです。その声も、羽音も圧巻。ねぐらの沼の上空で姿勢を変え、一気に着水します。「落雁(らくがん)」=列を作って空から地上に降りようとするガンの様子を表す言葉。本当に、ドキッとする「落雁」の様子でした。

マガン Greater White-fronted Goose 伊豆沼 蕪栗沼 塒入り Izunuma Kabukurinuma (7)

満月に近いこの日、月とガンの美しい景色を見ることができました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県

コクガン Brant Goose (志津川湾、南三陸町)

コクガン Brent goose 南三陸町 (6)

11月はじめになると、繁殖地のロシア北極海沿岸からコクガンが南三陸町の海岸にやってきます。震災前は100羽ほどだったそうですが、最近では300羽を越えるようになったとのこと。

蕪栗沼で雁のねぐら入り・朝の飛び立ちを満喫した後、南三陸町へ向かいました。南三陸町に入ると津波の被害がどんなにすさまじかったか、テレビで見た建物もあり驚かされました。

コクガンがいますよ、という情報をもとに「海のビジターセンター」へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (8)

ブイが連なる志津川湾にいました、コクガン。しかし、遠い。湾に沿った港で探してみることにしました。各地の湾は大きな防波堤が作る作業が進められていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (2)

そして見つけました!船置き場に上がっているコクガンたち!斜面に張り付いた海藻を食べていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (1)

でも私たちの存在に気が付くと海へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (3)

海に入ってからは比較的近い場所で海藻を食べたりしてのんびり過ごしてくれました。海藻豊かな志津川湾はコクガンにとって格好の越冬地です。

コクガン Brent goose 南三陸町 (4)

頭を海に突っ込んで首が届く程度の場所に海藻がある、コクガンの好む地形のようです。

コクガン Brent goose 南三陸町 (7)

海の方へ向かうコクガン。北極海沿岸で夏を過ごしたコクガンの一部が北東アジアへと飛来しますが、最初は北海道の野付半島(コクガンの好きなアマモの群生地がある)に立ち寄り、そこから各地へと渡っていくそうです。

コクガンの渡りの調査をされておられるグループの資料を拝見すると、3月に函館で発信器を付けたコクガンは4月末に野付半島・国後島へ移動、6月上旬に北上開始しオホーツク海を越え、ロシアのマガダンを経てシベリアの大地を越え、北極海のノヴォシビルスク諸島へと渡ったそうです。なんて夢のある、壮大なコクガンの渡りでしょうか!

南三陸町にあがる満月 (1)

この日は南三陸の温泉に宿泊。屋上から赤い満月が上がりました。宿のスタッフの方が天体望遠鏡も用意して宿泊者に星を見せるサービス!頑張っています。

南三陸町にあがる満月 (2)

こんな月をバックにガンが飛んでくれたら!と思いながらみなさんと月見を楽しみました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : Dec 2020, 南三陸町、宮城県

 

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼・伊豆沼)

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (3)

蕪栗沼でガンの飛び立ちを見て宿に戻り朝食。今日の午前の目標は「カリガネ」を探すこと。塒に近い場所に仙台牛のための牧草地があり、アルファルファやイタリアンライグラスが植えられています。秋に最後の刈り入れが終ると放置されマガンやカリガネがやってきます。

カリガネくん、マガンの群れにまざっていてなかなか探すのが大変です。・・見つかりました!

マガンの中に混じって、異なるオーラを出すカリガネ。アイリング、成鳥はくちばしから額にかけてのきれいな白色がピンクの嘴を引き立てます。

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (1)

カリガネはロシア北極海沿いのツンドラで繁殖し、冬に宮城県の伊豆沼や蕪栗沼などに訪れる稀な鳥で、日本で見られるガンの仲間では最小サイズ。

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (2)

参加者全員でマガンの群れの中に混じるカリガネ探し。「この群れにはいませんね、じゃあ次」と畑を移動。周りの人から見たら異様な光景ですね。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県

南島のカツオドリ(小笠原諸島)

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (16)

10月半ばに小笠原諸島・南島に上陸&観察したカツオドリ Brown Booby。2020年はコロナの影響で繁殖初期に観光客が訪れなかったことから、観光客が通る道のそばでの営巣があり、雛を近くで観察することができました。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (20)

