内戦後に奇跡の復活!ベイルートの国立博物館の所蔵品の数々をご紹介します。
ベイルート国立博物館は1942年開館のレバノン最大の考古学博物館です。10万点の遺物を所蔵しています。75年から91年までのレバノン内戦ののち、博物館関係者の尽力により、復活を果たしました。
奇跡の宝物の数々を、時代毎に、遺跡毎にご紹介します。
ベイルート国立博物館 |
大型の展示物が多く見所の多い1階部分 |
ビデオ上映ではグリーンライン上にあった博物館の所蔵品を、内戦の際にどのように保護したかを見せてくれます |
ブロンス時代(紀元前3200~1200年)
王家の墓で発見された、紀元前10世紀のアヒラム王の石棺の一部。ここに最古のフェニキア文字が残ります。フェニキア人は当初はヒエログリフを使用しましたが、不便なため、フェニキア文字を発明した。これは、アルファベットの元となり、地中海世界全体に広がりました。文字は右から左に読みます。
ビブロス出土の紀元前10世紀のアヒラム王の石棺の一部 |
オベリスク神殿から発見されたオベリスク。紀元前19世紀のビブロス王が寄進したもの。「ラー神に愛される王」との記載があります |
窓のある手斧で、オベリスク神殿で他の短剣や弓矢とともに出土しました。女神アナトもしくはリシェフ神にささげられました
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オベリスク神殿の下から出土のブロンズ製の兵士像。ヘルメットやエジプトの王冠に似た円錐形の髪飾りを身に着けている男性
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鉄器時代(紀元前1200~333年)
〈エシュムーン出土〉神殿の至聖所から発見された祭壇。写真は後側に彫られたアポロ神を中心とするオリンポス12神(上段)と踊り子と音楽演奏家の姿。
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〈エシュムーン出土〉フェニキア碑文のある子供の像。子供の治癒に感謝した両親が健やかな子供の像をエシュムン神に奉納しました
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〈シドン出土〉豚の頭を象ったテラコッタ製のリュトン。アッティカとして知られたアテネ周辺からのもたらされた黒釉の彩色が特徴的な陶器。当時地中海交易が行われていたことを示す
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〈シドン出土〉大理石製の双頭の雄牛の柱頭。鉄器時代の後期、紀元前5世紀。シドンが当時のペルセポリスとスーサから強い影響を受けていたのがわかります
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ヘレニズム期(紀元前333~64年)
エシュムーンの神殿から出土した紀元前350年の祭壇。フェニキアの都市で製作された「トリビューン(護民官)」と名づけられた祭壇はギリシャ彫刻の典型的な例で、レリーフの上段には竪琴をもつアポロとギリシャの神々が並び、下部には踊り子や楽隊が並びます
ローマ時代(紀元前64~紀元後395年)
〈ビブロス出土〉エウロペ神話のモザイク。紀元後3世紀。雄牛の姿をしたゼウス神にさらわれるビブロスの王女エウロペ(ヨーロッパの語源となる)。エウロペを探しにギリシャに渡った兄カドモスが、古代ギリシャ人にアルファベットを伝えたといいます
〈ティール出土〉大理石製の石棺。レリーフはトロイ戦争のエピソードで、パトロクロスを殺され復讐を遂げたアキレスがヘクトールを引きずっているのがわかります |
〈ティール出土〉石棺(紀元後2世紀)。被葬者の夫婦像の下には、酔っぱらったキューピットが描かれます |
〈ティール出土〉ラムセス2I世の石碑。軍神ラーハラクティの前で、敵を束ねて打ち砕くラムセス2世
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〈バールベック出土〉紀元後2世紀の七賢人のモザイク
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