11月下旬の朝の蕪栗沼。この日は、天候のせいか、その他の理由か一斉に飛び立つのでありませんでした。しかしながら雪山を背景にした雁行は、これが日本の景色かと息をのむほど美しいものでした。
蕪栗沼・雁の飛び立ち 夜明けの蕪栗沼|西遊旅行
Video & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
11月下旬の朝の蕪栗沼。この日は、天候のせいか、その他の理由か一斉に飛び立つのでありませんでした。しかしながら雪山を背景にした雁行は、これが日本の景色かと息をのむほど美しいものでした。
蕪栗沼・雁の飛び立ち 夜明けの蕪栗沼|西遊旅行
Video & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
蕪栗沼の夕方、雁のねぐら入り動画です。すっきりしたお天気ではありませんでしたが、マガン、シジュウカラガンが四方八方からやってきます。その景色も、声にも大感動。
月夜・雁のねぐら入りの景色
雁行・落雁・・・美しい日本語です。雁が群れをなして飛ぶ姿、そのねぐら入りの景色。ねぐらに入る前(着陸の前)にひらひらとする光景はたまりません。
Video & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
ロシアの内陸から北極海沿岸にかけての地域で繁殖し冬に北日本へと飛来するヒシクイBean Goose。ヒシクイはいくつかの亜種に分類されますが、日本へ飛来するのは亜種ヒシクイと亜種オオヒシクイで、亜種オオヒシクイがその8割ほどをしめるとのこと。
亜種ヒシクイと亜種オオヒシクイの違いを丁寧に説明を受けましたが、未熟な私にはわかりません。
繁殖地のシベリアの生態系により、亜種がことなること。亜種ヒシクイは「ツンドラ(針葉樹林)地帯」で繁殖し、亜種オオヒシクイはより南の「タイガ(地下に永久凍土が広がる凍原)地帯」で繁殖しています。そんなに異なる環境で繁殖・採食しているのなら確かに嘴の大きさや体躯は異なることでしょう。
朝のガンの飛び立ちを観察後朝食、そして牧草地の畑で「カリガネ探し」をした後、蕪栗沼へ。15分ほど歩いた復元湿地ではヒシクイが「お休み中」でした。
冬の景色を反射してとてもきれいなのですが、ヒシクイたちはみんな頭を羽にうずめてまるまって休んでいました。起きているヒシクイを探して歩きました。
サービス満点で全身を見せてくれる個体が。ヒシクイはガンの仲間の中でも大きく、羽を広げると1.6mにもなります。
お休みしていたヒシクイですが、ちょっと活動が始まりました。首を伸ばして何やらしゃべっています。
そして飛翔光景も。
ヒシクイの楽園、蕪栗沼の午後でした。冬は本当に日が短く、もうすぐ「ねぐら入り」の時間です。
Photo & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
11月下旬、ガンのねぐら入りを見ようと伊豆沼・蕪栗沼へ。夕方までねぐら付近の牧草地でせっせと餌をついばみ、夕刻時にいっせいにねぐらへとやってきます。
その光景は圧巻。鳥好きの方でなくとも、遠く北極海沿岸やシベリアから越冬のためにやってきたガンが創り出す自然の営みの風景には感動するはず。
ねぐらとなる沼のまわりの牧草地で日中を過ごすマガンの群れ。この付近は仙台牛の産地でその牧草となる草が栽培され、秋の最後の収穫の後は放置されています。そこの集まるのがこのガンの群れです。
マガン Greater White-fronted Goose は夏にロシアの北極海沿岸の広範囲で繁殖し、冬に極東アジアの一部の国、北日本に飛来し越冬します。
日本ではマガンは狩猟の対象となり一時期生息数が激減しましたが、伊豆沼周辺では個体数回復のための努力がなされ、2005年にラムサール条約湿地となり、地元耕作者との合意のもと湿地の復元が進められ、現在は数万のガンなど水鳥の生息地となりました。
牧草ロールとマガン。日本の冬の景色。
ねぐら入りが始まりました。いろんな方向からマガンの群れが沼に向けて飛んできます。シジュウカラガンの声も!
