カテゴリー別アーカイブ: ■鳥 List of birds

夏のインドで探鳥!スルタンプール編

久しぶりにインドの探鳥です!しかも夏。インドの探鳥は冬がメインですが、夏に繁殖期を迎える野鳥も多く、バードフォトグラファーにとってはなかなかの被写体もいます。まずはデリー国際空港からわずか1時間のスルタンプールへ。「スルタンプール国立公園」自体は5月半ばから9月半ばまで水源を減らすために休園中ですが、周囲の湿地・農耕地には様々な野鳥が見られ、休日となるとインド人野鳥フォトグラファーが集まります。

場所はデリーとグルガオンの間、住宅地、マンションと隣り合わせの湿地。インドトキコウ Painted Stork、ダイサギ  Great Egret、チュウサギ Intermediate Egret  の集団が。まさにインドの野鳥の姿、たくましい。

そこにインド人のバーダーさんたちの姿が。行ってみると昨日、シロエリハサミアジサシ Indian Skimmer が観察されたとの情報で集まっていた人々でした。シロエリハサミアジサシはチャンバル国立公園のチャンバル川で観察できるアジサシとして知られていますが、この都会に隣接する場所にやってきました。

いました、しかもシロエリハサミアジサシ Indian Skimmer は、カワアジサシ River Tern とレアなハジロクロハラアジサシ  White-winged Tern と一緒にいました。

シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)

カワアジサシ(River tern)、シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)

インドでもFacebookやコミュニティサイトであっというまに目撃情報が出回ります。

ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)

これは写真撮影が難しいハイバラカッコウ Grey-billed Cuckoo。鳴くのが7~8月だけでそれ以外の季節はほぼ見ることができない鳥です。

ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)

ハイバラカッコウは「電線」系でなかなか木にとまっているのを撮影するのが難しい鳥です。

そして夏のスルタンプールといえばこの子、コブガモ Knob-billed Duck。繁殖羽の雄を見れる、唯一の機会です。冬は見れたとしても「コブ」がありません。夏の繁殖中の雄スペシャル。

雄だけのグループ!しかも立派なコブをお持ちです♪ 一昔前のインドでは、当たり前の光景だったそうですが、開発が進みコブガモが繁殖できる場所も限られてきました。鳥ガイド氏によると、コブガモは水辺ではなく木の穴や廃屋で繁殖しているのが観察されているそうです。

コブが小さいですが、美し羽色を見せてくれた子。

オオヅル Saus Crane

インドの夏はオオズル Sarus Craneの繁殖です。この鳥も、コブガモと同様、繁殖地が脅かされています。ダンスは見れませんでしたが求愛の鳴き声が響いていました。

そのほか、スルタンプールらしい、夏に出会った野鳥たちです ↓↓

ベニスズメ Red Avadavat

ムナグロシャコ Black Francolin

 

建築材にとまっている、アオショウビン White throated Kingfisher とインダススズメ Sind sparrow 。

インドコキンメフクロウ(Spotted Owlet)

スルタンプールの野鳥は、人間が作ったものを最大に利用して暮らしています。ハイイロハッカ(Bank Myna) の巣。

高架の下はハイイロハッカのアパートになっていました。ハイイロハッカは冬に繁殖するのでそのころにはさらに賑わいます。

ハイイロハッカ Bank Myna のペア。

農道のアカアシトキ Red-naped Ibis とインドトサカゲリ Red-wattled Lapwing。人の暮らす場所にこれだけの野鳥が一緒に暮らしている、スルタンプールです。

