秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

パミールに残るアリーの伝説

  • タジキスタン

2020.10.23 update

今回は、パミールに残るアリーの伝説をご紹介します。

アムダリヤの源・ゾル・クル

 

タジキスタンのゴルノバダフシャン自治州州都・ホルグからヤン村に向かう途中、パンジ川の対岸のアフガニスタンとヒンドゥークシュ山脈を望む辺りに、一つのさびれた祠(ほこら)が残っています。オストン・シャーヒ・マルドンという名のこの祠は、かつて預言者ムハマンドの従弟、アリーがこの地にやって来たことを記念するものと言われています。

 

   パミールに残るオストン・シャーヒ・マルドン

 

この祠のすぐ近くに、5世紀の要塞跡・カライ・カハカが残っているのですが、この要塞を治めながら、行き交うキャラバンから税金を搾り取った悪い王様を退治したという伝説が残っています。

祠の内部は、パミールの伝統建築であるラテンネル・デッケの屋根で覆われていますが、興味深いのが中に残る祭壇です。まずこの祭壇は、沢山のマルコポーロ・シープの角が乗っています。マルコポーロ・シープは、山の高い地域に生息しているので、それだけ天上の神に近い聖なる動物と言われています。また、狩猟で仕留めたマルコポーロ・シープを、人が生きていくために、ありがたくいただいたという感謝の表れでここに置くのだそうです。

ゴルノバダフシャン自治州の州都・ホルグからヤン村に向かう途中、パンジ川の対岸のアフガニスタンとヒンドゥークシュ山脈を望む辺りに、一つのさびれた祠(ほこら)が残っています。オストン・シャーヒ・マルドンという名のこの祠は、かつて預言者ムハマンドの従弟、アリーがこの地にやって来たことを記念するものと言われています。

マルコポーロ・シープの角が置かれた祭壇とラテンネル・デッケ

 

次に興味深いのが、この祭壇の作りに、かつてこの地で信仰されたゾロアスター教の名残が残っていることです。火を聖なるものとして仰いだゾロアスター教と同じく、今でもお参りに来た人は、この祭壇の上で綿花の油や動物の油で火を付けています。そして、この祭壇の四隅に4つの円形の石がありますが、これはゾロアスター教の4つの聖なる要素「火・水・空気・大地」を表しているとのことです。

 

 四隅に石が置かれ、火がともされる祭壇

 

パミールにアリーが来たという伝説は、ツアーで訪れる「アリ・チュール」という村にも残っています。「アリ・チュール」とは「アリーの怒り」という意味で、かつて多夫多妻で暮らしていたこの辺りの不道徳な人々が、アリーの怒りに触れて滅ぼされてしまったとう伝説が残っています。この町の近くには、「アク・バリク」という聖なる泉があり、この泉の魚は食べてはいけないというお触れもあります。

綺麗な水をたたえたアク・バリク

 

アリーの伝説が残るパミールですが、その絶景は美しいの一言につきます。雪をいただいたヒンドゥークシュを始めとするパミールの山々を眺め、対岸にアフガニスタンを望みながらパミール諸語族の人々の暮らしに触れる旅です。アフガニスタンとの国境をなすパンジ川は、アムダリヤ川となり遙かアラル海まで流れてゆきます。そのパンジ川のさらに上流を流れるパミール川の水源の湖・ゾル・クルが、アムダリヤの源流となります。

 

雪をいただいた大パミール山脈

 

また、イスラム教の聖者アリーの伝説が残る一方、パミールには仏教遺跡も残っています。写真は、ヴァンに残る仏塔の基礎です。シルクロード上にあるパミールは、様々な宗教も行き交った所です。

ヴァンに残る仏塔の基礎

 

ワヒ族の少女

キーワード

ウズベキスタンの青の都サマルカンド

  • ウズベキスタン

2020.10.15 update

サマルカンドは中央アジアで最も古くから繁栄した都市で、「青の都」とも呼ばれています。かつて13世紀にはチンギス・ハン率いるモンゴル軍により徹底的に破壊されましたが、その後14~15世紀にはティムール朝の首都となった際に多くの青い建造物が建てられました。


英雄ティムールとその息子たちが眠る「グル・エミル廟」

 


ティムールが愛妃のために建造した「ビビ・ハニムモスク」


かつてサマルカンドの都が築かれ
その後モンゴル軍に破壊された「アフラシアブの丘」

 

