秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

アンナプルナ周遊 裏銀座ルートを歩く アンナプルナ&ダウラギリ二大山群展望トレッキング

  • ネパール

2022.07.04 update

アンナプルナとダウラギリの8,000m峰を2座どちらも望みたい。
人が集まるところはできるだけ避けて、静かなヒマラヤを味わいたい。

 

そんな方々にご紹介したい西遊旅行が名付ける”アンナプルナ裏銀座ルート”をご紹介いたします。

 

まずはネパールに入国後、空路ポカラへ。

イエティ航空のプロペラ機にて

■トレッキング1日目

専用車でガンドルンに到着したら、トレッキング開始です。

初日は、ネパールのマッターホルンとも称されるマチャプチャレ(6,993m)の姿や、頭上をはるかに越えて育つ、力強いシャクナゲ林を楽しみます。

トレッキング開始です。

マチャプチャレ(6,993m)

春はサクラソウやジンチョウゲ、秋はリンドウを楽しめます。

樹高の高いシャクナゲ林を抜ける

そしてタダパニ(2,595m)に宿泊。ここまでは、20世紀のヒマラヤ登山ブームが始まった頃から愛される不動の人気ルートです。

 

 

■トレッキング2日目

翌日からはルートを北西に外れます。人気は一気に少なくなり、静かな山道をほとんど独り占めです。

 

だんだん近づくアンナプルナ・サウス(7,219m)にヒウンチュリ(6,441m)、やや離れてマチャプチャレを、時々林道が開けた場所から眺めつつ、ゆっくり高度を上げてドバト(3,426m)へ向かいます。

アンナプルナサウス、マチャプチャレを望ながら休憩

シャクナゲ林の道中での休憩(春)

森林限界に近づき、周囲を覆う枝葉が少なくなった頃、本日宿泊する小さなロッジに到着しました。訪問者が少ない分、こちらのコースではロッジの数が1、2件しかなく部屋数も多くありません。しかし、ここはダイニングの窓から見る風景が素晴らしいのです。

 

アンナプルナ・サウスが目の前に聳え、明日以降の進行方向を望むと、その先にダウラギリの白い山稜も目に入ります。室内で暖かい飲み物を飲みながら、たっぷり風景を味わう寛ぎの時間となります。

窓越しに望むダウラギリⅠ峰

ドバトのロッジの外より、アンナプルナサウス、ヒウンチュリ

■トレッキング3日目

早朝、林道を抜けてロッジの後ろの丘に上がります。短い距離なので身軽にいけます。

着いた場所の名は、ムルダイピーク(3,637m)。360度の展望を誇り、ダウラギリ山群を始めアンナプルナや、マチャプチャレまで一切の遮るものなく見渡せます。ダウラギリの展望地として知られるプーンヒル(3,193m)も遠く見下ろせる位置にあります。

左からアンナプルナサウス(7,219m)、ヒウンチュリ(6,441m)、マチャプチャレ(6,993m)

朝焼けを堪能したら、ロッジに戻り朝食を摂ります。おかゆやお味噌汁を食べて身体を温め、今度は西のシスティバン(2,950m)へ。東に聳えるマチャプチャレは、ポカラに戻るまで見納めとなります。

 

この日は総合的に標高を下げますが、ただ下るのではなくアップダウンが何度か続きます。その間、前半に比べて樹高が低くなったシャクナゲの木々の間を抜けることもあり、春であれば目の高さにシャクナゲの花を楽しむことができます。

谷を歩くことが多いネパールのコースでは珍しく、尾根上を通る箇所もあるので、林道に尾根道と変化に富んでトレッカーを飽きさせません。

 

■トレッキング4日目
ハイライトのコプラダンダ(3,660m)へ。ロッジの裏手に周ってしばらく歩くと、南斜面の急登に取り付きます。

 

登っていくうちにイエロ―ポピーの群生が現れます。ただし、花期は6月を過ぎた雨季のシーズンになるので、今回のようなトレッキングシーズンに見られるのは苗状態のものだけでした。