南島といえば、扇池を望むこの風景。南島とその周辺は、石灰岩が侵食や風化を受けてできた「カルスト地形」で、この扇池はドリーネと呼ばれるすり鉢状の窪地です。通常の観光ルートだと鮫池から上陸し、歩いて東の尾根に登っていくとこの景色が広がります。このビーチは夏はアオウミガメが産卵に訪れコガメが海に帰る様子や、帰れずに死んでしまった厳しい野生の現実も観察できるビーチです。

コガメ 南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (15)

10月の半ばでしたが、さきほどまで生きていたと思われるコガメが。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (19)

東の尾根がから見た父島の景色。右側にハートロックが見えます。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (17)

船で鮫池に入っていくと、ラピエと呼ばれる鋭く尖った石灰岩の上にカツオドリです。鮫池周辺の岩場にはいくつもの営巣地が確認できます。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (12)

船着き場のすぐそばにいた雄のカツオドリ。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (9)

近くにいる雛の親鳥でしょうか、かなり近いですが飛びません。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (7)

通路のすぐそばで育っているカツオドリの雛。今年は多くの観光客がこの子の成長を見てきたことでしょう。もう1羽、通路に近いところに別の雛がいたそうですが、親鳥が放棄してしまい死んでしまったのだそうです。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (11)

この雛には無事に巣立ってほしいものです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Oct 2020, 南島、小笠原諸島

Special Thanks to ブルーレース・内藤さま

(動画)初夏のキタキツネの親子(知床半島)

6月の北海道、知床半島。相泊から羅臼に向けて移動していると海岸をうろつくキタキツネの姿が。海岸の岩の隙間から魚を見つけ出しくわえて走り出しました。

知床半島・相泊のキタキツネ、子育ての季節|西遊旅行

6月はキタキツネの親は大忙しです。

キタキツネ 知床半島 子育て Ezo Red Fox Shiretoko Pninsula (1)

魚をくわえて走る親キツネ。

キタキツネ 知床半島 子育て Ezo Red Fox Shiretoko Pninsula (2)

帰ってきた親にお乳をねだる子ギツネ。

キタキツネ 知床半島 子育て Ezo Red Fox Shiretoko Pninsula (3)

キタキツネの子供の目はブルーグレー。

キタキツネ 知床半島 子育て Ezo Red Fox Shiretoko Pninsula (4)

正真正銘のモフモフです。2匹いたの子ギツネのうち1匹は忍耐強くこちらを見ていました。今年はコロナ自粛のため観光客がほとんど来ていなかったので、この子ギツネにとって写真を撮られるのは初めてかもしれません。

野付半島のキタキツネは道路で観光客を待っているなーと思うことがあるのですが(餌付けは絶対にやめてください)、知床半島の方ではキタキツネはもっとワイルドに感じます。

 

Photo / video & text : Mariko SAWADA

Observation : Jun 2020, 相泊・知床半島、北海道 Aidomari, Shiretoko Peninsula, Hokkaido

(動画)エゾフクロウの雛

エゾフクロウの雛 Ezo-ural owl chick Hokkaido Japan (4)

「もう山へ行っていないかもしれない」と言われながら訪れたエゾフクロウの雛のいる木。

生まれた巣のある木からはもう移動しており、私は自力で探すこともできず途方に暮れていたところ、鳥を愛でるおじ様が居場所を教えてくれました。

阿寒のエゾフクロウの雛|西遊旅行

エゾフクロウは巣立ってからもしばらくは両親フクロウと一緒に過ごし、餌の捕り方や飛び方を学び9月ごろ独り立ちするそうです。

エゾフクロウの雛 Ezo-ural owl chick Hokkaido Japan (1)

脚のお手入れは、本当にかわいらしいしぐさです。

 

Video & Text : Mariko SAWADA

Photo(top panel) : Shohei MORITA(知床サライ)

Observation : Jun 2020, Kushiro, Hokkaido, Japan

エゾフクロウの雛(知床サライ便り)

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (7)

知床サライからエゾフクロウの雛の写真が届きました!

エゾフクロウは、フクロウ Ural Owl の亜種、Strix uralensis japonica で、北海道と北方領土で繁殖しているフクロウです。3~4月に2~4個の卵を産み、メスが抱卵しておよそひと月で雛が誕生します。巣から出てきたけどまだ巣のある木にいる雛たち。親鳥と3羽の雛たちです。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (5)

木の葉の隙間から・・・

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (2)

立派な脚、爪。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (3)

翼も広げて。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (6)

??。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (4)

瞳孔が大きい、、、この大きな黒目が愛らしさを引き立てます!