何本ものシルクロードが交わり、様々な文明の交差路となっていたサマルカンド。
その中心地となっていたレギスタン広場には3つのメドレッセ(神学校)が配置されています。


3つの神学校があるレギスタン広場

 

メドレッセの1つ「シェルドル・メドレッセ」の入り口に動物と人間が描かれた面白い絵柄があります。これは偶像崇拝が禁止されているイスラム教で、建築家が自分の権力を誇示しようとしたためだといわれています。しかし信者たちから強い批判があり、建築家は責任をとって自殺したという伝説が残されています。


200スム札にも描かれているシェルドル・メドレッセ入口アーチの絵

 

ツアーでは、ティムールの孫で天文学者であるウルグベクが建造した「ウルグベク天文台」にも訪れます。ウルグベクは聡明な学者肌の人物で、詩や音楽の鑑賞も好んだといわれています。


ウルグベク天文台

 

ウルグベクは恒星時1年間を365日6時間10分8秒と計算しましたが、これは現在の精密機器で計算した時間とわずか1分の誤差で、当時の技術でどう割り出したのか詳細には判明していません。


ウルグベク像

 

ティムールやその孫・ウルグベクの人物像や、彼らの建てたブルーの建造物が織り成す世界に魅了されながら、文化・文明・歴史の交差路であったことを肌で実感できるサマルカンド。

ツアーではサマルカンドに2連泊し、じっくりと建造物や町をじっくり見学いたします。
ぜひ青い世界に足を踏み入れてみませんか。

キーワード

月の山ルウェンゾリ周遊トレッキングと最高峰マルゲリータ峰(5,109m)登頂 【その2】

  • コンゴ民主共和国

2020.10.08 update

エレナ・ハット(4,541m)間近の岩稜地帯

岩の要塞に囲まれたエレナ・ハット(4,541m)

アタック小屋になるエレナ・ハット(4,541m)。頭上に注意です。

マルゲリータ峰の頂へ
深夜2時45分起床。小屋内の気温は1℃と予想を上回る温かさです。4時16分、登攀用具を身につけヘッドランプの灯りを頼りに出発。まずは簡単な岩場をホールドを探しながら慎重に登っていきます。雨や雪が降らず、岩が乾いていたことは幸いでした。岩場終着点となる東スタンリー氷河への取り付きから、ロープで互いを確保しあい、登山靴の靴底にはアイゼンを装着。約30分かけて、緩やかに登っていきます。ここで目指すマルゲリータ峰の隣峰アレクサンドラ峰(5091m)から延びている尾根の岩場に降り立ち、下って登ってを約1時間。残念ながら日の出は拝めず、濃くなってくるガスの中を我慢強く歩みを進めます。

出発前恒例の円陣!

東スタンリー氷河を進む

スリップに注意して岩場を下る

そしていよいよ核心部にあたるマルゲリータ氷河の登攀に差し掛かります。取り付いてから数百メートル、氷の状態はカリンカリンですがアイゼンの前爪がしっかりと刺さります。きっちりとロープを張りながら、上部を目指す緊張感のある登攀が続きます。氷河の中盤より斜面が緩やかにはなりますが、忍耐力が試されます。頂上や周りの景色が見えていればメンタル面で支えになったのでしょうが、引き続きガスの中。それでも何とか氷河を登りきり、最後の岩場へ。不必要な重い装備は全てデポして、標高5000mを超える希薄な酸素の中、ラストスパートです。

マルゲリータ氷河に取り付く

マルゲリータ氷河上で休憩

頂上直下の岩場①

頂上直下の岩場②

11時10分頃、先頭集団から最後の方まで約5分の開きはありましたが、登頂を果たしました。そして偶然にも幸運の女神が降臨したのか、登頂のタイミングで空が晴れ渡りました。コンゴ民主共和国との国境、マルゲリータ峰の頂にて、感無量の瞬間でした。

丁度晴れ間も見えてきた頃、登頂!

