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ウガンダ マウンテンゴリラトレッキング

  • ウガンダ
  • ルワンダ

2023.09.20 update

 

ウガンダ・ルワンダ マウンテンゴリラ&ゴールデンモンキートレッキング」のツアーでは、間近に野生のマウンテンゴリラを観察できるトレッキングにご案内いたします。

標高2,000m前後の高地にあり、アフリカ原生林の姿を留めているウガンダのブウィンディ原生国立公園。1994年に世界自然遺産に登録されたこの公園では、360頭ほどのマウンテンゴリラが生息しています。

 

マウンテンゴリラとは

 

世界でウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の3ヶ国の国境に広がるアルバータイン地溝帯にのみ生息しており、体は西アフリカなどに生息するローランドゴリラより大きく、長い毛を持ちます。雄の成獣は背中の毛が白くなるためシルバーバックと呼ばれ、身長170cm前後、体重は250kgを越えます。

 

一時、乱獲によって絶滅の危機に瀕していたマウンテンゴリラですが、20 世紀中頃から科学的な研究が進められるようになり、保護運動が開始されました。現在では、密猟者から守るためにレンジャーやトラッカーが一日中ゴリラを観察しています。そのおかげで、今では600 頭あまりのマウンテンゴリラが確認されるまでに回復してきました。

 

ゴリラが人に慣れるまで

ゴリラトラッキングが開始されるまでには、公園側で長い準備期間があります。まず、人間が近づいてもストレスにならないよう、ゴリラの「ハビチュエーション」(人に慣れさせること)を行わなくてはなりません。レンジャーが、初めは200m くらい離れたところから観察を始めて、だんだん距離を縮めていくそうです。もし近づきすぎて威嚇してきたりした場合はもう少し距離を置いて様子を見ます。

 

こうして徐々に接近していって、ゴリラがそのレンジャーに馴れるのに約6 ヶ月かかります。そこから不特定多数の観光客が覗きに来ても大丈夫になるまでには、さらに6~12 ヶ月かかります。ブウィンディ原生国立公園では設立の1991 年からハビチュエーションを開始し、1993 年からゴリラトラッキングが行われるようになりました。

 

マウンテンゴリラトレッキング・レポート

 

トレッキングの日、早朝まだ暗い時間に起きて朝食を取り、車でロッジからブウィンディ原生国立公園のブリーフィングポイントへ向かいました。しばらく待っていると、続々と欧米からの観光客がやってきて、最終的に50人ほどになりました。

ゴリラトレッキングのブリーフィングポイント

 

まずレンジャーから国立公園の概要やゴリラの数、トレッキング時のルールなどの説明を受け、その後各8人ずつのグループに分かれ、どのゴリラのファミリーに出会いに行くかが決まります。今回、我々は”MISHAYA”(ミシャヤ)というファミリーに出会いにいくことになりました。

レンジャーより説明を受ける

 

トレッキングではゴリラに負担をかけないよう厳重に人数が制限されており、各ゴリラのグループにつき1日8人までとされています。また、ゴリラに極度のストレスを与えないよう、風邪などの病気の人は参加を辞退する、くしゃみや咳をするときは後ろを向いてする、ゴリラを発見したらこちらからは7m以内に近づかない、観察中の飲食・喫煙は禁止、などのルールがあります。

 

ゴリラのグループがどこに居るかによって、どれくらい歩くかが変わってきます。トレッキング中、レンジャーが無線で連絡を取り合いゴリラ達の場所を把握して歩くため、95%以上の確率でゴリラと出会うことができます。

 

ブリーフィングポイントを出発して、期待を膨らませながら1列になり緩やかな坂道を登っていきます。足元は湿った土で滑りやすいものの、蔦のような植物が生えていたおかげでスムーズに登っていくことができました。

絶妙なバランスで頭に水を乗せるポーターの青年

トレッキング中の景色

 

1時間弱したところで、道を外れて「こんなところに行けるの?」という目を疑うような、道なき急斜面を進んでいくレンジャー。ゴリラに出会うため、ポーターの手を借りながら必死に下りていきました。

 

10分ほど急斜面を進み、皆さんが息を整えているとレンジャーより「ゴリラがすぐ近くに居るので荷物を置いて近づく」との情報。荷物を置いて静かに近づいていくと、雄のシルバーバックが見え、その後ファミリーに出会うことができました。