イエロ―ポピー(メコノプシス・パニクラタ Meconopsis paniculata) 3月中旬に撮影

 

苗の葉だけでも高山植物特有の産毛(トライコーム)でびっしり覆われていて立派なのですが、花が咲く頃には、一面美しい風景となるのでしょう。この辺りからは、ヤクも時々現れるので「ヤクとシャクナゲ」ならぬ「ヤクとイエロ―ポピー」という組み合わせが見られたら素敵だろうなと妄想しました。

 

登りきったら、あとはトラバース道を辿っていきます。この時のポイントは眼下に広がるシャクナゲの森。このエリアでは春に大輪のシャクナゲが数多く咲き、まるでクリスマスツリーのような状態になることが有名です。タイミングが合えば、この道からは赤いシャクナゲの花をまるで絨毯が織られたように望めることでしょう。

 

そんな想像をしつつトラバースを続けていくと、次第に進行方向にダウラギリ山群が現れます。南に延びる裾から中心にかけて、徐々に全体が見えるようになり、広い空間に出たところで、バーンっと巨大な主峰(ダウラギリⅠ峰 8,167m)がお出ましとなります!

コプラダンダより望むダウラギリ山群

また、ここでは反対の北側の景色も望むことができます。現れるのはニルギリ山群、そして間近に迫るアンナプルナⅠ峰(南西面)とアンナプルナサウスです。

左からニルギリサウス、アンナプルナⅠ、アンナプルナサウス

 

何とも素晴らしい展望地であり、可能であれば何時間もここに滞在したくなることでしょう。ずばりそれは可能です。なんとこの場所こそが今夜から2連泊するコプラダンダなのです。

 

夕焼けに染まるアンナプルナ、朝焼けに染まるダウラギリ。皆様にはたっぷりとヒマラヤの巨峰が色づいていく様を味わっていただきました。

朝焼けのダウラギリⅠ峰(8,167m)

夕焼けのアンナプルナⅠ、アンナプルナサウス

 

■トレッキング5日目
カヤール湖および、アンナプルナの聳える方向に向かって、見晴らしの良い尾根道を歩きます。ちょうど良いところで引き返します。

 

■トレッキング6日目
トレッキング最終日。始めはダウラギリを正面に拝みながら、ゆるやかに南西尾根を下り、その後勾配の大きな山道を一気に下ります。チョウタラ(石のベンチのようになった休憩箇所)が次々と出てくるので、時々休みつつパウドワールへ。

パウドワールに到着

最後は穏やかな里山風景を楽しみつつゴールです。ジープでタダパニまで移動しましたら、現地の温泉にて6日間の疲れを落としていただきました。

あらためて、ヒマラヤの良さが凝縮された良いコースだと思いました。

キーワード

【動画】カラパタールとゴーキョピークの展望比較

  • ネパール

2022.06.23 update

カラパタールより左からアマダブラム北面、カンテガ、タムセルク、クーンブ氷河を展望

「エベレスト街道 2大展望」
ネパールトレッキングで一番人気があると言っても過言ではないのがクーンブ山群のエベレスト街道ではないでしょうか。「世界最高峰をひと目見たい」という思いを胸に、トレッカーや観光客が世界中から訪れます。そしてこのエベレスト街道には、エベレストを大展望できる2大ピークのカラパタールとゴーキョピークがあり、まずはこの人気のコースのどちらかを目標にしてネパールトレッキングが始まります。
そこでこの2つの展望地、どちらがいいのか?と相談を受けることがあります。今回はその一番肝になるピークからの展望を動画で比較してみたいと思います。

 

