秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

ミルフォード・トラックとルートバーン・トラック

  • ニュージーランド

2015.12.01 update

フィヨルドランド国立公園はニュージーランドで最も大きな国立公園で、その面積は125万ヘクタールに及びます。世界自然遺産に登録もされており、中でも『世界で一番美しい散歩道』と称されるミルフォード・トラックは、太古の原生林やサザンアルプスなど大自然を体感できる、ニュージーランドで最も人気のトレッキングルートです。

2014年12月、このミルフォード・トラックを完全踏破するツアーに添乗員として同行させていただきました。

マッキノン・パス(1,073m)よりサザンアルプスのU字谷を望むマッキノン・パス(1,073m)よりサザンアルプスのU字谷を望む

クイーンズタウン

日本から空路クライストチャーチを経由し、『ビクトリア女王にふさわしい』と称賛されたことが街の名前に由来する、山々に囲まれた美しい町クイーンズタウンへとやってきました。 まずは、四季折々の美しい景観が楽しめる展望台へと向かいます。ゴンドラで展望台まで昇ると、サザンアルプス山脈を一望できます。 この『サザンアルプス』は、ワカティプ湖に面する街やヨーロッパのアルプス山脈にその姿が似てることから名付けられました。
夕方、翌日から始まるミルフォード・トラックの事前説明会の会場「The Station」へ。日本語でしっかりとレクチャーを受けます。この会場では、雨具やザックなどを無料で借りることもできます。また、トレッキング最終日に宿泊するマイタ―ピークロッジへ着替えなどの荷物の搬送を頼むことができますので、必要最低限の荷物で4日間歩いていただけます。

  • ワカティプ湖とクイーンズタウンの街並み
  • ワカティプ湖畔から望むセシルピーク(1,974m)ワカティプ湖畔から望むセシルピーク(1,974m)
  • 日本語による事前説明会日本語による事前説明会

ミルフォード・トラック1日目
グレイドワーフ~グレイドハウス 1,6km

昨日、説明会が行われた「The Station」へ向かい、各国から集まる参加者と顔を合わせます。今回はオーストラリア、ニュージーランドなどから集まった47名のツアーになりました。
クイーンズタウンからバスでテ・アナウダウンズに向かいます。そこから船に乗船しニュージーランドで2番目に大きなテ・アナウ湖の北端でミルフォード・トラックのスタート地点となるグレードワーフへ。初日は20分ほどのトレッキングでグレードハウスに到着。着後、周辺のネイチャーウォークを楽しみました。夕食後には、毎日スライドショーで明日のルート説明と諸注意の案内があります。また、初日のグレイドハウスでは参加者全員の自己紹介を行います。

  • テアナウの船乗り場 テアナウの船乗り場
  • グレイドハウス グレイドハウス
  • いよいよミルフォード・トラックへいよいよミルフォード・トラックへ
  • ネイチャーウォークネイチャーウォーク
  • 恒例の自己紹介恒例の自己紹介

ミルフォード・トラック2日目
グレイドハウス~ポンポローナロッジ 16km

起床後、まずは昼食用のサンドイッチを作ります。用意された具材からお好みのものを選んで、パンに挟んでいきます。これから毎朝ご自身でお作りいただきます。ロッジには行動食用にチョコレートや果物も準備されており、好きなだけお持ちいただけます。
ミルフォード・トラックは全長53,6km(33.5マイル)のトレッキングルートを3泊4日で踏破します。トレッキングが本格的に始まるこの日は、クリントン川沿いのブナの茂る原生林を歩きます。道中、樹齢800年と言われる赤ブナの巨木やウェットランドと呼ばれる湿地帯を見学し、ヒレレ滝近くの簡易小屋へ。ここでは、ガイドが先回りしてコーヒー、紅茶、スープなどの温かい飲み物を準備してくれおり、朝作ったサンドイッチと一緒にいただきます。
昼食後、森林をぬけると正面にマッキノンパス(峠)を見ることができるはずですが本日は雨の為、展望できません。マッキノン峠は見えませんでしたが、雨の為、ヒレレの滝をはじめ無数の滝を見ることができました。

