9月、小笠原諸島の海で出会った親子マッコウクジラです。
おがさわら丸は東京竹芝桟橋を出る時に「大型台風が直撃した場合には復路の折り返し便がなくなることを承知で乗船してください」と。そんな心配の中出航しましたが、父島滞在中は大きく荒れることはありませんでした。ただ、「マッコウ海域」に行くために、海況が落ち着くのを待たなくてはなりませんでした。
ようやくマッコウ海域へ。マッコウクジラのクリック音をひろい、たくさん音のする方向へ船を走らせます。ちらばった方向からクリック音が聞こえてきました。
みんなでブローが上がるのをあがるのを探します。
親子クジラです。お母さんクジラのブロー。マッコウクジラのブローホールはひとつで、体の中心より左側にあり、斜めに噴き出します。この海域にはマッコウクジラが散らばっており、いろんな方向からブローが上がるのが観察されました。
子供クジラのブローです ♪
マッコウクジラは血縁の近い雌同士で群れを作り、暖かい海に生息します。この群れで生まれた雌はそのまま母親と同じ群れにとどまり、70年ほどと考えられる一生をその群れで過ごします。雄は成熟すると生まれた群れを離れて同じくらいの年齢の雄と群れを作り、餌を求めて徐々に寒い海域に海遊するようになります。成長するに伴い群れの個体数は減っていき、より高緯度の海へ。知床の根室海峡や千島列島で見られる大きなマッコウクジラはすべて雄です。
これまで雄のマッコウクジラを観察する機会が多かったので、小笠原の雌のマッコウクジラのグループは小ぶりで可愛らしいものでした。そして3mほどの超かわいい赤ちゃんまで!
笠井船長は小笠原で雄のマッコウクジラを見たことないとおっしゃってました。大きく成長した雄は時々南の海域に戻り、雌の群れを渡り泳いで交尾を行うということなのですが・・・。
この子は頭にコバンザメをつけています、潜航したり浮上してくるときにひっつくのですね。
お母さんクジラがヒレを上げました。
お母さんクジラは深海へとイカなどを求めて潜航していきますが、子クジラはまだ潜れません。このあとしばらく一人で海上で待つことになります。
まだ3mもない小さな赤ちゃんマッコウクジラ。
なんと船の方へ近づいていてお腹を見せてくれたりしました。しばらくは船から遠のいたり、近寄ったりしていましたが、一定方向に泳ぎだし、私たちもちょっと後をつけさせてもらいました。
そして浮上してきたお母さんクジラと合流です。
マッコウクジラの親子の時間。
あまりしつこくしてはいけません、このくらいで親子から離れ、二見港へ戻りました。さぁ、つぎはシロワニだ(笑)!
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : Sep 2020, 父島海域・小笠原諸島
Special Thanks : Fisheye のみなさま