●カラパタール(5,545m)
エベレスト街道の最奥にあるロッジ、ゴラクシェプ(5,170m)からさらに約3時間かけて登ったところにカラパタール(黒い丘)があります。トレッキングルートはよく整備されておりとても歩きやすいですが、標高は5,000mを超えているため一歩一歩はとても重く、息も切れます。高所順応の調子や体力体調が如実に影響します。頂上に近くなればなるほど次々と現れる巨峰群を間近に仰ぎ見ることができます。カラパタールに到着すると、正面(北)には地上最美の山といわれるプモ・リが見え、東には直線距離約10kmの間近に世界最高峰エベレストを見ることができます。直線距離10kmは圧倒的な存在感をもって迫ってくるエベレストを楽しむことができます。文字通りエベレストがまさに目の前です。

 

●ゴーキョピーク(5,360m)
ゴーキョピークは、湖畔にあるゴーキョのロッジ(4,750m)から数時間登ったところにあります。ロッジより歩き始め、次第に斜度がきつくなっていく山道を登って行きます。徐々に標高を上げていくと、視界が広くなり、手前の尾根から白い山々が顔を出しはじめます。こちらのルートも特に難しい箇所はありませんがやはり標高との戦いになってきます。そしてついにタルチョはためくピークに到着すると、ゴーキョ・ピークの北には、世界第6位峰チョー・オユーや北東に聳える世界最高峰のエベレスト、その東隣には世界第4位の峰ローツェ(8,516m) が聳えています。より東に目を移すと左右均衡の取れたピラミダルな山容の世界第5位の秀峰マカルー(8,462m)の展望が広がります。文字通りヒマラヤ山脈の大パノラマが広がっています。

 

エベレスト街道2大ピークの展望をはいかがでしたでしょうか。ざっくり一言でいってしまうと、カラパタールとゴーキョピークの違いは、「目の前」で見るか、「パノラマ」で見るか、と言えます。「どちらか一方がいい」という話ではなく、エベレストを間近で見るなら断然カラパタールですし、エベレストを中心にヒマラヤ山脈をパノラマで楽しみたいというのであればゴーキョピークとなります。ただ一言追加すると、間近で見ると次はパノラマで、パノラマで見ると次は間近で・・・・。というように絶対にどちらも見たくなります。ネパールトレッキングのリピート率が高いのもお分かりいただけましたでしょうか。一度では味わいきれません。ぜひ、間近のエベレストもパノラマのエベレストもお楽しみください!!

ゴーキョ・ピークから氷河湖と村を見下ろす

キーワード

サウジアラビア<後編>
ジュッバの岩絵とマダイン・サーレ

  • サウジアラビア

2022.06.17 update

後編では、ツアーで訪れるあと2つの世界遺産ジュッバの岩絵マダイン・サーレをご紹介いたします。そして、最後にサウジアラビアの食についても少しまとめていますのでご覧ください。

ジュッバの岩絵【世界遺産】

 

ジュッバの岩絵観光の拠点となるのは、首都リヤドから約700km北西に位置する地方都市ハイル。サウジアラビア北部に広がるナフード砂漠を横目に、ハイルから約1時間半国道を北上するとジュッバの岩絵にたどりつきます。2015年に「ハイル地方の岩絵」として世界遺産に登録されました。ハイル地方の岩絵は、2つの地域から構成されており、ジュッバの他、ハイルの南方約250kmに位置するシュウェイミス近郊にも岩絵が残っています。

ジュッバの岩絵地域は、ジャバル・ウンム・シンマンと呼ばれ、ジャバルは「山」、ウンムは「母」、シンマンは「(ラクダの)こぶ」という意味があります。確かにラクダのこぶのような岩山が林立していました。岩山の麓には、かつては人々の水源となっていた湖があったと推測されていて、現在の砂漠地域では見られない動物も生息していたと考えられています。1万2000年前~3000年前に描かれたラクダ、レイヨウ類、その他の動物、人、文字など数千もの岩絵が残っているといわれています。

見上げて岩絵を撮影(もっと近くで見れる岩絵も多いです。)

ガイドさん曰く、これはライオンだそうです。(当時はこの辺りでも生息していたのでしょう。)

ラクダは一番多く描かれている動物

縦書きが特徴の古代タムード文字

写真のように足場が整えられています。

 