  • 昼食用のサンドイッチ作り昼食用のサンドイッチ作り
  • ウエットランドで植物の観察ウエットランドで植物の観察
  • 昼食時には温かい飲み物を昼食時には温かい飲み物を
  • U谷の奥に望むマッキノンパスU谷の奥に望むマッキノンパス
  • ヒレレの滝ヒレレの滝
  • ポンポローナロッジに到着ポンポローナロッジに到着

ポンポローナロッジに到着するとシャワーを浴び、洗濯をします。 ミルフォード・トラックのロッジは温水シャワー、水洗トイレが完備されており、寝具も備え付けられています。また、洗濯場と乾燥室もありますので、1泊分の着替えでトレッキングが可能です。

  • シャワー室    シャワー室
  • 洗濯場洗濯場
  • 清潔な客室(一例)清潔な客室(一例)
  • ミルフォード・トラック3日目
    ポンポローナロッジ~クインティンロッジ 15km

朝、暗闇の中で鳴き声を上げていたのはケア(Kea)という、オウム科の鳥です。とても頭がよくサンダルや靴をかじったり、ザックの中からお弁当を盗んだりもするいたずら好きです。

この日はルート上最大の難所、標高1,170mのマッキノンパスを越えて進みます。峠の途中から登ってきた道を振りかえると、谷底深くに川が見え、あそこから歩いてきたのかと、少し驚きます。道中にはマウントクックリリー(キンポウゲ科で最も大きな花※リリーという名前ですが、ユリ科ではありません)が満開に咲き誇ります。

  • ケア(Kea)!ケア(Kea)!
  • 谷底から11のジグザグを登る谷底から11のジグザグを登る
  • マウントクックリリーマウントクックリリー
  • マッキノンパス マッキノンパス
  • マッキノンパスからの眺めマッキノンパスからの眺め

11のジグザグを登りきるとミルフォード・トラックの最高地点、そしてハイライトでもあるマッキノンパスに到着です。
ここからはU字谷が素晴らしいクリントン渓谷とアーサー渓谷の素晴らしい景色が広がります。また、本日宿泊するクインティンロッジも遠望で確認できます。そう、本日は700m登って900m下る最もハードな日なのです。
パスハットで昼食後、クインティンロッジを目指します。今回は、通常ルートが土砂崩れの恐れがあるとのことで、『emergency track』という、もう一つのトラックを下山します。急な下りになりますが、ショートカットでき、マルガリータの滝の手前でメイントラックに合流できました。

 

  • パスハットから望むクリントン渓谷パスハットから望むクリントン渓谷
  • パスハットで昼食パスハットで昼食
  • マルゲリータの滝マルゲリータの滝

クインティンロッジに到着後、サザーランド・フォールズ(滝)まで向かいます。 ニュージーランド最大の落差(580m)を誇るサザーランド・フォールズは、最初に発見したドナルド・サザーランドの名に由来します。サザーランドが滝の景観を楽しめるようにこの場所の整備を行ったことにより、多くの人々が滝を見に訪れるようになりました。その後ミルフォード・トラックは世界8番目の神秘と呼ばれるようになったといいます。

  • ササ―ランドの滝 ササ―ランドの滝
  • ニュージーランド最大の落差を誇るササ―ランドの滝ニュージーランド最大の落差を誇るササ―ランドの滝
  • クィンティンロッジクィンティンロッジ
  • ミルフォード・トラック4日目
    クインティンロッジ~マイターピークロッジ 21km

トレッキング最終日。行程としては一番長い距離を歩ききる一日で、ハーフマラソンと同じ距離を歩きます。
アーサー川やアイダ湖に沿って森の道を歩いて行くと、途中、ニュージーランド観光局の案内にも頻繁に使われるマッケイ滝、空洞になっているベルロックという岩などのポイントもありました。 ジャイアント・ゲートの滝を通過すると、ミルフォード・トラックで最後に作られた部分を歩きます。岩を削った崖道に「1898年5月」と彫られていました。
サンドフライ・ポイントへ到着!53.4kmを完歩!夕食後、完歩証授与式が行われ、拍手の中一人ずつ完歩証が手渡されました。

  • アーサー川を渡り、マッカイの滝へアーサー川を渡り、マッカイの滝へ
  • マッカイの滝マッカイの滝
  • ジャイアント・ゲート・フォールズジャイアント・ゲート・フォールズ
  • ミルフォード・トラック終点のサンドフライ・ポイント ミルフォード・トラック終点のサンドフライ・ポイント
  • 船でミルフォード・サウンドへ船でミルフォード・サウンドへ
  • 完歩証授与式完歩証授与式
  • ルートバーン・トラック
    キーサミット1日ハイキング

