トリニダード島の西岸にあるカロニ湿原にて観察したスカーレットアイビス(和名:ショウジョウトキ)の群れです。
カロニ湿原のスカーレットアイビスはベネズエラとの間を行き来していると考えられています。毎朝、餌をも求めてカロニ湿地を飛び立ったスカーレットアイビスはあちこちの湿地で採餌し、夕方になると群れをなしてカロニ湿原に戻ってきます。
夕方の帰巣の様子は圧巻の光景です。
巣のある木に順番に帰ってくると、赤い実がなる木のように見えます。
カロニ湿原はおよそ103.6平方キロメートルの湿地帯です(大きさは資料により異なっています)。
マングローブ林、沼地、干潟を含むこの湿地は海水と淡水の両方の生物多様性に富んだ湿地です。ラムサール条約にも登録されています。
観察に適した時期は11~3月いっぱい。年中観察はできますが、4月の半ばごろから9月半ばは繁殖のため見える個体数が少なくなります。
マングローブ林の中にはカニもいました!
スカーレットアイビスの赤色は、餌となるこういった甲殻類に由来します。
雛は黒~灰色でまったく赤くありません。上の写真は若鳥で灰色、茶色、白色が混ざりますが、摂取する赤色のもととなる甲殻類により、成長に伴い赤色をまします。通常、巣立ちの頃に赤色が現れ、2年でほぼ真っ赤になります。
1962年トリニダード&トバゴが独立したとき、スカーレットアイビスは「国鳥」に選ばれました。
スカーレットアイビスの生息するエリアまで、マングローブ林の間をボートで進んでいくのも楽しみの一つです。
道中に様々な動物が見られます。特に鳥類は100種以上も生息します。
小さく丸まったヒメアリクイPygmy anteater。世界最小のアリクイです。
木の一部のように同化しているので見つけるのが難しいです。
水辺には、スカーレットアイビスと共にベニイロフラミンゴ American Flamingoも見られます。
夜行性のために目が大きいヒロハシサギ Boat-billed Heron。求愛行動の際はクチバシを鳴らすこともあります。
オニクイナ、こちらもスカーレットアイビスと同じく甲殻類、魚、昆虫などを採食します。
この美しい帰巣風景がいつまでも続くことを願っています。
Photo & text : Mariko Sawada & Wataru Yamoto
Observation : Apr 2018 & Mar 2019 , Caroni Swamp , Trinidad and Tobago
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