<今回の訪問(7月下旬)の午前中の間に観察できた野鳥>

ムナグロシャコ(Black Francolin)、シマシャコ(Grey Francolin)、コブガモ(Knob-billed Duck)、カルガモ(Indian Spot-billed Duck)、カイツブリ(Little Grebe)、インドトキコウ(Painted Stork)、シロスキハシコウ(Asian Openbill)、シロエリコウ(Wolly-necked Stork)、オオフラミンゴ(Greater Flamingo)、アカアシトキ(Red-naped Ibis)、クロトキ(Black-headed Ibis)、リュウキュウヨシゴイ(Cinnamon Bittern)、ムラサキサギ(Purple Heron)、アマサギ(Cattle Egret)、ダイサギ(Great Egret)、チュウサギ(Intermediate Egret)、コサギ(Little Egret)、アジアコビトウ(Little Cormorant)、トビ(Black Kite)、エジプトハゲワシ(Egyptian Vulture)、シロハラクイナ(White-breasted Waterhen)、オオバン(Common Coot)、オオヅル(Sarus Crane)、インドイシチドリ(Indian Thick-knee)、レンカク(Pheasant-tailed Jacana)、カタグロツバメゲリ(River Lapwing)、インドトサカゲリ(Red-wattled Lapwing)、コチドリ(Little Ringed Plover)、エリマキシギ(Ruff)、アカアシシギ(Common Redshank)、タカブシギ(Wood Sandpiper)、オジロトウネン(Temminck’s Stint)、カワアジサシ(River tern)、ハジロクロハラアジサシ(White-winged Tern)、シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)、カワラバト(Rock Pigeon)、シラコバト(Eurasian Collared Dove)、ベニバト(Red Collared Dove)、ワライバト(Laughing Dove)、ワカケホンセイインコ(Rose-ringed Parakeet)、ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)、オオバンケン(Greater Coucal)、インドコキンメフクロウ(Spotted Owlet)、インドブッポウソウ(Indian Roller)、ニシブッポウソウ(Eurasian Roller)、コウハシショウビン(Stork-billed Kingfisher)、アオショウビン(White-throated Kingfisher)、ミドリハチクイ(Green Bee-eater)、ルリホオハチクイ(Blue-cheeked Bee-eater)、ムネアカゴシキドリ(Coppersmith Barbet)、ミナミオオモズ(Iberian Grey Shrike (Southern Grey Shrike))、オウチュウ(Black Drongo)、イエガラス(House Crow)、コチャバネヤブヒバリ(Indian Bushlark)、シリアカヒヨドリ(Red-vented Bulbul)、シロハラハウチワドリ(Ashy Prinia)、アジアマミハウチワドリ(Plain Prinia)、オナガサイホウチョウ(Common Tailorbird)、ハイイロハッカ(Bank Myna)、インドハッカ(Common Myna)、ホオジロムクドリ(Asian Pied Starling)、バライロムクドリ(Rosy Starling)、シキチョウ(oriental Magpie Robin)、クロノビタキ(Pied Bushchat)、インダススズメ(Sind Sparrow)、キムネコウヨウジャク(Baya Weaver)、ギンバシ(Indan Silverbill)、ベニスズメ(Red Avadavat)、マミジロタヒバリ(Paddyfield Pipit)

インドの探鳥、夏もおすすめです!

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation: End of July 2022, Sultanpur area, Haryana, India

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セイロンガマグチヨタカ (6) Sri Lanka Frogmouth (シンハラジャ、スリランカ)

3月のスリランカ、シンハラジャの森での観察です。

セイロンガマグチヨタカの親子、ママ鳥が体を揺らしています!セイロンガマグチヨタカはスリランカの固有種ではありませんが、見られるのは南インドの西ガーツ山脈とスリランカだけ。お客様からのリクエストの多い鳥ですが、道なき藪の斜面を歩くことも。でも、こんな光景を見たらすべての苦労がぶっ飛びますね!

Sri Lanka frogmouth セイロンガマグチヨタカ

Videography & text : Mariko SAWADA

Observation : Mar 2022, Sinharaja Forest, Sri Lanka

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ムネアカゴシキドリ Coppersmith Barbet(ウィルパットゥ、スリランカ)

ムネアカゴシキドリ Coppersmith barbet Saiyu Lanka saiyulanka Birding Sri Lanka スリランカの野鳥 (2)

スリランカ、ウィルパットゥ国立公園近くのロッジの庭で観察したムネアカゴシキドリ Coppersmith Barbet   Megalaima haemacephala  の巣です。親鳥が10分間隔ほどで雛に餌を運んでいました。