翌日は、ミルフォード・トラックと並ぶ人気のトレイル、フィヨルドランド国立公園とアスパイアリング国立公園を通過する「ルートバーン・トラック」のハイライト「キーサミット」を日帰りで楽しみます。
ミルフォード・サウンドからテ・アナウに向かう際に通過したディバイド峠に向かいます。途中、エグリントン渓谷で、ミラーレイクに映るエグリントン山を望めました。 ディバイド峠から整備された登山道をゆっくりと登ります。この辺りは1,000m辺りが森林限界。キーサミット(919m)まで登ると、山頂からは360度のパノラマが広がります。クリスティーナ(2,474m)、マリアン湖をはじめとする素晴らしい景色が広がっており、2,000m級の山々が360度展望できます。また、エグリントン渓谷、ホリフォード渓谷、グリーンストーン渓谷が合流する場所です。

『Summit』は本来、最高点、頂上などを意味しますが、『先進国首脳』の地位を『山頂』に擬えたものを『先進国首脳会議』として用いています。キ―サミットでも、最高な景色が集まるという事で、その名がつけられたと言われています。

  • ミラーレイクに映るエグリントン(1.851m)ミラーレイクに映るエグリントン(1.851m)
  • キーサミットまであと少しキーサミットまであと少し
  • 山頂周辺山頂周辺
  • ホリフォード渓谷ホリフォード渓谷
  • グリーンストーン渓谷グリーンストーン渓谷
  • エグリントン渓谷エグリントン渓谷
クリスティーナ(2,474m)とリトル(1,896m)クリスティーナ(2,474m)とリトル(1,896m)

雄大なニュージーランドのトレイルを歩けば、氷河の削りだした美しい渓谷、絨毯のような美しいコケやシダに覆われた原生林、青い川のせせらぎなどの大自然を満喫できます。ミルフォードのロッジにはシャワールーム、洗濯場と乾燥室があり、1日分の着替え、雨具、水筒など最低限の荷物でご参加できます。
ミルフォード・トラックを完全踏破しキーサミットへ。ニュージーランドの二大トレイルを一緒に歩きませんか?

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聖地サンティアゴ巡礼

  • スペイン

2015.05.01 update

キリスト教三大聖地の1つ、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ続く道。
最も人気のある「フランス人の道」ラスト100㎞を、世界中から集まるペリグリーノ(巡礼者)とふれあいながら歩く。

ゴーキョピークから望む、エベレスト、ローツェ、マカルー歓喜の丘より聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを望む

ローマ、エルサレムと並びキリスト教三大巡礼地のひとつとされる、スペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
9世紀のはじめ、12使徒の1人である聖ヤコブの遺骨が発見されたとして、この町に大聖堂が建立されました。
この聖地を目指す巡礼の道は1000年以上の歴史を持ち、今も年間に約10万人が訪れます。

サンティアゴ巡礼map

このコースでは、「フランス人の道」と呼ばれる巡礼者に最も人気のルートのラスト100kmを5日かけて歩きます。

いにしえの歴史を持つ、サンティアゴ巡礼の道のりを写真とともにご紹介します!

巡礼1日目 サリア⇒ポルトマリン

いよいよ、巡礼のはじまりです。サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂まで楽しんで歩きましょう!
昼食は、バールの外のベンチにて。ホテルで作ってもらったサンドイッチを食べました。
昼食後のルートは、平らなところや緩やかな登りもありますが、下り中心です。
ダム湖であるベレサール湖にかかる橋を渡って、急な階段を登るとそこはポルトマリンの町です。

  • 巡礼ルートは穏やかな道が多い
  • バールのベンチにて昼食
  • ベレサール湖にかかる橋を渡るとポルトマリン
  • ポルトマリンのペンション

 

サンティアゴ巡礼のキーワード

【巡礼手帳(クレデンシアル)】
巡礼手帳は、日本のお寺や神社で押してもらう御朱印帖に似ています。
道中の宿、バール、教会で手帳にスタンプがもらえます。スタンプは各地で変わっており、巡礼者同士で手帳を見せあうのも楽しみの1つ。サンティアゴへの残り100㎞の道中、1日2ヶ所以上スタンプをもらうと巡礼証明書を手にすることができます。
【バール】
日本のレストランと喫茶店と居酒屋をミックスした様なもので、スペイン文化を語るには欠かせないものです。