マダイン・サーレ【世界遺産】

サウジアラビアの観光の目玉となるのが、ハイルから約430km西に位置するアル・ウラ周辺の観光です。

 

その中でもマダイン・サーレは、遊牧民のナバティア人によって建設され、ヨルダンのペトラ以南では、現存するナバティア文明最大の遺跡。紀元前2 世紀から紀元後2 世紀にかけて繁栄し、かつてこの地にいた預言者サーレにちなみ「サーレの町(マダイン・サーレ)」と呼ばれています。古代ローマに征服され、交易の要地としての役割を失い、廃墟になったと考えられています。岩盤を掘りこんで作られ、アッシリアやギリシャの影響を受けた装飾が施された霊廟群の他、ナバティア文明以前の碑文や洞窟絵画などが残っています。2008 年に「アル・ヒジュルの古代遺跡(マダイン・サーレ)」の名称で世界文化遺産に登録されました。

現在の調査では、大きな墳墓が4 つあり、装飾が施された132 もの墓石群(ガイドの説明によると紀元前168 年~紀元後106 年にかけて建造)のほか、神殿、用水路や貯水槽などの遺跡が良好な状態で保存されています。いずれもナバティア人の建築技術と水利技術の高さを顕著に示すものです。さらに一帯では、ナバティア文明以前の碑文や岩絵も多数発見されています。遺跡内はとても広大な為、ヨルダンのペトラ遺跡のように徒歩で見学するのではなく、専用バスで巡ります。入場券は、首から下げるQRコード付きのカードタイプでした。下記は、専用バスで巡ったマダイン・サーレ内の4か所です。

 

■Jabal Ithilib(イスリブ山 / Diwan & Siq)

ヨルダンのペトラ遺跡のスークを彷彿とさせる空間。岩山には、大きな空間(「ディワン」という集会室も彫られています。

ナバティア人の主神ドゥシャラー(鷲)や男女のマナト神(左右の壺)を祀る祠が岩面に彫られています。

■Qsar al Bint(乙女の墓)

マダイン・サーレ遺跡の目玉の一つで、「乙女の山」とも呼ばれています。1 つの大きな岩山に38 もの墓が掘られていて、そのうちの36 の墓が女性の墓のため、乙女の墓と名がついています。

 

■Jabal al Ahmar

今年安倍首相がサウジアラビアを訪問された際に、このピーナッツ型のような墳墓の前で写真を撮られていました。裏側も含め、約20の墓がこの岩には彫られています。

上の綺麗なピーナッツ型の裏側には、墳墓が多数並んでいますが、その中でも墳墓117は、2011年まで未盗掘だった唯一の墓だそうです。フランスの調査隊により、埋葬されていた30歳位の女性の遺体や副葬品が発見され、当時の埋葬方法が明らかになりました。

 

 

■Qsar al Farid(1 つの大きな墓)

 

通称「唯一の(ユニークな)お墓」と呼ばれていて、大きな岩山に一つだけの未完の巨大なお墓が穿たれています。マダイン・サーレを代表する墳墓の一つです。ナバティア王国の有名な将軍の墓と考えられており、将軍は2 世紀初頭の古代ローマ帝国との戦いで戦死した故に未完です(マダイン・サーレに残る墓の中では年代が新しい墓です)。しかし未完に終わったお蔭で、ナバティア人がどのようにしてこれらのお墓を彫っていったのか研究者たちによって解明されました。まずは岩にひびを入れ、そこに木の棒を差し込み、お湯をかけて木を膨張させ岩山を大まかに割り、後は大小のノミで地道に彫っていき、最後は硬い火山岩で軟らかい砂岩の岩山を磨き上げたと考えられています。

 

ヒジャーズ鉄道

そして、この辺りに一部残る建造物と言ったら、なんといってもアラビアのロレンスで有名なヒジャーズ鉄道です。ツアーでは、数か所でヒジャーズ鉄道跡をご覧いただけます。

マダイン・サーレの駅舎跡。ここはまるで映画撮影のセットのようにきれいに修復されています。

 

