アラビア半島はオマーンのドファール地方、ホール・ルーリで出会った野鳥・ラクダたちです。
サムフラム遺跡について
港町タカの東約7キロメートルのホール・ルーリにある遺跡。かつて乳香交易で栄えたサムフラムという都遺跡で、貯蔵庫や城壁に囲まれた町の跡、神殿跡が残されています。アラビア半島南部における乳香の重要な交易路にあり、アル・バリード遺跡、シスル(ウバール)遺跡、ワディダウカの遺跡とともに、2000年に「乳香の道」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録されました。
遺跡は、発掘により紀元前2世紀のハドラマウト時代にさかのぼるとされ、都市は7世紀ごろに廃墟になったと考えられてます。また、「シバの女王」の宮殿があると、ガイドブックに書かれていますが考古学的根拠はないようです。
発見された碑文と発掘品により、この都市が「サムハラム」と呼ばれていたこと、ハドラマウトの王家により創建され移民が暮らしたこと、古来よりドファール地方は乳香の産地であり、ハドラマウト王国はこの価値ある乳香をコントロール下におき、ホール・ルーリはその積出港として利用されたことがわかってきました。
城壁で囲まれた都市遺跡の周囲はかつて海とつながっていたホール(Khor、ラグーン、入り江のこと)があり、港の跡も残っています。いまは、砂でせき止めらていますが、フラミンゴや水辺の野鳥が集まっています。
インド洋を臨むホール・ルーリの都市遺跡
ラクダがビーチを闊歩。
ラグーンにはたくさんの水鳥が集まっています。
オオフラミンゴ Greater Flamingo 灰色の体の子は幼鳥です。
Eurasian Spoonbill ヘラサギ ユーラシア大陸中部で繁殖し、冬は中東~アジアへと越冬に来る渡り鳥です。
Yellow Wagtail ツメナガセキレイ 世界各地の湿地で見られる野鳥ですが多様な模様をしています。
Osprey ミサゴ アラビア半島全域の水のある場所で見られるミサゴ。白い冠に黒いマスクのような模様がカッコイイです。魚を捕食するので「魚鷹」とも。
ホール・ルーリの訪問は夕方がお勧めです。遺跡に夕日があたり、放牧から帰ってくるラクダの姿、そして捕食にいそしむ野鳥たちの姿を見ることができました。
Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子
Observation : Nov 2015, Khor Rouri, Dofar – Oman
Reference : Helm Field Guids “Birds of Middle East”, Wikipedia (EN)
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