【巡礼の道しるべ モホン】
モホンとは、ガリシア州付近からある貝の入った道標のこと。
約500mおきに置かれていて、段々距離が減っていくと嬉しい気持ちになります。


バールで巡礼手帳にスタンプをもらう

道中のバール

巡礼の道しるべ モホン

巡礼2日目 ポルトマリン⇒パラス・デ・レイ

アスファルトと並行する狭いダートの巡礼路を歩く割合が多い一日です。アスファルト道は、車に十分注意が必要です。
昼食後、ラメイロスの十字架を経て、リゴンデ峠まで緩やかに登ります。峠といってもどこが最高地点か分からないくらい緩やかな傾斜。その後、起伏の少ないルートを歩きパラス・デ・レイへ。

  • ペンションでの朝食
  • 道中のヤコブ像
  • 緩やかな傾斜
  • ラメイロスの十字架

 


スペイン版高床式倉庫 オーレオ

【スペイン版高床式倉庫 オーレオ】
日本の校倉造と同じ構造で、ネズミの侵入を防ぐとともに湿気から作物を守ってくれます。ガリシア地方では、冬の間オーレオに作物を保存してきました。巡礼路の道中に訪れるアルスーアでは、オーレオの中で美味しいチーズが熟成されます。

  • ロマネスクの教会(パラス・デ・レイ付近)
  • 教会でもスタンプがもらえる
  • 新鮮なトマトが美味しいミックスサラダ(パラス・デ・レイ)
  • 魚介たっぷりのパエリア(パラス・デ・レイ)

 

巡礼3日目 パラス・デ・レイ⇒メリデ⇒アルスーア

今回の巡礼路歩き中、最も距離が長い一日。しかしながら、全体的アップダウンは少ないルートです。昼食のメリデまではほとんどアップダウンが無く、幹線と並行する巡礼路を歩いたり、街の中を通ったり。昼食はメリデにて、名物のタコ料理をいただきました。
昼食の後もしばらく起伏の少ないルートが続き、ブエンテからアップダウンを経てアルスーアの郊外のホテルに着きました。

 

  • メリデの名物・タコ料理
  • メリデの街
  • 教会内のマリア像
  • 石置き橋を渡る

 

巡礼4日目 アルスーア⇒オ・ピーノ

この日も引き続きスペイン・ガリシア州の小さな村々を巡りながら進みます。
お昼の後、しばらくしてサンタ・イレーネ峠へと緩やかに登っていきます。登りはありますが、本日も全体的にアップダウンの少ない行程です。前日、距離が長かったのでこの日はホッとしました。比較的早い時間にオ・ピーノに着きました。

  • アルスーアの街を抜ける
  • ザックに靴をぶら下げて歩く巡礼者
  • ガリシアの森の中を歩く
  • 車道横断もあるので注意

 

巡礼5日目 オ・ピーノ⇒サンティアゴ・デ・コンポステーラ

巡礼路歩きのラスト1日。
サンパイオの町付近から左手にサンティアゴ・デ・コンポステーラ空港が現れます。
サンティアゴという名の冠がついていますが、東京国際空港が成田にあるように、実際の位置はラバコージャという町にあります。

  • サンティアゴまであと15km!
  • サンティアゴ・デ・コンポステーラ空港脇を歩く

その後、歓喜の丘(モンテ・ド・ゴーゾ)へ。道は、緩やかな登りです。

歓喜の丘で昼食をとり、サンティアゴのカテドラルを指さす巡礼者の像を訪れた後、サンティアゴ・デ・コンポステーラの街へ向かいます。
街には先ず郊外から入り、旧市街まで街中を約1時間歩き、ついに、巡礼のゴールであるサンティアゴの大聖堂に到着!