 

Photo : Shohei MORITA (知床サライ)

Text :Mariko SAWADA

Observation : Jun 2020, Kushiro, Hokkaido, Japan

セイロンガマグチヨタカ (5) Sri Lanka Frogmouth (シンハラジャ、スリランカ)

セイロンガマグチヨタカ 巣 オス 雛 Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth (1)

大好きなセイロンガマグチヨタカ Sri Lanka Frogmouth。

”Do you want to see  nesting Frogmounth?” と聞かれたとき「マジ?」と思い、歩き続け、胸がどきどきして、たどりついた木で見たのがこの光景。

セイロンガマグチヨタカ 巣 オス 雛 Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth (2)

羽毛と蜘蛛の巣から作られているという巣の上に乗る、ガマグチヨタカのお父様と雛。なんでこんなに丸見えの場所にいるの?という場所でした。

セイロンガマグチヨタカ 巣 オス 雛 Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth (4)

巣とお父様の間から雛の顔が。

セイロンガマグチヨタカ 巣 オス 雛 Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth (5)

たまらない光景です。ガイド氏によるとこの雛も数日で巣立ちするサイズだろうと。今年は繁殖ペースが速いらしく1月に期待していなかった光景に出会えました。それにしてもシンハラジャも滞在中雨が降らず・・・と思っていたら雲行きが怪しくなってきました。。

セイロンガマグチヨタカ 巣 オス 雛 Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth (8)

セイロンガマグチヨタカの幸せな光景を雨が降り出すまで拝ませていただきました。雨の降る藪道を泥んこになりながら下山。頭も胸も、この光景でいっぱいでした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2020, Sinharaja, Sri Lanka

Special Thanks to Mr.Tilak, Mr.Anuradha

シモフリオオリス (3) Grizzled giant squirrel(ホートンプレインズ国立公園、スリランカ)

シモフリオオリス ホートンプレインズ (4)

ヌワラエリヤから高度をあげたどりついたホートンプレインズ国立公園 Horton Plains National Park。標高2,000mを越えるホートンプレインズ国立公園は草原・森があり、この地域だけの固有種も存在する大切な生態系の残された場所です。

シモフリオオリス ホートンプレインズ (2)

スリランカといえばシモフリオオリス。ここ、ホートンプレインズ国立公園のシモフリオオリスは色が黒いのです。セイロンメジロをおいかけて散策していたら「なんの音??」。シモフリオオリスが固い大きな実をかじる音でした。

シモフリオオリス Grizzled giant squirrel ホートン・プレインズ国立公園 Horton Plains National Park (1)

実を求めて木から木へと移動するシモフリオオリスです。

ホートン・プレインズ国立公園 Horton Plains National Park アカマングース (17)

今回の訪問で観察したその他の哺乳類は、アカマングース Ruddy Mongoose。この2頭は公園入口の建物付近を歩き回り、多くの観光客の注目を集めていました。このアカマングース、インドとスリランカの固有種です。

ホートン・プレインズ国立公園 Horton Plains National Park サンバー鹿 (7)

こちらはサンバー鹿。ホートンプレインズでは大きな群れと出会うこともあります。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2020, Horton Plains National Park, Sri Lanka

セイロンガマグチヨタカ (4) Sri Lanka Frogmouth (シンハラジャ、スリランカ)

セイロンガマグチヨタカ Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth  (5)

シンハラジャの森に行ったら絶対に出会いたい鳥がセイロンガマグチヨタカ Sri Lanka Frogmouth。私が鳥好きになったきっかけの鳥です。

セイロンガマグチヨタカ Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth  (4)

本日のセイロンガマグチヨタカ様は明暗のコントラストの難しい場所にいらっしゃいました。

セイロンガマグチヨタカ Sri Lanka frogmouth  Ceylon frogmouth  (6)

観察していた藪から降りてきてジープに乗ろうと車道を歩いていたら、道路から見える場所にもセイロンガマグチヨタカ様が。口を上に向けて寝ていました。本日見た2羽ともメス。繁殖期です、オスは巣で子育て中ですね!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2020, Sinharaja, Sri Lanka

Reference : Birds of Sri Lanka (Helm Field Guide), Wikipedia(EN)

Special Thanks to Mr.Tilak, Mr.Anuradha