Coppersmith barbet ムネアカゴシキドリ

ムネアカゴシキドリはその英名がCoppersmith =銅細工職人。森に響くその鳴き声は大きく、tuk … tuk…tuk..、トッ、トッ、トッとまるで鍛冶屋がハンマーで金属をうつ音に似ていることからついた名前だそうです。

ムネアカゴシキドリはインド亜大陸と東南アジアで見られ、スリランカで見られるものは亜種のひとつ  Megalaima haemacephala indicus でパキスタン~インド~スリランカと、まさにインド亜大陸圏で見られる亜種です。

ムネアカゴシキドリ Coppersmith barbet Saiyu Lanka saiyulanka Birding Sri Lanka スリランカの野鳥 (1)

親鳥が木の実を運んできました ♪ 巣の場所を教えてくれた Ibis Wilpattu のご主人に感謝です!

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Mar 2022, premise of “Ibis Wilpattu”,  Sri Lanka

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スリランカ固有種、クリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owlet(2)

クリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owlet スリランカ固有種 Endemic bird of Sri Lanka Saiyu Lanka saiyulanka(1)

2年ぶりに訪れたスリランカのシンハラジャの森。最後に訪問したのはまさにコロナ・パンデミックが始まった2020年3月でした。懐かしいガイドさんたちと再会です!

シンハラジャに到着し、3日間のあいだに「出会いたい野鳥」スケジュールの打ち合わせ。まず、セイロンガマグチヨタカが営巣しているので見に行きましたが、珍しくとても高い場所に巣を作っておりじっくり観察することはできませんでした。

次に目指したのはクリセスズメフクロウのテリトリーの果樹園です。クリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owlet  Glaucidium castanotum はスリランカの固有種の鳥で、シンハラジャ、キトゥルガラのウェットゾーンでしか見られない、珍しいフクロウです。

2羽いましたが、バラバラに木にとまっていました。なんと、1羽の足には捕獲したトカゲが!

Chestnut backed Owlet クリセスズメフクロウ

一見、モリスズメフクロウ Jungle Owlet のようですが(亜種だと考えられた時期があったそうです)、羽から背中にかけてがChestnut=クルミ色です。

クリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owlet スリランカ固有種 Endemic bird of Sri Lanka Saiyu Lanka saiyulanka(2)

シンハラジャで期待する固有種のフクロウとの出会い第1号がクリセスズメフクロウでした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Mar 2022, Sinharaja, Sri Lanka

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(動画)ベーリング島のウミガラス(コマンドルスキー諸島)

コマンドルスキー諸島 Komandorski Islandsのベーリング島沖にあるアリーカメン岩礁 Ariy Kamen Rock で観察したウミガラスの動画です。

ここはとても透明度が良かったのでGo proを海につけてみました。意外と水中のウミガラスが撮れていたのでうれしかったです ♪

Common Guillemots at Ariy Kamen, Komandorski|コマンドルスキー諸島・アリーカメン岩礁 水中のウミガラス

Videography  : Matiko SAWADA

Obeservation : Aug 2019, Ariy Kamen, Bering Island, Komandorski Islands, Russian Far East

ベーリング島のウミガラス(コマンドルスキー諸島)

極東ロシア、アリューシャン列島のロシア側の島はコマンドルスキー諸島 Komandorski Islands (英語ではCommander Islands)で、ベーリング島 Bering Island とメードヌイ Medny Island の2つの島といくつかの小さな島・岩礁から成り立っています。

そのうち、ベーリング島の沖にあるアリーカメン岩礁のウミガラスの繁殖地をご紹介します。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (11)

訪れたのは8月半ば、ウミガラスは繁殖真っただ中でした。岩のテラス、割れ目を利用した大繁殖地です。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (5)

お魚をくわえたウミガラス。雛は岩と親鳥の間にいてとても見えにくいのです。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (7)

周辺の海はウミガラスだらけ。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (9)

ウミガラスの群れに近づき、Go proを海につけて水中を見てみました。

水中のウミガラス Common Guillemot under water Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (2)