マガンのねぐら入りです。その声も、羽音も圧巻。ねぐらの沼の上空で姿勢を変え、一気に着水します。「落雁(らくがん)」=列を作って空から地上に降りようとするガンの様子を表す言葉。本当に、ドキッとする「落雁」の様子でした。
満月に近いこの日、月とガンの美しい景色を見ることができました。
Photo & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
11月はじめになると、繁殖地のロシア北極海沿岸からコクガンが南三陸町の海岸にやってきます。震災前は100羽ほどだったそうですが、最近では300羽を越えるようになったとのこと。
蕪栗沼で雁のねぐら入り・朝の飛び立ちを満喫した後、南三陸町へ向かいました。南三陸町に入ると津波の被害がどんなにすさまじかったか、テレビで見た建物もあり驚かされました。
コクガンがいますよ、という情報をもとに「海のビジターセンター」へ。
ブイが連なる志津川湾にいました、コクガン。しかし、遠い。湾に沿った港で探してみることにしました。各地の湾は大きな防波堤が作る作業が進められていました。
そして見つけました!船置き場に上がっているコクガンたち!斜面に張り付いた海藻を食べていました。
でも私たちの存在に気が付くと海へ。
海に入ってからは比較的近い場所で海藻を食べたりしてのんびり過ごしてくれました。海藻豊かな志津川湾はコクガンにとって格好の越冬地です。
頭を海に突っ込んで首が届く程度の場所に海藻がある、コクガンの好む地形のようです。
海の方へ向かうコクガン。北極海沿岸で夏を過ごしたコクガンの一部が北東アジアへと飛来しますが、最初は北海道の野付半島(コクガンの好きなアマモの群生地がある)に立ち寄り、そこから各地へと渡っていくそうです。
コクガンの渡りの調査をされておられるグループの資料を拝見すると、3月に函館で発信器を付けたコクガンは4月末に野付半島・国後島へ移動、6月上旬に北上開始しオホーツク海を越え、ロシアのマガダンを経てシベリアの大地を越え、北極海のノヴォシビルスク諸島へと渡ったそうです。なんて夢のある、壮大なコクガンの渡りでしょうか!
この日は南三陸の温泉に宿泊。屋上から赤い満月が上がりました。宿のスタッフの方が天体望遠鏡も用意して宿泊者に星を見せるサービス!頑張っています。
こんな月をバックにガンが飛んでくれたら!と思いながらみなさんと月見を楽しみました。
Photo & Text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : Dec 2020, 南三陸町、宮城県
蕪栗沼でガンの飛び立ちを見て宿に戻り朝食。今日の午前の目標は「カリガネ」を探すこと。塒に近い場所に仙台牛のための牧草地があり、アルファルファやイタリアンライグラスが植えられています。秋に最後の刈り入れが終ると放置されマガンやカリガネがやってきます。
カリガネくん、マガンの群れにまざっていてなかなか探すのが大変です。・・見つかりました!
マガンの中に混じって、異なるオーラを出すカリガネ。アイリング、成鳥はくちばしから額にかけてのきれいな白色がピンクの嘴を引き立てます。
カリガネはロシア北極海沿いのツンドラで繁殖し、冬に宮城県の伊豆沼や蕪栗沼などに訪れる稀な鳥で、日本で見られるガンの仲間では最小サイズ。
参加者全員でマガンの群れの中に混じるカリガネ探し。「この群れにはいませんね、じゃあ次」と畑を移動。周りの人から見たら異様な光景ですね。
Photo & text : Mariko SAWADA
Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん
Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県
10月半ばに小笠原諸島・南島に上陸&観察したカツオドリ Brown Booby。2020年はコロナの影響で繁殖初期に観光客が訪れなかったことから、観光客が通る道のそばでの営巣があり、雛を近くで観察することができました。
南島といえば、扇池を望むこの風景。南島とその周辺は、石灰岩が侵食や風化を受けてできた「カルスト地形」で、この扇池はドリーネと呼ばれるすり鉢状の窪地です。通常の観光ルートだと鮫池から上陸し、歩いて東の尾根に登っていくとこの景色が広がります。このビーチは夏はアオウミガメが産卵に訪れコガメが海に帰る様子や、帰れずに死んでしまった厳しい野生の現実も観察できるビーチです。
10月の半ばでしたが、さきほどまで生きていたと思われるコガメが。
東の尾根がから見た父島の景色。右側にハートロックが見えます。
船で鮫池に入っていくと、ラピエと呼ばれる鋭く尖った石灰岩の上にカツオドリです。鮫池周辺の岩場にはいくつもの営巣地が確認できます。
船着き場のすぐそばにいた雄のカツオドリ。
近くにいる雛の親鳥でしょうか、かなり近いですが飛びません。
通路のすぐそばで育っているカツオドリの雛。今年は多くの観光客がこの子の成長を見てきたことでしょう。もう1羽、通路に近いところに別の雛がいたそうですが、親鳥が放棄してしまい死んでしまったのだそうです。
この雛には無事に巣立ってほしいものです。
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : Oct 2020, 南島、小笠原諸島
Special Thanks to ブルーレース・内藤さま
2航海滞在した小笠原の旅もいよいよ終わりです。いつもジーンと感動する小笠原名物、お見送りタイム。
お見送りをする船から見たおがさわら丸。今回は2航海滞在だったので、一度「お見送り」をすることが出きました。おがさわら丸の引き波、他のお見送りの船の引き波に気をつけながらポジション取りをします。
おがさわら丸から見た、「お見送り」。海のツアーを展開する事業者が総出で見送ってくれます。「いってらっしゃーい」の声が響きます。
私たちがお世話になったFisheyeのビーストマスター号と久保田君のバク転。このあと次々とみなさん海へ。アシヒレを付けないで海に飛び込むのは怖いものです。
聟島列島付近でおがさわら丸につくカツオドリが一気に増えました。今日はトビウオフィーバーのようです。
トビウオを追って海に飛び込んだカツオドリ。
何とかギリギリキャッチ。
でも横取りされそうになるカツオドリ。
負けません!