ヒジャーズ鉄道は、オスマン帝国によって20世紀初頭に建設された、シリアのダマスカスからシリア、ヨルダン、およびアラビア半島西部のヒジャーズ地方を縦断した総長1308kmの鉄道。終点は現在のサウジアラビアのメディナです。敷設目的は、、イスラム教徒の聖地であるメッカやメディナへ向かうハッジ(大巡礼)の巡礼者たちの交通のためであるとされましたが、真の目的は、オスマン帝国の宗教に対する支配やヒジャーズ地方に対する軍事支配を強め、またダマスカスとヒジャーズ地方との交易を強化するためであったとも考えられています。第一次世界大戦時にイギリスの支援を受けたアラブ勢力に破壊され、路線のほとんどは以後再建されることはありませんでした。

アル・ウラ駅は、修復されずに廃墟のように

アル・ブエイル駅は修復済

 

 

サウジアラビアの食

サウジアラビアの食事は、近郊諸国でも食されているアラブ料理が基本となります。ここで少しサウジアラビアの食文化をご紹介いたします。

■サウジアラビアのコーヒー

コーヒーは、サウジアラビアのおもてなしには欠かせません。カルダモンが加えられていて、少しスパイシーな味わいで、甘いデーツとの相性は抜群です。ちなみにカップ5,6分目まで注ぐと歓迎の印で、カップ満杯に注ぐと客人に対して「もうお帰りいただきたい」ということを示唆しているそうです。

色は薄めです

 

■サウジアラビア産のデーツ(ナツメヤシ)

デーツにも様々な種類がありますが、ドバイの空港でも見かける高級デーツの店「バティール(Bateel)」でも、価格が飛びぬけて高いのはメディナ産の「アジュワ(Ajwah)」という種類。メディナで古来より育っていたアジュワ種を、預言者ムハンマドは聖遷の際に好んで食べたそうです。そして、現在はサウジアラビア王家ご用達。そう聞くと何だか価値のあるデーツに感じて食べたくなりませんか。お土産にも最適です。甘さは控えめながらしっかりと深みのある味わいです。

他にも砂糖がコーティングされたような甘味の「スッカリー(Sukkari)」種など、デーツの種類も沢山ありますので、食べ比べて好みを探すのも楽しいかもしれません。

アジュワ種:量り売りで1kg=1600円くらいでした。空港などにはおしゃれなパッケージのデーツも売られています。

デーツのペーストが中に入っているクッキーもお土産に丁度良いかもしれません。

マダイン・サーレで頂いたデーツ

バター付きで出てきたことも

 

キーワード

サウジアラビア<前編>
二大都市リヤドとジェッダ

  • サウジアラビア

2022.06.01 update

イスラム教の国へ添乗すると、空港の到着ターミナルで、巡礼着を身にまとった人々や巡礼土産のザムザムの水を荷物カート一杯に積んだ人々に出会うことが多々あります。聖地メッカへの巡礼から帰国した方々なのだと一目で分かりますが、非イスラム教徒である私たちにとって、サウジアラビアは観光しづらい未知なる国のひとつでした。しかし、2019年秋より観光査証の発給が解禁され、弊社でもサウジアラビアにツアーを送っています。今回は、サウジアラビアの魅力を2回にわたってご紹介させていただきます。

前編は二大都市である首都リヤドと紅海に面した商業都市で聖地メッカへの玄関口でもあるジェッダについてです。

リヤドの中心キングファハド通り

サウジアラビアの観光

2019年9月末、サウジアラビアは日本を含む約50ヶ国に対して、観光査証を解禁。これにより自由に訪問できるようになりました。(近年は、スポーツや文化交流イベント[サッカー観戦ツアーが良い例]に参加することが、ビジネス以外でサウジアラビアを訪問する方法といっても過言ではありませんでしたが、観光査証の発給解禁により、状況が一変しました。)