 

そっと、あまり音を出さないように近づいていきました。じっくり観察していると、赤ちゃんゴリラが母親に甘えたり、兄弟同士が喧嘩している様子が分かり、森の中ではありますが人間と同じような行動をしていることに気づき、微笑ましくなりました。

 

ゴリラのグループに出会ってから、観察が許可されるのは1時間のみ。1時間というと長いように感じますが、森の中に暮らすマウンテンゴリラのファミリーの愛らしい姿を眺めて幸福感に浸っていると、あっという間に時間が経ってしまいました。

 

大変名残惜しい中、その場を後にして来た道を戻りました。今回は、観察時間を含めて全体で3時間ほど。合計5~6時間かかることがある中、かなり順調に進みました。

帰り道も険しい…

 

ブリーフィングポイントに戻り、証明書を授与されゴリラに出会えた喜びの余韻に浸りました。時間が長くなったときのためにランチボックスを持ってきていましたが、早めに終わることができたのでロッジに戻り、見晴らしの良いテラスで食べることにしました。

ゴリラトレッキング証明書

ロッジのテラスでランチ

 

今回のように険しい道を進むこともあるトレッキングですが、15ドル程度でポーターを雇うことができます。荷物を持ってもらえるほか、手をとってサポートしてくれますので安心してご参加いただけます。ぜひ、野生のマウンテンゴリラファミリーの生活を間近に感じていただけたらと思います。

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アルゼンチン最北の高原砂漠プーナ
(その1~エルペニョン周辺)

  • アルゼンチン

2023.08.23 update

今回から3回にわけて、絶景広がるアルゼンチン最北の高原砂漠を行く「ワイルド・プーナエクスプローラー」のみどころをご紹介します。第1回目はツアーにおけるハイライトの1つである「エルペニョン周辺」に広がる絶景の数々です。

軽石の大地カンポ・デ・ピエドラ・ポメス(Campo de Piedra Pomez)

アンデスに暮らすケチュア族の言葉で「標高の高い場所」という意味を持つプーナは、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンの4ヶ国に跨り、標高3,000m~5,000mに位置するアンデス山脈に沿って広がる高原地帯のことを指します。

その中でもアルゼンチン北西部のサルタ州、フフイ州、カタマルカ州の3州はみどころが多く、日本でほとんど紹介されることのないアンデスの絶景が広がっています。

高原砂漠プーナ観光の玄関口であるアルゼンチン・サルタ州の州都であるサルタの町から約550km離れたエルペニョン周辺には、日本ではほとんど紹介されていないアンデス山脈の絶景が広がっています。サルタ~エルペニョン間の見どころは、いずれレポートさせていただきますので、楽しみにお待ちください。

エルペニョンの村から絶景広がるエリアへ向かいます

四輪駆動車で谷間へ下った後、各所の見どころを巡るドライブが始まります。

まずは、現地のクンサ語で「黒い石」を意味する「カラチ・パンパ(Carach Pampa)」では、周辺の火山活動によって形成されたカラチ・パンパ火山(Volcano Carach Pampa)を含む溶岩台地や、フラミンゴの飛来地であるラグーン(湖)をゆっくりと巡ります。

カラチ・パンパ火山麓の溶岩台地を歩く
カラチ・パンパ(Carach Pampa)は現地のクンサ語とスペイン語が合わさり「黒い石の平原」を意味し、周辺の火山活動による溶岩や火山岩(火山弾)による溶岩台地が広がっています。

フラミンゴが飛来するラグーン
カラチ・パンパのラグーンは、世界に6種生息するフラミンゴのうち、3種が飛来することで有名です。

カラチ・パンパ火山から塩原エリアを走行
その後、溶岩台地、塩原エリアを走行し、エルペニョン周辺観光におけるハイライトともいえる軽石の大地「カンポ・デ・ピエドラ・ポメス(Campo de Piedra Pomez)」へ向かいます。

カンポ・デ・ピエドラ・ポメス(Campo de Piedra Pomez)は、周囲の火山活動の影響により噴出した火山砕屑物である軽石や火山灰が地層を形成し、その後の風雨により浸食を受け、広範囲の軽石の奇岩群を形成したエリアのことです。

軽石の大地カンポ・デ・ピエドラ・ポメス
プーナ地帯は年間を通じて1日の寒暖差が大きいため、風雨の浸食作用以外に、軽石が伸縮を繰り返すことで亀裂が生じ、様々な奇岩を形成します。