一生懸命魚を探しています。水かきもかなりのスピードで動かしていました。

水中のウミガラス Common Guillemot under water Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (1)

翼を使って水の中を「飛び回る」ウミガラス。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (6)

ハンティングに成功したウミガラス。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (8)

魚を縦向きにくわえて雛のところへ運んでいきます。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (2)

雛は8月下旬から9月半ばに巣立ちます。

ウミガラスの父親と雛Common Guillemot Papa and chick

巣立って「海へ落ちた」雛はお父さんウミガラスが雛が自分で餌を獲れるようになるまで育てます。お母さんウミガラスは繁殖期の最後まで「巣」の場所に残り自分の場所であることを主張し、そして海へと旅立つそうです。

 

Image & text :Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Ariy Kamen, Komandorski Islands, Russian Far East

ベーリング島で観察した海鳥たち(コマンドルスキー諸島)

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (10)

8月半ばのコマンドルスキー諸島、ベーリング島のアリーカメン岩礁で観察した海鳥をまとめてみました。この時期には繁殖が終りもう海に出ているシラヒゲウミスズメやウミオウムもいれば、繁殖期真っただ中のウミガラスやエトピリカ、そして渡りの途中のハシボソミズナギドリの姿も。そして個体によってはもう冬羽へ移行中です。

ツノメドリ Horned Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (9)

ツノメドリ Horned Puffin

ツノメドリ Horned Puffin はベーリング島、メードヌイ島でも繁殖し、コマンドルスキー諸島ではあちこちで見ることができます。

ハシブトウミガラス Brünnich's Guillemot コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (17)

ウミガラス Common Guillemot とハシブトウミガラス Brünnich’s Guillemot

繁殖地にいるウミガラス Common Guillemot とハシブトウミガラス Brünnich’s Guillemot(真ん中の個体)です。この2種は非常に似ていますが、ハシブトウミガラスはくちばしの根もとに白い線が入ることで見分けています。2種とも極東ロシアの島で繁殖しています。

ミツユビカモメ black-legged kittiwake コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (1)

ミツユビカモメ Black-legged kittiwake

ミツユビカモメ Black-legged kittiwakeは千島列島~カムチャッカ半島~コマンダー諸島と極東ロシアで広く分布し、ウミガラスと同じ環境に繁殖しています。

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwake コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (6)

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwake

アカアシミツユビカモメ Red-legged kittiwakeは珍しいカモメの仲間で、コマンドルスキー諸島、アリューシャン列島、プリビロフ島などで繁殖する、いわば「ベーリング海」固有種。赤い脚が本当に可愛らしい、コマンドルスキー諸島で必ず見たい海鳥です。ミツユビカモメに混じって繁殖しています。

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (4)

エトピリカ繁殖地 Tufted Puffin breeding ground

アリーカメン岩礁は高さ2~45mの高さの異なる小さな島です。低い場所はウミウ、チシマウガラス、チシマシギなどが見られ、垂直の岩場はウミガラスやミツユビカモメが繁殖し、島の上部の草地にはエトピリカが穴を掘って繁殖しています。

エトピリカ Tufted Puffin コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (16)

エトピリカ Tufted Puffin

エトピリカは繁殖ステージが遅い目で9月の上旬でもまだ魚をくわえて巣に運ぶ様子が見られます。アリーカメン岩礁に近いトポルコフ島は10万羽のエトピリカの繁殖地です。

ヒメウ Pelagic Cormorant コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (8)

ヒメウ Pelagic Cormorant

ヒメウ Pelagic Cormomrantは、少し低い目の岩場で繁殖しています。

Common Guillemot ウミガラス コマンドルスキー諸島 Komandorski Islands アリーカメン岩礁 Ariy Kamen Commander Islands ウミガラス繁殖地 (13)

チシマウガラス Red-faced cormorant

ウミガラスに囲まれた真ん中付近にいるのがチシマウガラス Red-faced cormorant。

コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (20)

ヒメウもチシマウガラスも岩場の低い場所で繁殖し、時にはウミガラスに圧倒されています。この写真にはトドが映っていますね!満潮時に岩に上がったようですが、潮が引いてしまいました。

