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添乗員ツアーレポート  中近東・中央アジア

サウジアラビア<前編>
二大都市リヤドとジェッダ

  • サウジアラビア

2022.06.01 update

イスラム教の国へ添乗すると、空港の到着ターミナルで、巡礼着を身にまとった人々や巡礼土産のザムザムの水を荷物カート一杯に積んだ人々に出会うことが多々あります。聖地メッカへの巡礼から帰国した方々なのだと一目で分かりますが、非イスラム教徒である私たちにとって、サウジアラビアは観光しづらい未知なる国のひとつでした。しかし、2019年秋より観光査証の発給が解禁され、弊社でもサウジアラビアにツアーを送っています。今回は、サウジアラビアの魅力を2回にわたってご紹介させていただきます。

前編は二大都市である首都リヤドと紅海に面した商業都市で聖地メッカへの玄関口でもあるジェッダについてです。

リヤドの中心キングファハド通り

サウジアラビアの観光

2019年9月末、サウジアラビアは日本を含む約50ヶ国に対して、観光査証を解禁。これにより自由に訪問できるようになりました。(近年は、スポーツや文化交流イベント[サッカー観戦ツアーが良い例]に参加することが、ビジネス以外でサウジアラビアを訪問する方法といっても過言ではありませんでしたが、観光査証の発給解禁により、状況が一変しました。)

外国人に門戸を開いたばかりということは、受け入れ態勢が整っていないのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、毎年何百万人もの巡礼者が訪れ、世界有数の産油国でもあり、観光インフラは整っています。また、以前は、外国人女性は、体全体を覆うアバヤや髪の毛を隠すヒジャブの着用が義務付けられていましたが、現在は不要です。ただ、現地の慣習に配慮して過度な露出は控えましょう。

変わりゆくサウジアラビア

石油資源だけに依存しない経済・社会を構築するために、サウジアラビアは変わり始めています。その一環が観光産業の確立です。女性の社会的地位の向上も変化の一つです。2018年6月の女性の運転解禁では女性の自動車の運転も解禁されました。以前ツアーに同行してもらった女性のガイドさんが「解禁直後に免許を取得した。運転大好き!」と言っていたのが非常に印象的でした。

近代的な巨大都市:首都リヤド

リヤドは、アラビア半島のほぼ真ん中に位置する内陸都市で、アラビア語で「庭園」を意味します。地下鉄も現在建設中で、完成したら空港まで地下鉄でアクセスすることも可能になります。

■キングダムセンター

市内随一の大通りであるキングファハド通りに位置する高さ302mのリヤドのランドマーク。高層ビルが建ち並ぶ大通りの中でも、このユニークな外観は一際目を引きます。2002年の完成時は、国内で最も高い建物でした。ビルのオーナーは王族であり、巨大な富を築いている投資家でもあるワリード王子。99階建ての建物には、フォーシーズンズホテルも入っています。

栓抜きのような形がユニークなキングダムセンター

最上階の99階は、「スカイブリッジ」呼ばれる展望台になっており、リヤドの街が一望できます。(栓抜き型の建物の支点部分を歩くので怖さは伴いますが、重さ300トンのスチールで支えられているのでどうぞご安心ください。)

スカイブリッジから見た夜景

地上183mの77階のキングアブドゥッラーモスクは、世界最高所のモスク。一度に85名が礼拝可能な広さです。

キングダムセンターに隣接するショッピングセンターでは、女性も買い物を楽しんでいます。

■国立博物館

1902 年のアブドゥルアジーズ(後のサウジアラビア初代国王)によるリヤド奪回100 周年を記念して1999 年に開館した博物館。1902年⇒1999年ですと100年後にはなりませんが、イスラム暦で計算すると丁度100年後に当たります。2階建ての建物は、サウジアラビアの歴史や宗教を中心に8つの展示室で構成されています。異教徒の私たちは立ち入ることの出来ないイスラム教の二大聖地の精密な模型はこの博物館の見どころのひとつとなっています。

国立博物館の外観。東京のカナダ大使館の設計にも携わった日系カナダ人のレイモンド・モリヤマの設計。リヤド郊外の赤い砂漠にインスパイアされたデザインです。

メッカのカアバ神殿のキスワ(神殿を覆う黒い布)。金糸や銀糸で細かい刺繍が施されています。キスワは毎年新調され、展示されているのは過去実際に使われていた現物です。

メディナの預言者のモスクの模型

メッカの聖なるモスクの模型

■マスマク城とスーク

19世紀半ばに建てられたマスマク城は、リヤドの旧市街に位置する城塞で、アラビア語で「厚い壁」という意味があります。サウジアラビアの王家であるサウード家は、宿敵のラシード家の攻撃を受けてマスマク城を追われ、10年程クエートに亡命した後、1902年にアブドゥルアジーズがマスマク城の奪回に成功。そして、ここからアラビア半島統一に向け動き出し、1932年に「サウード家によるアラビアの王国」を意味するサウジアラビア王国が誕生します。マスマク城は、1938年まで王宮として使われていました。現在は、博物館として公開されています。

マスマク城

旧市街では、オークション形式の骨董市が開かれていました。

商業都市ジェッダ

紅海に面する港湾都市ジェッダは、首都リヤドに次ぐ大都市です。7世紀半ばには、メッカへの巡礼者用に港が整備され、長年東西交通路の重要な港湾として栄えてきました。空港には、巡礼者専用ターミナルもあります。

■歴史地区【世界遺産】

ジェッダの歴史地区は、2014年に世界遺産に登録されています。真っすぐ続く国道や整然と区画された街並みを大型バスで走行する行程の中で、ジェッダの旧市街の徒歩散策は、一番アラブらしさを感じられるひと時かもしれません。私たちが散策した時はお昼時にあたり、店主が皆一斉に礼拝のために店を閉め、20分後位に再度店開きをしていました。

特徴的な木製の装飾窓の建物が並ぶ旧市街。建材には紅海のサンゴも使われています。

アラビア半島は乳香(フランキンセンス)の産地。オマーン産が有名ですが、サウジ産もあります。

サウジ産の蜂蜜やオリーブオイル

「ミスワーク」という木の枝の歯ブラシを売る露店

■海岸沿いのフローティングモスク

1985年に現地の富豪が立てたモスクは「思いやりのモスク」とも呼ばれ、紅海に浮かぶ造りになっています。地元民が集うだけでなく、巡礼者や観光客が立ち寄る人気のスポットです。

フローティングモスク(夕暮れに訪れたらきっと綺麗な光景でしょうね)

■世界一が沢山

ジェッダには、世界一の建造物がいくつかありますので、皆さんが訪れた他の国とも見比べてみると面白いかもしれません。

キングファハドの噴水は高さ260m。紅海の海水をボーイング機のジェットエンジンを使って噴き上げています。

高さ171mのフラッグポール。国旗は、49.5mX33mの大きさで、重さは570kg。

建設中のジェッダタワー。見事完成したら1008mの世界初1000m越えの高さになる予定です。

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