様々な形の軽石の奇岩が立ち並ぶ風景は圧巻です。驚きと共にその魅力に吸い寄せられるかのように、皆さんが奇岩群の中への散策に向かわれます。

カンポ・デ・ピエドラ・ポメスでのもう1つの楽しみがピクニック・ランチです。皆さんが軽石の奇岩群の散策を楽しんでいる間、スタッフたちがテーブルなどをセットし、ピクニック・ランチを準備してくれます。

スタッフがピクニック・ランチを準備
軽石の大地に広がる奇岩群を眺めながら、スタッフの心のこもったランチは格別です。

白い大砂丘を目指す

軽石の大地カンポ・デ・ピエドラ・ポメスをあとにし、最後の目的地「白い大砂丘(Dunas Blancas)」へ向かいます。

白い大砂丘(Dunas Blancas)
カンポ・デ・ピエドラ・ポメスからの白い砂やカラチ・パンパの溶岩台地からの黒い砂が風によって運ばれ、周辺の岩山の麓に吹き溜まってできた砂丘で、砂丘の成分には石英なども含まれています。

終日、エルペニョン周辺の見どころを余すところなく、ゆっくりと巡っていただくため、エルペニョンでは連泊としております。エルペニョンは小さな町のため、ホテルの数が少ないですが、現地手配会社と連携を取り、ホテルを確保しております。

標高3,400mのエルペニョン周辺に広がる絶景の数々。

エルペニョンより先も、行く先々で絶景が拡がっています。一度のツアーレポートで一つ紹介しきれませんので、続きは次回へ。

 

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デブラ・ブラハン・セラシエ教会(エチオピア)

  • エチオピア

2023.07.26 update

今回はエチオピア北部、ゴンダールの町に残るデブレ・ブラハン・セラシエ教会をご紹介します。

 

ゴンダールはかつてエチオピア帝国の都が置かれた旧都。この教会は1674 年、イヤス王によって建設されました。長方形の形は旧約聖書に登場するノアの方舟を表していると言われています。教会を囲む壁には12 のドームがあり、これはイエス・キリストの12 使徒を表し、メインゲートはライオンを象っているとされます。教会の入り口は男性、女性によって分かれており、内部は旧約、新約聖書の物語を描いた壁画、天井は天使の壁画で埋め尽くされています。


教会外観  長方形の造りはノアの方舟を表している


教会を囲む壁には12 使徒を表す12 のドーム。


ライオンが座っている姿を模した門


屋根の上にはダチョウの卵をあしらったゴンダール式の十字架


天井には天使を描いた壁画。この教会で最も有名な壁画。木の上に直接描かれている。


教会内部の見学できるのは1 部屋のみと小さいが、壁画は素晴らしい。正面には十字架に張り付けられたイエスと、その上には三位一体(Trinity)を表す壁画。

 

三位一体とは:キリスト教において「父」と「子(キリスト)」と「聖霊(聖神)」が「一体(唯一の神)」であるとする教え。「三位一体」は、正教会・東方諸教会・カトリック教会・聖公会・プロテスタントにおいてはキリスト教における中心的な教えの1 つであり、正統教義のひとつ。

北側の壁には聖母マリアの生涯を表す壁画。上段2 段はマリアとヨセフのエジプトへの逃避を表す。また、下段はキリスト教の戦士が異教徒と戦う姿を現す。キリスト教徒は正面から見た顔(両目)、異教徒は横顔(目がひとつ)で描かれる。

南側にはイエス・キリストの生涯が描かれる。左上はイエスのエルサレム入場、右下は最後の晩餐。


最後の晩餐の後、12 使徒のひとりユダに裏切られたイエスはヘロデ王につかまり、十字架にかけられ、再び地上に蘇る(レザリクション)までのお話が描かれている。

 

この様に、小さいながらに内部一面が壁画で埋め尽くされた、デブレ・ブラハン・セラシエ教会。ヨーロッパの教会とは異なるエチオピア独特のタッチで描かれています。その昔、字が読めない人々に聖書の教えを説くためにこの様に絵で表現したそうです。エチオピアを代表する歴史遺産に違いありません。

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パタゴニア
煙を吐く山・フィッツロイ展望ハイキング

  • アルゼンチン
  • チリ

2023.06.20 update

 