チシマシギ Rock Sandpiper コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (5)

チシマシギ Rock Sandpiper

チシマシギ Rock Sandpiper はシギとしては分布範囲の狭い種で、コマンドルスキー諸島、アリューシャン列島、チュコトカ半島などで繁殖しています。千島列島ではあまり見ることはない種で、コマンドルスキー諸島でぜひ出会いたい海鳥です。8月半ばにはもう冬羽への移行なのですね。

ウミバト Pigeon Guillemot コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (7)

ウミバト Pigeon Guillemot

お魚をくわえたウミバト Pigeon Guillemot 。ウミバトは極東ロシアではあちこちで繁殖していますが、コマンドルスキー諸島ではあまり大きな群れには出会いませんでした。このお魚をくわえた構図が撮りやすい海鳥です。口の中も赤く、足と口の中の赤色を同時に見せてくれることもあります。

ウミオウム Parakeet Auklet コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (12)

ウミオウム Parakeet Auklet

そしてこちらは、後ろ姿だけですがウミオウム Parakeet Auklet。群れは作らず2~3羽で観察されることが多い海鳥です。

シラヒゲウミスズメ Whiskered Auklet コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (13)

シラヒゲウミスズメ Whiskered Auklet

こちらは・・・大好きなシラヒゲウミスズメ Whiskered Aukletです。シラヒゲウミスズメは千島列島のクルーズでヤンキチャ島の繁殖地を訪問することができますが、その他で出会ったのはアリューシャン列島のアクタン島海域だけでした。ベーリング島のニコルスコエにある博物館の資料でシラヒゲウミスズメがコマンドルスキー諸島で繁殖していることになっていましたが、観察できたのは初めてでした!

ハイイロヒレアシシギ Red phalarope コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (14)

ハイイロヒレアシシギ Red phalarope

渡りの途中のハイイロヒレアシシギ Red phalarope。夏にユーラシア大陸、アメリカ大陸北部の北極圏で繁殖し、冬にはアフリカや南米までの長距離の渡りをします。アリューシャン列島、コマンドルスキー諸島で夏に観察されます。

ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwater コマンドルスキー諸島の海鳥 アリーカメン岩礁 海鳥繁殖地 Komandorski Islands Ariy Kamen ea BIrds Breedng Islands (15)

ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwater

そしてこちらも長距離の渡りをする ハシボソミズナギドリ Short-tailed Shearwaterの群れ。ベーリング海までオキアミを求めてはるばるオーストラリア南東部・タスマニアからやってきます。コマンドルスキー諸島もザトウクジラが見られ、オキアミを求めてハシボソミズナギドリもやってくるわけです。

ここまでで14種の海鳥を1時間30分ほどのゴムボートのクルーズで観察しました。渡りの鳥は北半球のアホウドリ3種含め、詳しい人が見たらもっと見つかるのだと思います。

これだけの海鳥が暮らせるということは、豊富な魚資源があるということ。コマンドルスキー諸島は本土から遠方すぎるため漁業は発達しておらず、村の人は遡上するサケからイクラをとる程度。停泊中にカムチャッカ半島では見れない位大きなオヒョウを釣ったこともあり、この人を近寄らせない「距離」が魚と海鳥の聖域を作り上げているのですね。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : Aug 2021, Ariy Kamen, Komandorski Islands, Russian Far East

(動画)エトピリカ乱舞するトポルコフ島(コマンドルスキー諸島)

極東ロシア、コマンドルスキー諸島トポルコフ島のエトピリカ。強風の中、繁殖地に離発着するエトピリカの様子です。

トポルコフ島のエトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island|西遊旅行

Videography : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Toporkov Island, Commander Islands, Russian far East

エトピリカ乱舞!トポルコフ島上陸(コマンドルスキー諸島)

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(9)

極東ロシアのコマンドルスキー諸島、トポルコフ島で見た”エトピリカの乱舞”。

トポルコフ島はコマンドルスキー諸島最大の島・ベーリング島の北西の沖4キロに位置する無人島。直径800mほどの平らな島で、夏は海鳥が繁殖しています。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(12)

