コスタリカ自然観察の旅 その1
サラピキの熱帯雨林とサンヘラルド・デ・ドタの雲霧林
- コスタリカ
2022.09.20 update
中米の国々の中でもっとも野鳥や野生動物の観察が楽しめる国といえばコスタリカ。国土の3分の1が国立公園や生物保護区に指定され、環境保護の先進国として自然を大切にしてきた国です。約930種の野鳥が生息しており、この数は世界の約10%にも相当します。小さな国土に変化に富んだ地形を持つことから、短時間の移動で様々な野鳥や野生動物が観察できます。
旅の始まりは首都サンホセ。標高約1,100mに位置するサンホセからおよそ100km、車で約2時間程の距離を移動するだけで、カリブ海側に熱帯雨林が広がるサラピキへと到着。ここでの楽しみは様々なカエルの観察です。日本では見られないカラフルなカエルたちを観察することができます。
イチゴの様な赤色からその名がついたイチゴヤドクガエル。濃紺の足がジーンズのズボンを履いている様にも見える所からブルージーンズフロッグとも言われます。
真っ赤な目と鮮やかな黄緑色のインパクトが強烈なアカメアマガエルも是非、観察したいカエルのひとつ。
アマガエルモドキはよく見ると体がガラスの様にうっすらと体内が見える所から、英語ではガラスフロッグと呼ばれています。
サラピキで是非観察したいのがシロヘラコウモリです。体毛が白く、耳と鼻が黄色をしています。夜行性ですが、昼間はヘリコニアという植物の大きな葉の下に群れで集まっている所を観察できるチャンスがあります。
サラピキでのもうひとつの楽しみは熱帯雨林を流れるサラピキ川でのボートサファリです。標高1,100mのサンホセから2時間程の移動で、熱帯雨林のジャングルクルーズが楽しめるというのも驚きです。約2時間程のボートサファリでグリーンイグアナやホエザル、クリハシオオハシ、アメリカヘビウ、ズアカエボシゲラ、ナマケモノやハナナガサシオコウモリなどが観察できました。
次の目的地は雲霧林が広がる標高約2,500mのサンヘラルド・デ・ドタ。熱帯雨林のサラピキから車で約5時間。半日の移動でがらりと植生が変わります。サンヘラルド・デ・ドタは世界で最も美しい鳥ともいわれるケツァールの観察場所として知られています。正式名称はカザリキヌバネドリ(Resplendent Quetzal)と言い、バードウォッチャーだけでなく、コスタリカを訪れた人であれば絶対に見たい鳥。手塚治虫氏の「火の鳥」のモデルとも言われています。ケツァールの観察チャンスは早朝と夕方。日中はあまり観察できません。リトルアボガドの実を主食としており、エサを食べに来る時間に観察を狙います。
ケツァールはエサを食べたあと、木の枝に止まり、消化を待つ間しばらくじっとしている時が観察のチャンスです。しかし、かならずしも見やすい場所に止まってくれる訳ではありません。オスのケツァールは長い飾り羽をもち、これを含めると全長は90 – 120㎝にもなります。この長い羽根は雄の特徴。また、頭もトサカの様にふさふさしている点もメスと異なる所です。羽根をひらひらさせながら空を飛ぶ姿は本当に美しく、「火の鳥」を彷彿とさせます。
早朝、ケツァールの観察を楽しんだ後、一度ホテルに戻って朝食。引き続き、サンヘラルド・デ・ドタでのバードウォッチングを楽しみました。この渓谷を流れるサベグレ川はコスタリカで最も綺麗と言われる川で、川沿いにたくさんの野鳥が生息しています。色鮮やかなハチドリやフウキンチョウは種類も多く、普段バードウォッチングに興味がない方も十分にお楽しみいただけます。
午後から訪れたエサ台がある場所では、ギンノドフウキンチョウやホノオフウキンチョウ、ソライロフウキンチョウもやってきました。初めて観察した鳥としてはモリシロハラクロヒタキや、色鮮やかなズアカゴシキドリ、オナガレンジャクモドキが観察できました。
ここではハナジロハナグマの姿も。白っぽい鼻先、細い尾の先にはリング状の模様があるのが特徴です。木登りが得意です。この日もパパイヤの木に登ってエサを探していました。
次は太平洋側へと移動し、コスタリカ最後の秘境と呼ばれるオサ半島のコルコバード国立公園へと向かいます。