チリとアルゼンチンの2ヶ国にまたがるパタゴニア地方では、様々な大自然を肌で感じることができます。その中でも特別な魅力を持った山「フィッツロイ」。西遊旅行のパタゴニアツアーでは、本格的なトレッキングでフィッツロイの魅力を存分に体感できるものもありますが、今回は拠点の町となるチャルテンから往復4~5時間程度と、それほど体力を要さず手軽に楽しめる「カプリ湖までのハイキング」の様子をお伝えいたします。

 

フィッツロイとは

標高3,405メートル、別名「チャルテン」とも呼ばれます。チャルテンとは「煙を吐く山」という意味で、その名の通り煙(=雲)が山を覆っていることが多く、晴れていてもなかなかその全貌を拝むことができないのが特徴です。アウトドアブランド・パタゴニアのモチーフにもなった、鋭利な形が特徴的な山です。

世界遺産に登録されたロス・グラシアレス国立公園の一部で、4月下旬は周辺の南極ブナの紅葉が美しくなります。5月から10月は雪に閉ざされるため、1年の半分だけ周辺のハイキングやトレッキングを楽しむことができます。

 

フィッツロイ展望 カプリ湖までの往復ハイキング

世界の最果てパタゴニア」のツアーで、フィッツロイの好展望地であるカプリ湖までのハイキングに同行しました。ハイキングのスタートポイントであるチャルテンの町まで、宿泊地であるカラファテから日帰りの行程です。

カラファテからチャルテンまでは、片道約3時間。道中、車窓からアルゼンチンで最も大きな湖であるアルヘンティーノ湖からカラファテの町を望んだり、グアナコの群れに遭遇しました。

アルヘンティーノ湖とカラファテの町を望む

グアナコの群れに遭遇

 

途中休憩で、ラ・レオナという場所に立ち寄りました。

ラ・レオナのカフェ

東京まで21,041kmの表示

 

チャルテンの町に入るすぐ手前に、フィッツロイの展望ポイントがあり車を止めました。この日は晴れていましたが、最初どの方角を見てよいのか分からないくらい、フィッツ・ロイは完全に雲に覆われていました。

雲に隠れているフィッツロイ

 

この後その姿を現すかどうか、少し不安な気持ちを抱えながらもスタート地点の登山口に到着。登山ガイドと合流し、各自ランチボックスを持って、服装を整え、軽い準備運動をしていざ出発です。

チャルテンの登山口

 

ハイキングスタート

 

ハイキングと言えど、初めの1時間ほどはずっと急な登り坂の道を行きます。途中、何か所か開けた場所があり休憩を多めに取りながら進みました。この時期はベストシーズンである1月。とはいえパタゴニアは天気が変わりやすく、天気が悪くなるととても寒いため上着は必須です。この日は風が強かったものの予想以上に気温が上がり、日差しも強烈だったため、途中上着を脱いでリュックにしまい、先を目指しました。

しばらく急な登り坂が続く

 

開けた場所で休憩

 

しばらくするとほとんど平坦な道になりました。ここで、フィッツロイの先端が徐々に姿を現し始めました。まだ完全に見えてはいませんでしたが、期待が高まります。

低木の緑が美しいコース

 

フィッツロイの先端が徐々にその姿を現す

 

途中、カプリ湖への分かれ道があり、そちらへ進みました。少し林を進み木々が開いた場所に出ると、先程の雲が完全に晴れてフィッツロイがその全貌を見せてくれ、皆さんの歓声が上がりました。とても良いタイミングでハイキングをすることができたと思います。

先を進むとフィッツロイの全貌が…!

 

 

さらに進んだところで、目的地であるカプリ湖に到着。登山ガイドおすすめのポイントに腰をかけ、フィッツロイのたくましい造形美を眺めながらボックスランチを食べました。何とも贅沢なひと時で、1時間ほど時間を取りましたがあっという間に過ぎてしまいました。

カプリ湖畔でフィッツロイを見ながらランチ

 

 

フィッツロイはそれぞれの峰に名前が付いており、左右のピークはそれぞれポインセノット(3,002m)、メルモーズ(2,732m)などとなっています。

各ピークの名称

 

帰りは周回して別の道を行き、途中フィッツロイが見える展望台に立ち寄りました。ここでは徐々に雲で覆われていく姿が確認でき、本当にちょうど良いタイミングで一瞬だけ姿を現したことに奇跡のようなものを感じ、感動的でした。