8月半ば、風がとても強い日にトポルコフ島に上陸。母船からゴムボートに乗り、波の間をくぐっての上陸です。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(13)

上陸した海岸で待っていたのはこの景色、エトピリカ・オンザビーチ。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(1)

どこを見てもエトピリカだらけです。このトポルコフ島の名前<Toporkov>はエトピリカを表します。まさに「エトピリカ島」。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(2)

海岸に並ぶ、エトピリカ。

1920年代にトポルコフ島に養狐のためキツネが持ち込まれ、その結果エトピリカを含む海鳥が激減しました。1993年、生態系回復のためキツネを駆除し、海鳥の保護が始まりました。2019年現在のトポルコフ島には5万ペア、10万羽のエトピリカが繁殖していると考えられています。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(3)

トポルコフ島は平らな島で、一番高いところで標高9mほど。その島の草地にエトピリカは巣を作り、草がない場所は離発着場になっていました。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(4)

少し高い場所にある繁殖地を見ることができるように観察用のテラスが設けられていました。そこから間近にエトピリカを観察。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(5)

エトピリカが離発着を繰り返しています。参加者のみなさんは、くちばしに魚をくわえたエトピリカを撮影しようとがんばっていました。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(7)

営巣地の上空を飛ぶエトピリカ。この日は風が強く、飛ぶというよりホバリング状態。エトピリカたちが遊んでいるかのような光景でした。

コマンドルスキー諸島 トポルコフ島 エトピリカ Tufted Puffin Toporkov Island Commander Islands, Komandorski Islands(8)

乱舞するエトピリカ。繁殖期真っただ中のエトピリカ。コマンドルスキー諸島では9月半ばまで魚をくわえて巣に向かうエトピリカの姿が見られます。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2019, Toporkov Island, Commander Islands, Russian far East

岩礁のウトウ(天売島)

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (5)

7月上旬に行った、天売島在住の自然写真家・寺沢孝毅さんによる「天売島海鳥塾」。朝、寺沢さん操船するケイマフリ号で海へ。赤岩の付近にウトウが上りたがる岩礁があります。

ウトウは北日本沿岸から千島列島、アリューシャン列島、アラスカ州まで北太平洋沿岸に広く分布するとされていますが、これらの地域でウトウを見るのはそんなに簡単ではありません。意外と見れる場所は少ないのです。

天売島はウトウの世界最大の繁殖地であり、繁殖中の「ツノ」がある成鳥を見られる(しかも簡単に)、世界でも貴重な場所です。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (3)

このウトウの「ツノ」は英名がRhinoceros Aukletと「サイの角」の名がつくように、「ツノ」のような突起が繁殖期に現れます。幼鳥や非繁殖羽ではこの突起が見られません。初めてウトウを見たとき(根室海峡のマッコウクジラのクルーズ中でした)、それはそれは興奮しました。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (8)

赤岩の付近に潮の干満で現れる岩礁があります。なぜかこの岩礁に乗ろうとし、何やら社会的アクティビティが行われているように見えるのです。中には登ってくる個体を妨害するものも。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (1)

会話をしているかのような4羽。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (7)

アクション。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (11)

仲がいい?

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (12)

これも仲がいい??

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (13)

この2羽はペアですね!

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (10)

ずっと見ていられるほどおもしろいウトウの行動です。ウトウにとって大切な場所なのでしょう。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography

赤岩の展望台から見たらこんな感じです。確実に、岩の周りにウトウが集まっています。

天売島 ウトウ ケイマフリ号 Rhinoceros Auklet Teuri Island Bird Photography (15)

観察していたら、突然、一斉に飛び立って行きました。とてもウトウの面白い行動を観察できた朝でした。2021年の繁殖状況が大変心配されるウトウ、一羽でも多くの雛が巣立つことを祈ります。

 

Text & Photo : Mariko SAWADA

Observation : July 2021, Teuri Island, Hokkaido

Special Thanks : 自然写真家・寺沢孝毅さん