外国人に門戸を開いたばかりということは、受け入れ態勢が整っていないのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、毎年何百万人もの巡礼者が訪れ、世界有数の産油国でもあり、観光インフラは整っています。また、以前は、外国人女性は、体全体を覆うアバヤや髪の毛を隠すヒジャブの着用が義務付けられていましたが、現在は不要です。ただ、現地の慣習に配慮して過度な露出は控えましょう。

変わりゆくサウジアラビア

石油資源だけに依存しない経済・社会を構築するために、サウジアラビアは変わり始めています。その一環が観光産業の確立です。女性の社会的地位の向上も変化の一つです。2018年6月の女性の運転解禁では女性の自動車の運転も解禁されました。以前ツアーに同行してもらった女性のガイドさんが「解禁直後に免許を取得した。運転大好き!」と言っていたのが非常に印象的でした。

近代的な巨大都市:首都リヤド

リヤドは、アラビア半島のほぼ真ん中に位置する内陸都市で、アラビア語で「庭園」を意味します。地下鉄も現在建設中で、完成したら空港まで地下鉄でアクセスすることも可能になります。

■キングダムセンター

市内随一の大通りであるキングファハド通りに位置する高さ302mのリヤドのランドマーク。高層ビルが建ち並ぶ大通りの中でも、このユニークな外観は一際目を引きます。2002年の完成時は、国内で最も高い建物でした。ビルのオーナーは王族であり、巨大な富を築いている投資家でもあるワリード王子。99階建ての建物には、フォーシーズンズホテルも入っています。

栓抜きのような形がユニークなキングダムセンター

最上階の99階は、「スカイブリッジ」呼ばれる展望台になっており、リヤドの街が一望できます。(栓抜き型の建物の支点部分を歩くので怖さは伴いますが、重さ300トンのスチールで支えられているのでどうぞご安心ください。)

スカイブリッジから見た夜景

地上183mの77階のキングアブドゥッラーモスクは、世界最高所のモスク。一度に85名が礼拝可能な広さです。

キングダムセンターに隣接するショッピングセンターでは、女性も買い物を楽しんでいます。

■国立博物館

1902 年のアブドゥルアジーズ(後のサウジアラビア初代国王)によるリヤド奪回100 周年を記念して1999 年に開館した博物館。1902年⇒1999年ですと100年後にはなりませんが、イスラム暦で計算すると丁度100年後に当たります。2階建ての建物は、サウジアラビアの歴史や宗教を中心に8つの展示室で構成されています。異教徒の私たちは立ち入ることの出来ないイスラム教の二大聖地の精密な模型はこの博物館の見どころのひとつとなっています。

国立博物館の外観。東京のカナダ大使館の設計にも携わった日系カナダ人のレイモンド・モリヤマの設計。リヤド郊外の赤い砂漠にインスパイアされたデザインです。

メッカのカアバ神殿のキスワ(神殿を覆う黒い布)。金糸や銀糸で細かい刺繍が施されています。キスワは毎年新調され、展示されているのは過去実際に使われていた現物です。

メディナの預言者のモスクの模型

メッカの聖なるモスクの模型

■マスマク城とスーク

19世紀半ばに建てられたマスマク城は、リヤドの旧市街に位置する城塞で、アラビア語で「厚い壁」という意味があります。サウジアラビアの王家であるサウード家は、宿敵のラシード家の攻撃を受けてマスマク城を追われ、10年程クエートに亡命した後、1902年にアブドゥルアジーズがマスマク城の奪回に成功。そして、ここからアラビア半島統一に向け動き出し、1932年に「サウード家によるアラビアの王国」を意味するサウジアラビア王国が誕生します。マスマク城は、1938年まで王宮として使われていました。現在は、博物館として公開されています。

マスマク城

旧市街では、オークション形式の骨董市が開かれていました。

商業都市ジェッダ

紅海に面する港湾都市ジェッダは、首都リヤドに次ぐ大都市です。7世紀半ばには、メッカへの巡礼者用に港が整備され、長年東西交通路の重要な港湾として栄えてきました。空港には、巡礼者専用ターミナルもあります。