こちらでも潜水して魚を追うカツオドリ。
無事に魚をくわえて上がってきました。
でも気をぬくと魚ははねて逃げてしまいます。慌てるカツオドリ。
群れにまじって、こんな子が。成鳥手前くらいのステージのアカアシカツオドリでしょうか。そしてどこで繁殖しているのでしょうか。
夕陽のころ、アカアシカツオドリ成鳥も現れました。
アイレベルで飛んでくれたアカアシカツオドリ。
こんな光景をひたすら見続け、日没です。船の後方には20羽ほどのカツオドリがついて見送ってくれました。夕陽の中のカツオドリの「お見送り」に、甲板にいた皆様もうっとり。
おがさわら丸からのサンセット。このあとトップデッキは星を眺めるカップルの場所となりました。我々は船室へ。
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : Sep 2020, おがさわら丸、小笠原航路
9月の第一便のおがさわら丸で出会った海鳥です。出向前は「悪天候に覚悟」と言われていました、そんなに荒れることもなく、甲板を閉ざされることもなく、明るい間はフルで観察できるコンディションでした。
御蔵島付近ではたくさんのオナガミズナギドリが飛んでいました。でもちょっと距離が遠く・・。大型のミズナギドリ、一度近くで見てみたいものです。
そして日没前に現れたのがアオツラカツオドリ。甲板にいたバードウォッチャーのシャッター音が響きます。
アオツラカツオドリ。この付近では小笠原諸島西之島で繁殖記録があるとのことですが、西之島は現在噴火中。昨年、千島列島のライコケ島の噴火で繁殖地を失った無数の海鳥を目撃しただけに、自然のこととはいえ胸が痛みます。どこからきたアオツラカツオドリでしょうか。
おがさわら丸にタダ乗りしていたイソシギ。
南へ向かって飛んでいきました。海も少し荒れ始め、そして日没です。
翌朝、朝からオナガミズナギドリ、アナドリの姿が船の周りに。
オナガミズナギドリは小笠原諸島の島で繁殖しており、島回りでも簡単に観察できるミズナギドリです。
アナドリ。父島群島の南島・東島で繁殖しています。小さくウミツバメちっくです。
ようやくアナドリが近くに!
そしてカツオドリの登場です。おがさわら丸がはね上げるトビウオなどを狙って、結構アイレベルの高さでも飛んでくれます。
この雄のカツオドリ、めっちゃ魚をロックオン。
海に飛び込んで魚を追うカツオドリです。
今回は甲板でHobby’s Worldの吉成さんと出会えて大変ラッキーでした。
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : Sep 2020, おがさわら丸、小笠原航路
8月下旬、知床半島にカラフトマスが押し寄せてきました。でも雨が少なく、川に水量がないと鮭たちは川を上れず、河口に近い海に集まっています。
そこに定置網を設置するのが羅臼の漁師、そして同じ場所で鮭を獲るのがヒグマ。この季節のヒグマは一番お腹を空かせていてやせ細っています。なかなか川に上ってこないカラフトマスを求めて、ヒグマも海に入ります。
知床半島のペキンノ鼻付近で見た、ヒグマの鮭狩りの様子です。なんと背後にはオジロワシが「早う獲れ!」とばかりに控えています。そしてこのヒグマは海へ・・・。
海に入るヒグマ。
何度も顔をつけて海の中のカラフトマスを探して泳ぎます。
メスのカラフトマスを捕まえました!
筋子が溢れだしています。
泳ぎながら食べるのはしんどいので海岸へ。しばらくは私たちにお尻をむけてむしゃむしゃとカラフトマスを食べていました。メインの部分を食べ終わると、再び海へ。
すかさず、オジロワシが食べ残しを押さえました。そしてそれをカラスたちが狙っています。
一方、ヒグマの方は、カラフトマスを獲るのかと思えば、定置網のブイで遊び始めました。まだ子供らしい一面を残した若い個体です。見ているお客さまも胸キュンな瞬間でした。
やがて遊ぶのにも飽きて海岸へ。夏の終わりのヒグマのひと時です。
Photo : Mariko SAWADA, Kiyoshi AOKI *These photos were taken during a tour in late August 2020. Text : Mariko SAWADA
Special Thanks : 天神幸吉さま、森田将平(知床サライ)