エチオピアオオカミ Ethiopian Wolf  

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (10)

アフリカ最後のオオカミと言われ、その個体数はエチオピア全体で400-500頭ほどといわれる、エチオピアの固有種。そのうちの50頭ほどがシミエン山地に、250頭ほどがバレ山地に暮らしていると言われています。

エチオピアオオカミの祖先はおよそ10万年ほど前にユーラシア大陸から渡ってアフリカ大陸に入り、当時のアフロアルパイン植生に覆われていたエチオピア高原に順応し、高原のげっ歯類(ネズミ)を捕食しこの厳しい環境で生き抜いてきました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (16)

体は赤っぽい毛で覆われ、手足が長くスマート、鼻口部は細長く、尻尾の先はこげ茶色です。一瞬、犬?と思う小柄なオオカミで、オスは14~20キロ、メス11~16キロほど。

エチオピアオオカミはバレマウンテン国立公園のサネッティ高原で2~18頭の群れでテリトリーを作って暮らしています。日中に捕食を行い、特に朝と夕方に高原を歩きまわっているのを見ることができます。探し回っているのはげっ歯類(ネズミ)の動物。特にバレ山地の固有種のげっ歯類、Giant Molerat 、和名はエチオピアオオタケネズミといそうですが、これを探して高原をうろうろしています。

バレマウンテン国立公園について

サネッティ高原のげっ歯類

セネッティ高原のネズミ、名前はわかりません・・・、バレマウンテン国立公園には8種のげっ歯類の動物が生息し、いずれもエチオピアオオカミと猛禽類の大切な食料源となっています。

オオタケネズミ giant Molerat

これがエチオピアオオタケネズミ、Giant Molerat。頭を出して植物の根を食べている様子を観察することができますが、体全体が地面から出てくるのはレア。頭もできるだけ出さないように進化し、目が頭の上部にあります。よく地面を見ていると、ところどころ、エチオピアオオカミが掘って壊れたオオタケネズミの巣の入り口があります。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (14)

エチオピアオオタケネズミ Giant Moleratを探すエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (12)

観察していると、嫌だったのか走り出しました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (18)

歩いて近づいたら、怒ってしまいました。こちらを向いて、警戒の鳴き声。ごめんなさい。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

食料となるネズミ類を探している時は、道路のすぐそばでもおかまいなく行動。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (20)

サネッティ高原を縦断する民間バスが走るすぐそばにいるエチオピアオオカミ。

エチオピアオオカミはその保護が進められてはいますが、個体数は回復に向かってはいません。2015年には犬ジステンパーがオオカミの間で広がり、数が減ってしまったといいます。理由は、このサネッティ高原がいまだに放牧に利用され、人間が持ち込んだ「犬」から病気が移ったことでした。

この高原は、エチオピアオオカミ、貴重な固有種の動物たち暮らす最後の自然であるだけでなく、周辺諸国を含めて周りの低地に暮らす人・動物の貴重な水源です。サネッティ高原の保護は真剣に取り組むべき問題です。

「アフリカ最後のオオカミ」と言われるエチオピアオオカミ。高原でGiant Molerat (エチオピアオオタケネズミ)を探して歩き回る、「日常の風景」が続きますように。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign

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