 

  • 歓喜の丘にて サンティアゴを指す巡礼者の像
  • 歓喜の丘からサンティアゴまで下る
  • サンティアゴのカテドラルの尖塔が見えた!
  • 巡礼の合言葉「ブエン・カミーノ!」

夜、巡礼者のためのミサと、後に行われる巨大なボタフメイロと呼ばれる大香炉が炊かれる儀式に参加しました。 ミサの最後の瞬間、愛情を持って周りの人達と握手するのですが、とても感動した瞬間でした。
ミサはスペイン語で行われ、ほとんどがキリスト教徒でない私たちにもかかわらず、鳥肌が立ち心を揺り動かされました。 この感動は、様々な国の人たちとともに巡礼路歩きをした後だからこそ味わえたと思います。

サンティアゴ巡礼の道は、万人に開かれており、あなたの参加を待っています。
皆様、「ブエン・カミーノ!(巡礼頑張って)」を合言葉に歩き、まだ見ぬ世界の友人達に出会ってみませんか?

  • サンティエゴ大聖堂内部の様子
  • ボタフエイロ(香炉振り)

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パミール・ハイウェイとワハーン渓谷

  • タジキスタン

2015.01.01 update

パミール・ハイウェイとワハーン渓谷

ワヒ族の民家の尾根。パキスタン・上部フンザ地方と同様のラテルネンデッケ天井をもつ建築様式が見られます

ソ連邦崩壊後の内戦と入域許可取得が困難だったことから、長い間外国人の訪問が難しく、いまだ未知なる部分が多かったタジキスタン。国土の90%は山岳地帯が占め、6,000~7,000mの山々が連なる「世界の屋根」パミール高原を有しています。
東部には国土の45%を占めるゴルノ・バダフシャン自治州があり、ここには人口のわずか3%のパミール系諸民族とキルギス族が暮らしています。

ワハーン渓谷 / Wakhan valley

パミール系諸民族の暮らしに触れ、パンジ川の対岸にヒンドゥークシュを背後に控えたアフガニスタン・ワハーン回廊を望むことができるのがワハーン渓谷。この地域は厳しい自然環境だけでなく、地形状の特殊性からも、独自の文化・風習を守り続けてきた人々が暮らしています。この地域に暮らすのはワヒ族、ショグナーン族といったパミール系諸民族で宗教はイスラムですが、パキスタンのフンザ地方やアフガニスタンのバダフシャン州と同じくイスマイリ派(アガ・ハーン)を信仰しています。民族も、その景観もパキスタンの上部フンザ地方に近い雰囲気を感じられるかも知れません。この渓谷には拝火教寺院跡や仏教僧院跡も残り、古くから文化伝播の道であったことをうかがうことができます。タジキスタンとアフガニスタンとの国境沿いを延々と流れるパンジ川は、ワハーン回廊から来るワハーン川とゾルクル湖から来るパミール川がランガールにて合流したもので、西へと流れウズベキスタンに入るとアム・ダリヤと名前を変え、アラル海に至って3,000キロに及ぶ流れを終えます。ワハーン渓谷のハイライトはなんと言ってもこのパンジ川の対岸に広がるアフガニスタン側、ヒンドゥークシュと扇状地の広がる雄大な景色。村人も解放的で明るくツーリストを迎えてくれます。

死海での浮遊体験をお楽しみください。
ワハーン渓谷の村、畑仕事(8月)
死海での浮遊体験をお楽しみください。
ワヒ族の少女
死海での浮遊体験をお楽しみください。
ヴァンの仏教遺跡跡 僧院や石窟の跡も残されています
ゴラン高原を望む玄武岩の柱廊が残る教会跡
ランガールからハルゴッシュ峠への途中に広がるヒンドゥークシュ高峰群の景色

ワハーン回廊とは / Wakhan corridor

アフガニスタンの北東部に東西に細長く伸びた回廊地帯。細い部分は南北の幅15~60Km、東西200Kmにわたり、北はタジキスタン、東は中華人民共和国に、南はヒンドゥークシュ山脈を境界としてパキスタンに接しています。西側はワヒ族が、東側の山岳地帯はキルギス族が暮らし、アクセスの難しさと治安状況から「最後の秘境」として残された山岳地帯です。

