アルゼンチンのパタゴニア地方にあるバルデス半島。>>バルデス半島について
バルデス半島のプンタ・デルガダからカレタ・バルデスにかけての海岸はミナミゾウアザラシたちが上陸します。ミナミゾウアザラシはオス1頭がメス40~70頭にもなる「ハレム」を作ることで有名ですが、毎年9月の第1週になるとバルデス半島の海岸へと上陸し、コロニーを作ります。
ミナミゾウアザラシはずっと同じ海岸にいるのではなく1年の間に海岸で暮らす時間、海で暮らす時間・・・とサイクルがあります。
プンタ・デルガダの展望地にあった「ミナミゾウアザラシの1年」の紹介です。青い波線の期間は海で魚を食べて暮らしていて海岸にはいません。
9月初旬、ミナミゾウアザラシのオスとメスは海岸に上陸し、出産、続いて次の繁殖でコロニーを作ります。9月は赤ちゃんの誕生ラッシュ。
生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんアザラシ
おっぱいを飲む赤ちゃん
ミナミゾウアザラシの赤ちゃんは生まれて2~3週間ほどで母アザラシが面倒をみなくなり、一人立ちします。そしてメスは出産後2週間もすると再び繁殖可能となります。そのため、コロニーでは赤ちゃんが誕生する海岸でメスを追いかけまわすオス、オス同士の争う様子も見ることがあります。
生まれて一ヶ月ほどの赤ちゃん
この赤ちゃんがお母さんアザラシから離れ、一人で海岸でごろごろする10月のカリタ・バルデスの海岸では、オルカがミナミゾウアザラシの赤ちゃんを狙う「オルカ・アタック」が見られることがあります。(オタリアの赤ちゃんを狙う3~4月のオルカ・アタックに比べると発生率は低いそうです)
メスを追いかけまわして海岸を徘徊するオス
海岸で争いの練習?をする若いオス
ミナミゾウアザラシのメスの寿命は18歳くらいですが、オスの寿命は12~13歳。オスは生まれてから1~12歳までは「独身オス」として暮らし、13歳の時に初めて「ハレム」を持つこととなり、40~70頭のメスの夫となります。9月上旬に海岸に上陸したオスの体重は4トンですが、交尾を繰り返し、10月に海に戻るときの体重は2トン。そしてほとんどのオスはそのまま海で生涯を終えるのだそうです。
「ハレム」のメスの数を20頭くらいに減らしたらオスの寿命は延びるのかしら・・・、なんて考えてしまいました。
Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子
Observation : Apr, Sep 2016 , Valdes Peninsula, Chubut – Argentina
Reference : Hector Horacio Casin
★2018年ツアー情報 パタゴニアの海、バルデス半島を訪れるコースはこちら!
パタゴニア・バルデス半島自然紀行
【特別許可取得】3日間のチャーターボートでミナミセミクジラの海へ