だんだんと雲に覆われてきたフィッツロイ

 

チャルテンの町に戻るまでの登山道で、登山ガイドが「静かに。」と言いながら木に近づいていきました。何事かと思ったら、マゼランキツツキの雄と雌の番いが木をつついているところでした。南米で最も大きなキツツキで、オスは鮮やかな赤い頭が特徴です。静かな森の中で嘴が木をつつく音が響き渡ったのが印象的で、何だか時間が止まっているようでした。

マゼランキツツキ(雄)

こちらは口の周りが赤い雌

 

写真で見るだけでも美しいパタゴニアですが、フィッツロイ展望の他にも風の強さ、氷河の上の冷たさ、氷河が崩れ落ちるときの轟音など、ぜひ現地に足を運び、五感で大自然を感じて頂ければと思います。

 

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ソグディアナからスルハンダリヤへ 
~タジキスタンとテルメズの遺産~

  • タジキスタン

2023.05.15 update

今回は人気の「タジキスタンとテルメズの遺産」のコースから、タジキスタンの見どころをご紹介いたします。

 

タジキスタンは、国土の90%以上が山岳地帯という山岳国家です。そのため、かつてこのツアーではトルケスタン山脈、ザラフシャン山脈、ヒッサール山脈を越えて首都ドゥシャンベへ向かうために、二つの峠越えがありました。峠は標高3500mを超えるため、ゴールデンウィークでも雪が降り、秋も降雪のためにツアーを設定することができませんでした。しかし近年、中国・イランが峠にトンネルを造り、峠越えの必要がなくなったため、春や秋にもツアーを設定できるようになりました。

 

ペンジケントまでの道中は峻険な山脈を縫うようにザラフシャン川が流れていますが、添乗で訪れた10月は黄葉が始まり、美しい風景を見ることができました。

「金を運ぶ川」という意味のザラフシャン川の黄葉

次に、ツアーで訪れる「ドゥシャンベの国立博物館」の珍しいコレクションを紹介いたします。通常は写真撮影が禁止されている博物館ですが、はるばる日本から来たツアーということでお願いし、撮影を特別に許可していただきました。

まず、ソグド人の都市ペンジケントからの出土品。これはペンジケントにかつて存在したヒンドゥー寺院にあった、シヴァ神とパールヴァティーの像です。シルクロードを結ぶ交易ルート上の都市だったため、この街に滞在するインドから来たヒンドゥー教徒の隊商のために造られたと思われます。

実際に寺院の前でシヴァとパールヴァティーに扮してポーズをとるガイドさん

そしてこちらは、ペンジケント近郊に残るサラズムで発見された紀元前4000年紀の「サラズムの王妃」という女性です。サラズムはタジキスタンで最初に登録された世界遺産で、工房跡や神殿跡が発掘されています。かつてツアーでは訪問することはなかったのですが、現在のツアー日程ではペンジケント訪問の際にサラズムの遺跡も訪問します。

ドゥシャンベ国立博物館に眠るサラズムの王妃

発掘されたサラズム遺跡の拝火神殿跡

 

ここからの写真は、タジキスタン南部にあるグレコ・バクトリア時代のタフテ・サンギンからの出土品の数々です。アレキサンダー大王は、東方遠征の際にソグディアナとアフガニスタンを往復しています。大王がもたらしたギリシャの文化を色濃く残す、目を見張るような出土品がたくさん展示されています。

ギリシャ神話のキューピッド

アレキサンダー大王とされる像

インドに近かったこともあり象牙細工が多く、この「アキナケス剣の象牙の鞘」は素晴らしい傑作です。ガイドさんいわく、このような傑作は「後世の人にも見てもらう価値があるため出土される」のだそうです。

アキナケス剣の象牙の鞘

そのほかツアーでは、テルメズでクシャン朝時代の仏教遺跡や、アレキサンダー大王が建てたアムダリアのアレキサンドリアである「アレキサンドリア・オクシアーナ」だと比定されるカンプル・テパ、考古学者の加藤九祚先生が発掘に携わったクシャン朝の最初の首都ダルベルジン・テパ等も訪問。見どころの詰まったツアーです。春は野花が咲き秋は黄葉が美しい、自然も魅力のタジキスタン。皆さまをお待ちしています。

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