褐色の大地が作る海岸線
パンジ川の対岸に広がるアフガニスタン側、ヒンドゥークシュの氷河から流れ出て広がる扇状地

パミール・ハイウェイ / Pamir highway

死海での浮遊体験をお楽しみください。
パミール高原最大の湖カラクル。 2,500万年前の隕石の衝突でできた
クレーター跡にできた湖

「世界の尾根」パミール高原とキルギス族の世界ゴルノ・バダフシャン自治州を貫通する「パミール・ハイウェイ」は、タジキスタンのホルグからはじまりキルギスのオシュまで続きます。もともと1931年に旧ソ連が領土南端に軍を送る目的で建設した軍用道路でした。ホルグから標高を上げコイ・テゼック峠(4,272m)を越えると、そこはキルギス族の世界。標高3,500~4,000mの高原には移動式住居ユルトが点在し、キルギス帽をかぶりロバや馬に乗った人々の姿を見かけます。その後、ハイウェイはパミール高原のキルギス族の町マルガブより北上し、ハイウェイの最高地点アク・バイタル峠(4,655m)に至ります。キルギスとの国境付近には国境線を成すトランス・アライ山脈の高峰群が聳え、その手前にパミール高原で最大の湖、カラクル湖が広がります。ここでは雄大な山容とともに紺碧の湖の景観を展望することができます。さらにハイウェイは北上しキジル・アート峠(4,282m)を越えると、キルギスに入り、サリタシュの村へと下ります。この村からはキルギスの第2の高峰にしてトランス・アライ山脈の最高峰であるレーニン峰7,134mを望むことができるのです。

死海での浮遊体験をお楽しみください。
キルギス族の町マルガブ
死海での浮遊体験をお楽しみください。
マルガブのバザール
死海での浮遊体験をお楽しみください。
キルギス族 夏の放牧ユルト (移動式住居)
死海での浮遊体験をお楽しみください。
パミール・ハイウェイ最高通過地点、アク・バイタル峠4,655m

パミール・ハイウェイとは / Pamir highway

別名M41ハイウェイとも呼ばれ、キルギスのオシュからパミール高原を貫きゴルノ・バダフシャン自治区の州都ホルグ、タジキスタンの首都ドシャンベを経てウズベキスタンに入り南下、アムダリヤ川の国境を越えてアフガニスタンのマザリ・シャリフまで延びる道ですが、一般的にはオシュ~ホルグが「パミール・ハイウェイ」と呼ばれています。

パミール・ハイウェイの通過地点、サリタシュの村から見るレーニン峰
パミール・ハイウェイの通過地点、サリタシュの村から見るレーニン峰

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パミール・ハイウェイとワハーン渓谷

パミール・ハイウェイとワハーン渓谷

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キルギス パミール・アライに暮らすキルギス族

  • キルギス

2015.01.01 update

キルギス族の移動式住居ユルト

キルギス族の移動式住居ユルト

トランス・アライ山脈の麓
「パミール・アライ」の村サリタシュ

キルギスは中央アジア5カ国の中で最も面積がせまい国ですが、私たちにとっては広大な山岳地帯と草原を持つ大自然の豊かな国です。7つの州があり、このサリタシュ村はオシュ県の最南部・タジキスタン国境に位置します。通常のキルギス観光ルートから離れるため訪れる人は少なく観光地としては発達していないため、宿泊も「民家ゲストハウス」。キルギス族の家族が出迎えてくれます。

標高3,000mほどの草原には豊かな放牧地が広がり、そこに住居とユルト(移動式住居、キルギス語でボズ・ウィ)をたて馬やヤク、ウシを飼い暮らしてます。この「パミール・アライ」に暮らす自分たちこそ「キルギスの中のキルギス」と自称するほど、今でも馬などの家畜とともに暮らす生活が保たれています。
本来、キルギス族は一年中ユルトでの生活を行ってきましたが、ソビエト時代に行われたコルホーズ・ソフホーズ主導の牧畜の管理の結果、村に定住するようになり伝統的なユルトは夏の間だけ利用される放牧用の住居になってしまいました。サリタシュ付近では6月半ばから9月初めの短い夏の間、草原に放牧用のユルトが建てられます。

キルギスのユルト(ボズ・ウィ)は「灰色の家」という意味で、この「灰色」はフェルトのことを指します。フェルトは羊毛を毛羽立たせて均等な厚さになるようにおき、お湯をかけながら巻き上げ、固めていく手作業で作られたフェルトは丈夫で、ユルトの表面の覆いとして5~10年は使用されます。 一部ではキャンパスやテント地の導入がはじまっていますが、ここでは手作りのフェルトのユルトが生きています。

フェルトのアップリケのほどこされた入り口から入ると、入り口に近い中央右手にストーブがあり、そのストーブの煙が、天窓をかねる天井の穴から出されるようになっています。伝統的にはユルトの屋根は天と同一視され、その中心にある炉(現在はストーブ)も神聖な場所とされていたそうです。