■歴史地区【世界遺産】

ジェッダの歴史地区は、2014年に世界遺産に登録されています。真っすぐ続く国道や整然と区画された街並みを大型バスで走行する行程の中で、ジェッダの旧市街の徒歩散策は、一番アラブらしさを感じられるひと時かもしれません。私たちが散策した時はお昼時にあたり、店主が皆一斉に礼拝のために店を閉め、20分後位に再度店開きをしていました。

特徴的な木製の装飾窓の建物が並ぶ旧市街。建材には紅海のサンゴも使われています。

アラビア半島は乳香(フランキンセンス)の産地。オマーン産が有名ですが、サウジ産もあります。

サウジ産の蜂蜜やオリーブオイル

「ミスワーク」という木の枝の歯ブラシを売る露店

■海岸沿いのフローティングモスク

1985年に現地の富豪が立てたモスクは「思いやりのモスク」とも呼ばれ、紅海に浮かぶ造りになっています。地元民が集うだけでなく、巡礼者や観光客が立ち寄る人気のスポットです。

フローティングモスク(夕暮れに訪れたらきっと綺麗な光景でしょうね)

■世界一が沢山

ジェッダには、世界一の建造物がいくつかありますので、皆さんが訪れた他の国とも見比べてみると面白いかもしれません。

キングファハドの噴水は高さ260m。紅海の海水をボーイング機のジェットエンジンを使って噴き上げています。

高さ171mのフラッグポール。国旗は、49.5mX33mの大きさで、重さは570kg。

建設中のジェッダタワー。見事完成したら1008mの世界初1000m越えの高さになる予定です。

キーワード

「エベレスト街道パノラマビュートレッキング 名峰ひしめく好展望地を訪ねて」は本当にパノラマビューなのか【その2】

  • ネパール

2022.05.20 update

日本では雪山の展望というと冬という感覚がある方が多いでしょう。ネパールにも四季はありますが、ヒマラヤ山脈の高峰は常に雪を抱いています。雪山が独特の形や圧倒的な迫力で次々に姿を現し、角度が変わるごとに表情を変え、ビューポイントとなる尾根上ではパノラマ風景を楽しんでいただけるのです。

 

自身が初めてエベレスト街道を歩いた時の感動を回想しながら、2019年ゴールデンウィークの写真を添え、パノラマビューの主人公達をご紹介します。※少々主観(下記「」部)が入っていますがご了承ください。

 

△タムセルク(6,623m)
トレッキング2日目(パグディン→ナムチェバザール)行程の序盤から展望が始まり、その後、主なポイントでは継続して見ることができます。カンテガ(6,779m)とセットで見られることが多いです。主観ですが「中世の盾みたいで格好良い!」と強烈に感じた記憶が残っています。

タムセルク(右:6,623m)とカンテガ(左:6,779m)

△コンデリ(6,187m)
トレッキング2日目ナムチェバザールに到着後、背後を振り返ると大きく立ちはだかっています。以降、南方面のパノラマビューを構成しつづけます。「ナムチェバザールを守る堅固な城壁だ…」と圧倒されました。3日目(ナムチェバザール→シャンボチェ)の急登のなか、コンデリの右(西)側には、隣のロールワリン山群にあたるパルチャモ(6,187m)やテンギ・ラギ・タウ(6,943m)が連なりを見せます。クンデピーク(4,239m)からの迫力の展望は、目を見張るものがあります。

すり鉢状の村ナムチェ・バザール(3,450m)に到着

コンデリ(6,187m)とナムチェバザールの村(3,450m)

△アマダブラム(6,812m)
実は、このルートではエベレストを凌ぐ勢いの人気を誇る山です。トレッキング3日目のシャンボチェの丘(3,800m)到着後に突如として現れます。形が個性的で目を奪われ、パノラマビューの準主役(時に主役!)を担っています。「掴みたくなる取っ手の様な、座りたくなる椅子の様な、触れたい!」とどこか温かさ、優しさ、親しみを感じたのを覚えています。

