コスタリカ自然観察の旅 その3
マニュエル・アントニオ国立公園とタルコレス川
- コスタリカ
2022.10.20 update
コルコバード国立公園での野生動物観察を存分に楽しみ、続いての目的地はマニュエル・アントニオ国立公園です。ドラケ湾をモーターボートで出発し、シエルペへと戻ります。シエルペ川の河口に入ってからはマングローブで珍しいセアカリスザルを見つけました。コスタリカとパナマに分布しており、コスタリカに生息する4種類の霊長類の中で最も絶滅が危惧されている種。熱帯雨林やマングローブなどの浸水林に生息しています。
コンゴウインコが樹上に止まっている姿も観察することができました。赤・青・黄を主体としたグラデーションが非常に美しいインコで、一時は森林破壊でカリブ海側では姿を消してしまいましたが、現在では生息地も個体数も増えてきています。
シエルペ着後、1時間程移動し、ウビタという町で1泊。翌日にマニュエル・アントニオ国立公園を訪れました。
マニュエル・アントニオ国立公園 Manuel Antonio National Park
海と森を一度に楽しめる場所として、欧米からの観光客に人気が高い国立公園。公園入口からビーチまでのネイチャートレイルを歩くウォーキングサファリをお楽しみいただけます。ナマケモノの観察率の高さでも知られている他、トレイル脇の木々の枝を渡り歩くノドジロオマキザルやビーチに姿を現すアライグマなどの哺乳類、爬虫類ではツナギトゲオイグアナ、ヘルメットリザード、ブラックリザードなどが観察できます。
大変人気のある公園のため、観光客の数もすごく多い所です。この日も朝からたくさんの人たちが野生動物を観察していました。入り口からビーチまではジャングルの中の1本の道が続いており、その両側で野生動物を探します。途中、ツナギトゲオイグアナ、ヘルメットリザード、ノドジロオマキザルなどが観察できました。
国立公園の奥はビーチになっており、西欧の観光客はここでのんびりと泳いだり、日光浴を楽しんでいます。ビーチに到着した時、かなり近い距離にナマケモノを発見。木の上でじっとして、顔が見えませんでしたが、一瞬雨が降った時に顔を動かし、その瞬間写真を撮ることができました。これはホフマンナマケモノというフタユビナマケモノの仲間です。ナマケモノには大きく2種類あり、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科に分類されています。フタユビナマケモノ科は前足の指が2本、後足の指が3本で、ミユビナマケモノ科は前も後ろもどちらも3本の指があるのが特徴です。
ビーチ周辺には人のモノを奪おうとするいたずら好きのアライグマの姿も。アライグマはもともとコスタリカの動物ではなく、北米大陸から持ちこまれたものです。
再び、ナマケモノに戻ってみると、突然、動き出しました!背中を掻いて、木の上へと登っていきました。一日のうち15時間~20時間眠っているナマケモノがこんなに動く所を見れたとはとても幸運でした。
ビーチからは来た道を戻っていきます。ここでまたまたかなり近い距離で動いているナマケモノを発見。今度は先ほどとは異なるノドチャミユビナマケモノです。ホフマンナマケモノと比べると目の周りがより濃い茶色をしていて、すごく垂れ目な感じに見えます。
次の目的地はカラーラ。ここではタルコレス川でのボートサファリが人気です。カラーラ国立公園は熱帯雨林と熱帯乾燥林の両方の生態系が混ざりあい、昔からの原生林が残っている場所として知られています。その近くを流れるタルコレス川ではたくさんのアメリカワニが観察できる他、水鳥や猛禽類の観察が楽しめます。この日もベニヘラサギやハゲノドトラフサギ、オオアオサギ、アメリカトキコウなどの水鳥、ミサゴやクロノスリ、キバラカラカラなどの猛禽類が比較的近い距離から観察できました。
下はこのタルコレス川で最も大きいアメリカワニ。オサマという名前までついている有名人です。
短い滞在でも熱帯雨林から雲霧林まで様々な植生を持つ場所を訪れる事ができるコスタリカ。植生が変われば生息する野鳥や動物も変化するため、毎日何か新しい発見がありました。特に930種類も生息する野鳥は色鮮やかな種も多く、普段バードウォッチングをしない方でも十分楽しんでいただけます。
是非、双眼鏡を持って、中米随一の野鳥・野生動物の楽園・コスタリカを訪れてみて下さい。