トランス・アライ山脈
サリタシュの南はタジキスタンとの国境となるトランス・アライ山脈。その最高峰でありキルギス第2の高峰レーニン・ピーク7,134mをサリタシュから望む
パミール・アライ
本来遊牧民であるキルギス族にとって家畜は大切なもの。パミール・アライではヤク(高地)、馬が放牧されています。
サリタシュ
サリタシュにあるキルギス族の墓。葬式の日に殺されたヤクや馬のしっぽが神聖な印としてつけられます。
キルギスの乾燥チーズ
キルギスの乾燥チーズ、クルット。ミルクを発行させて丸めて乾燥させて作るチーズ。日本人のお客様にはあまり好評ではありません…
ユルト
ユルトの中へ招待してくれました
私たち日本人がユルトを見つけて訪問すると、暖かく迎えてくれるキルギスの人々。馬の乳・クミス、乾燥ヨーグルト・クルト、生クリーム・カイマークとナン。次々と手作りの乳製品でもてなしてくれ、さらには外国人の訪問を聞いた「ご近所さん」も自慢の乳製品を持ってやってきてもてなしてくれます。もちろん、こういった乳製品をキルギス人に販売もしているのですが、外国人の訪問は彼らにとってはちょっとしたイベントなのです。 「来年の夏もまたきてくれる?写真持ってきてくれる?私たちは毎年この場所にユルトをはるのよ」この気持ちを裏切らないように、一年後、この場所を訪問する添乗員・ガイドさんにしっかり託さねば・・・という責任感を感じます。
ブズカシ
ブズカシを楽しむ人々 ブズカシは一見ポロのようですが、2組の馬に乗ったグループがボールではなく頭を落としたヤギを奪い合うこの地域のスポーツ(アフガニスタンの国技です)
国民食ベシュバルマク
道中、キルギスの国民食ベシュバルマクを作っていました。ベシュバルマクとはキルギス語で「5つの指」を意味します。作っているところを見ていると馬乳酒(クミス)と揚げパンを持ってきてくれました。
パミール・アライに暮らすキルギス族
来年もまた来てね!

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パミール・ハイウェイとワハーン渓谷

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天山とパミールの懐へ 夏のキルギス・アドベンチャー

天山とパミールの懐へ 夏のキルギス・アドベンチャー

南イニルチェク氷河から望む天山の名峰ポベーダ、ハンテングリ。パミール・アライに聳えるレーニン峰。短い夏を謳歌する遊牧民の暮らしにもふれる、キルギスを深く知るためのアドベンチャー企画。

チリ・アンデスの名峰 エルプロモ峰(5430m)登頂

  • チリ

2014.08.01 update

エルプロモ峰の標高は5,430m。日本でまだあまり知られていませんが、チリ・アンデス山脈に聳える名峰です。
人口550万人が暮らすチリの首都サンチャゴ(520m)から車で走ること1時間半で、登山の拠点となるバジャ・ネバド(2,900m)へ到着。ここから5日間のライトエクスペディションの始まりです。

▲ エルプロモ(5,430m)を望みながらフェデラシオンを目指すエルプロモ峰(5,430m)を望みながらフェデラシオンを目指す

トレッキング1日目 バジャ・ネバドからピエドラ・ヌメラーダ(3,354m)へ

1日目は、キャンプ地となるピエドラ・ヌメラーダ(3,354m)まで標高差約450m。歩き始めとなるバジャ・ネバドは南米屈指のスキー場でラ・パルバ、エル・コロラドとともに『3つの谷』と呼ばれ、南半球最大のスキーリゾートを形成しています。

しばらく歩き、スキー場を抜けると3,400mのコル(鞍部)に到着。ここから下り、再び3,400m地点まで登り返します。エルプロモ峰を正面に望みながら歩き続け、キャンプ地手前でトラバースするとセポ川沿いの緑豊かなキャンプ地、ピエドラ・ヌメラーダに到着です。

  • 荷物は馬で運びます
  • アップダウンを繰り返す
  • ピエドラ・ヌメラーダを目指すピエドラ・ヌメラーダを目指す
  • 緑豊かなキャンプ地緑豊かなキャンプ地
  • ピエドラ・ヌメラーダから望むエルプロモピエドラ・ヌメラーダから望むエルプロモ
  • エルプロモ夕景エルプロモ峰夕景