アマダブラム(6,812m)

△エベレスト(8,848m)
最初のビューポイントは、トレッキング2日目のナムチェバザールに至る急坂途中の休憩地トップダンダ(3,140m)です。しかし核心部は、シャンボチェの丘(3,800m)とタンボチェ(3,867m)です。「ただただ無心で見とれてしまった…」という不思議な感覚でした。
ヌプツェ(7,855m)に多少視界は遮られていますが、やはり最高峰、神々しいものを感じさせられます。

エベレスト(8,848m)

△ローツェ(8,516m)
世界第3位の高峰。同様にシャンボチェの丘(3,800m)到着後に巨大な南壁とともに姿を現します。ローとは南という意味があり、エベレストの南峰という意味です。「あんな大きな壁を登るクライマーもいるんだなぁ」と畏怖の念を感じました。実際、ローツェ南壁は今でもなお難解な課題として世界中のトップクライマーを魅了しつづけています。

ローツェ(8,516m)

これらの他にも名だたる山々が聳え、パノラマビューを形成しているのです。山岳展望は毎日移り変わり、休憩や食事の間はゆったりと山と共存したひと時をお過ごしいただけます。お勧めする四天王パノラマビューポイントは下記のとおりです。

  

【1】 シャンボチェの丘(3,800m)とその先のトラバースルート

シャンボチェの丘(3,800m)よりパノラマビュー南側(エベレストシェルパリゾートの宿とコンデリ6,187m)

シャンボチェの丘(3,800m)よりパノラマビュー北東側(左にはエベレスト山群、真ん中に逆光でタムセルク6,623mとクスム・カングル6.367m連峰)

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。前にはエベレスト(8,848m)、ローツェ(8,516m)の南壁、アマダブラム(6,812m)がそびえる。

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。背後(南)にはコンデリ(6,187m)が立ちはだかっている。

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。前にはアマダブラム(6,812m)がそびえる。

エベレストビューホテルのテラスよりのんびりと望むエベレスト山群(エベレスト8,848m、ローツエ8,516m、アマダブラム6,812m)

【2】 クンデピーク(4,239m) ※曇天でしたが幻想的でした。

クンデピーク手前の尾根の登り

雲間に見えたコンデリ山塊の氷河

クンデピーク(4,239m)に登頂

クンデピーク(4,239m)からクンデ村(3,840m)とクムジュン村(3,790m)を見下ろす

【3】 タンボチェ・リ(4,198m)

タンボチェ村(3,867m)より望むエベレスト山群(エベレスト8,8848m、ローツェ8,516m、アマダブラム6,812m)

タンボチェ・リ(4,198m)登頂間近

タンボチェ・リ(4,198m)より望むエベレスト山群(エベレスト8,848m、ローツエ8,516m、アマダブラム6,812m)

タンボチェ・リ(4,198m)よりパノラマビュー南西側(左にコンデリ6,187m山塊)

タンボチェ・リ(4,198m)よりパノラマビュー南側(左端にカンテガ6,779mとタムセルク6,623mおよびコンデリ6,187m山塊)

【4】 キャンジュマからナムチェバザールのトラバースルート

復路も飽きさせないエベレスト街道。コンデリ(6,187m)山塊が見えてくる。

振り返ると逆光のアマダブラム(右:6,812m)とローツェ(左:8,516m)

行程の随所にパノラマビューが散りばめられているので、飽きさせません。心のシャッターを何度もきってしまうでしょう。

 

決してハードルを高く考え過ぎることなく、ワクワクやドキドキを携えてご参加いただきたいこのコース。
初めての世界の屋根ヒマラヤの展望コースには、自信をもってお勧めします。

エベレスト街道のゴールデンウィークはネパールの国花シャクナゲが満開

キーワード
PAGE TOP