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添乗員ツアーレポート  中近東・中央アジア

ソグディアナからスルハンダリヤへ 
~タジキスタンとテルメズの遺産~

  • タジキスタン

2023.05.15 update

今回は人気の「タジキスタンとテルメズの遺産」のコースから、タジキスタンの見どころをご紹介いたします。

 

タジキスタンは、国土の90%以上が山岳地帯という山岳国家です。そのため、かつてこのツアーではトルケスタン山脈、ザラフシャン山脈、ヒッサール山脈を越えて首都ドゥシャンベへ向かうために、二つの峠越えがありました。峠は標高3500mを超えるため、ゴールデンウィークでも雪が降り、秋も降雪のためにツアーを設定することができませんでした。しかし近年、中国・イランが峠にトンネルを造り、峠越えの必要がなくなったため、春や秋にもツアーを設定できるようになりました。

 

ペンジケントまでの道中は峻険な山脈を縫うようにザラフシャン川が流れていますが、添乗で訪れた10月は黄葉が始まり、美しい風景を見ることができました。

「金を運ぶ川」という意味のザラフシャン川の黄葉

次に、ツアーで訪れる「ドゥシャンベの国立博物館」の珍しいコレクションを紹介いたします。通常は写真撮影が禁止されている博物館ですが、はるばる日本から来たツアーということでお願いし、撮影を特別に許可していただきました。

まず、ソグド人の都市ペンジケントからの出土品。これはペンジケントにかつて存在したヒンドゥー寺院にあった、シヴァ神とパールヴァティーの像です。シルクロードを結ぶ交易ルート上の都市だったため、この街に滞在するインドから来たヒンドゥー教徒の隊商のために造られたと思われます。

実際に寺院の前でシヴァとパールヴァティーに扮してポーズをとるガイドさん

そしてこちらは、ペンジケント近郊に残るサラズムで発見された紀元前4000年紀の「サラズムの王妃」という女性です。サラズムはタジキスタンで最初に登録された世界遺産で、工房跡や神殿跡が発掘されています。かつてツアーでは訪問することはなかったのですが、現在のツアー日程ではペンジケント訪問の際にサラズムの遺跡も訪問します。

ドゥシャンベ国立博物館に眠るサラズムの王妃

発掘されたサラズム遺跡の拝火神殿跡

 

ここからの写真は、タジキスタン南部にあるグレコ・バクトリア時代のタフテ・サンギンからの出土品の数々です。アレキサンダー大王は、東方遠征の際にソグディアナとアフガニスタンを往復しています。大王がもたらしたギリシャの文化を色濃く残す、目を見張るような出土品がたくさん展示されています。

ギリシャ神話のキューピッド

アレキサンダー大王とされる像

インドに近かったこともあり象牙細工が多く、この「アキナケス剣の象牙の鞘」は素晴らしい傑作です。ガイドさんいわく、このような傑作は「後世の人にも見てもらう価値があるため出土される」のだそうです。

アキナケス剣の象牙の鞘

そのほかツアーでは、テルメズでクシャン朝時代の仏教遺跡や、アレキサンダー大王が建てたアムダリアのアレキサンドリアである「アレキサンドリア・オクシアーナ」だと比定されるカンプル・テパ、考古学者の加藤九祚先生が発掘に携わったクシャン朝の最初の首都ダルベルジン・テパ等も訪問。見どころの詰まったツアーです。春は野花が咲き秋は黄葉が美しい、自然も魅力のタジキスタン。皆さまをお待ちしています。

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