トレッキング2日目 ピエドラ・ヌメラーダからフェデラシオン(4,100m)へ

2日目はフェデラシオン(4,100m)を目指します。標高差は約750m、この日は高度順応を兼ねてゆっくりと登ります。標高差はありますが、比較的ゆるやかな登りで高度順応には最適です。

ベースキャンプのフェデラシオンに到着し、午後はティータイムなどを楽しみつつのんびりと過ごします。この辺りは地中海性気候に属し温暖な気候で冬でも暖かく、1年のうち300日以上が晴天に恵まれています。

  • ベースキャンプのフェデラシオンを目指すベースキャンプのフェデラシオンを目指す
  • 高度順応を兼ねてゆっくりと登る高度順応を兼ねてゆっくりと登る
  • 川を渡渉川を渡渉

トレッキング3日目 高所順応日(4,100m~4,300m)

3日目は高所順応日です。明日の登頂に備え、今日は少しでも登頂時のイメージを掴んでいただくため、水分補給と呼吸を意識しながら、登頂時の重量でザックを背負ってラ・オジャ(4,300m)まで登っていただきます。

到着後は、現地山岳ガイドによるアイゼン着用での歩き方などの練習で翌日の登頂へ備えました。高度順応を考慮したゆとりあるコース内容の為、連泊してしっかりと体を慣らす事ができるのも、このコースのメリットです。

  • ラ・オジャまで高度順応
  • フェデラシオンのキャンプ地フェデラシオンのキャンプ地

エルプロモ峰登頂(5,430m)

4日目はいよいよ登頂日です。標高差は1,300m。5時にフェデラシオンを出発し登山開始。まずは昨日、高度順応したラ・オジャを通過し4,620mにあるシェルター(RefugioAgostini)まで向かいます。この辺りから急に風が強くなり、気温も下がります。レオネラ峰(4,954m)を眺めながらトラバースを繰り返します。

稜線まで登りきると、いよいよ頭頂部は見えてきますが、到着までにはまだまだ時間がかかります。

  • 登山開始 登山開始
  • 道中から望むレオネラ峰(4,954m)道中から望むレオネラ峰(4,954m)
  • トラバースしながら稜線を目指す

標高5,000mを越えると、インカ時代のミイラが発見されたピルカ・デル・インカ遺跡(5,050m)に到着します。既に風化していますが、約500年前に埋葬され、5,000mを越える高所にミイラを埋葬するインカの人々に感心しながら先へ進むと、目の前に雪渓が現れます。

  • トラバースを繰りかえす
  • 頂上直下の雪渓を目指す
  • 風化してしまったピルカ・デル・インカ遺跡風化してしまったピルカ・デル・インカ遺跡

近年は、気候変動(温暖化、降水量の減少など)にともなって規模が極端に縮小しているとはいえ、アイゼンを装着し雪渓をトラバースしなければなりません。トラバース後は最後の力を振りしぼり、一歩一歩、歩みを進め、ついにエルプロモ峰(5,430m)の頂に到着です!山頂からは南米最高峰アコンカグアをはじめアンデスの迫力ある山容を望めます。

  • 雪渓をトラバース雪渓をトラバース
  • 山頂までもうすぐ山頂までもうすぐ
  • エルプロモ峰(5,430m)登頂エルプロモ峰(5,430m)登頂
  • 山頂から望むアンデス山脈山頂から望むアンデス山脈
山頂から望むアコンカグア(6,962m)山頂から望むアコンカグア(6,962m)

登山後はサンチャゴ郊外のマイポ渓谷にあるワイナリーでワインの製造工程を見学。併設のレストランにて昼食と共にワインをお楽しみいただけます。アイゼン・ピッケルを使用する実践登山で、チリ・アンデスの名峰エルプロモ峰を登頂し、ワイナリーの見学など、充実の10日間の旅に一緒にでかけてみませんか。

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チリ・アンデスの名峰エルプロモ峰(5,430m)登頂

山頂からは南米最高峰アコンカグア(6,992m)をはじめ、アンデス山脈の迫力ある山容を望む。高度順応に配慮した日程で、一部アイゼン・ピッケルを使用する実践的登山へ。

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