パキスタンのユキヒョウと、クンジュラブ国立公園のユキヒョウ、「ローリー」の話です。(この記事のユキヒョウの写真は、下記の国立公園提供のビデオを除いて野性の状態のものではありません)
パキスタン北部、中国との国境を接するクンジュラブ国立公園では時々「ユキヒョウ」の話題がでてきます。ユキヒョウはヒマラヤ山脈、カラコルム山脈、ヒンドゥークシュ山脈、パミール高原に暮らすヒョウで、寒い環境に適した長い毛で全身が覆われています(冬はさらに毛が長くなるといいます)。
クンジュラブ国立公園ではアイベックスなどの野生動物を捕食して暮らし、冬場にはカラコルム・ハイウェイ付近まで降りて来るのが観察されます。
下記のビデオは2015年3月25日にカラコルム・ハイウェイ上にて、クンジュラブ国立公園スタッフのスルタン・ゴハールさんによって撮影されたビデオ(クンジュラブ国立公園より提供)
9年ほど前だったでしょうか、国立公園の事務所に「レオ」という子供のユキヒョウがいて中国との国境を越える時の楽しみだったのですが、アメリカの動物園へ行ってしまいました。
そして3年ほど前、再び子供のユキヒョウが凍った川で溺れているところを助けられました。6ヶ月くらいと推定されるメスの子供のユキヒョウは、「ローリー」と名付けられスストの国立公園のチェックポストのそばの檻で3年目を迎えました。
ローリーを助けたファルマン・ラザーさん、今でも小さい時のローリーをあやすように近づきます。ローリーも「ゴロゴロ」とはいきませんが「ガウガウ」といいながらすりすりしています。
国立公園スタッフに甘えるローリー
毎日3キロの肉をもらいます。肉は、羊・ヤギやヤクなど。
ローリーはいつまでこの状態なのか、野生に戻ることは出来ないのか。
国立公園のスタッフによると「レオ」がアメリカから間もなく帰ってくるので、レオとローリーが暮らす「リハビリテーション施設」をナルタル谷(ギルギットの近く)に作り、そこで繁殖を試みる・・・と先のプランを教えてくれました。早ければこの冬に、といいますが、自然環境が変るので反対する意見もあります。そしてここはパキスタン、筋書き通りには行きません。
その後、ローリーは2016年の冬にナルタル谷へと移動しましたが、レオはアメリカから帰ってくることはありませんでした。
最後に、小さいころの「レオ」の写真です。クンジェラーブ国立公園のスルタン・ゴハールさんと。(写真はクンジェラーブ国立公園提供)
野性の状態ではないことは残念ですが、それでも、大型ネコ科動物ファンにはたまりません。
Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子
Video, Photo of Leo & Sultan Gohar : Credit to Gohar -KNP(Khunjerab National Park)
※ビデオとレオの写真はクンジェラーブ国立公園提供のものです。
Observation :**Captive condition in cage** Oct 2015, Khunjerab National Park, Pakistan
Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP, Mr.Falman Razah -KVO, Wikipedia( JP)