マルゲリータ峰(5,109m)登頂

下山中、何度も振り返りながら見た崇高な山の頂。苦労してたどり着いた先には、ただただ達成感という一言では決して片付けられない何かがありました。

眼前にアレクサンドラ峰(5,091m)を望みながら、氷柱したたるマルゲリータ氷河をゆく

晴天に輝くマルゲリータ峰(5,109m)とマルゲリータ氷河

下山は最後の最後まで気を抜けません

食事の一例

食事の一例②(登頂後のご馳走)

専属コックも同行

地と空とのコントラストが美しいジャイアント・セネシオ

 

関連ツアーのご紹介

月の山ルウェンゾリ周遊トレッキングと最高峰・マルゲリータ峰(5,109m)登頂

ナイル川源流を求めて 原生林に覆われた神秘の山域をゆく.。周遊ルートでルウェンゾリ山地の変化に富んだ大自然を満喫。8日目は「マルゲリータ峰登頂」または「氷河展望トレッキング」より選べます。

キーワード

月の山ルウェンゾリ周遊トレッキングと最高峰マルゲリータ峰(5,109m)登頂 【その1】

  • ウガンダ

2020.10.01 update

ルウェンゾリ山地をゆく

ウガンダとコンゴ民主共和国の国境に位置するルウェンゾリ山地。霧に隠されていることの多い神秘的な山塊は、その姿をめったに現さないことから幻の「月の山」と呼ばれています。アフリカ大陸第3の高峰でありウガンダ最高峰のマルゲリータ峰を擁するスタンリー山塊、そしてスピーク山塊、ベイカー山塊等からなる山域です。エドワード湖、アルバート湖をしたがえ、大気が常に湿潤なため、麓には山地降雨林が鬱蒼と茂り、まさに原始の森と呼ぶのに相応しい景観を呈しています。

 

幻の山を目指して
登山をする父が挑戦して登れなかった山として、印象に残っていたルウェンゾリ。改めて調べてみると、ナイル川の水源の1つであること、19世紀にこのエリアで名を馳せた探検家達の名が山塊名になっていること、約1000万年前に起きたグレート・リフト・バレーにより形成されたとされるアフリカで一番面積の大きいビクトリア湖が、この山地の湿度の高い気候や多彩な植生に影響を与えていることなど、より興味をそそられる山へと印象が変わっていきました。

ウガンダの首都カンパラより、途中赤道を縦断しつつ、約400km西へ、山麓の町カセセ付近のミフンガ村へと到着です。アタック小屋となるエレナハットへは、登山口から3泊4日の行程。ソーセージツリーやインパチェンス(花)、レッドアント(蟻)の行軍に出逢いながら、ムブク川、ブジュク川沿いのルートを登っていきます。

重量はきっちり計測

国立公園入園ゲート

インパチェンス

序盤はジャングルを歩く

2段ベッドが詰められたニャビタバ・ハット(2,651m)の部屋。公平な方法で選びましょう。

ルウェンゾリの頼もしきガイドチーム

曲がりくねった数々の大木を縫うように歩く

ジョン・マテ・ハット(3,380m)

夕食をとる現地ポーター達

アプローチにおいて強烈な印象を受けたのは、ルウェンゾリ名物のボゴ(湿地帯)ウォーク。1993年に作られた木道が架かっている箇所もありますが、膝まで埋まることもあり、長靴は必須装備です。色とりどりの長靴が、ぬかるんでいる土壌を彩ります。更には巨大化したロベリアやセネシオの林立する風景と受粉を手助けする愛らしい鳴き声の青い鳥サンバード。厳しい高山帯の気候の中で、動植物は自らの進化と連携によって生き抜いてきました。この原始の森の特異な景観が、アタック小屋までの道程を楽しませてくれます。

出発前は準備運動

ルウェンゾリガイドチームも真似して準備体操

心優しき現地スタッフとの交流も旅の魅力の1つ

様々なタイプがある長靴はこのルートでは必須装備

ボゴ(湿地帯)にかけられた木道を進む

ルウェンゾリ名物のボゴ(湿地帯)ウォーク

ジャイアント・セネシオの大群の中を進む

受粉を手助けする愛らしい鳴き声の青い鳥サンバード

晴れれば中心部が開くエバーラスティング・フラワー

効率のよい養分接種のための放射状の広がり

鬱蒼とした植生の中を進む

ルウェンゾリ山地には随所に湖が在る

毎日の乾燥が重要

 

関連ツアーのご紹介

月の山ルウェンゾリ周遊トレッキングと最高峰・マルゲリータ峰(5,109m)登頂

ナイル川源流を求めて 原生林に覆われた神秘の山域をゆく.。周遊ルートでルウェンゾリ山地の変化に富んだ大自然を満喫。8日目は「マルゲリータ峰登頂」または「氷河展望トレッキング」より選べます。

キーワード

ブータンのお土産② 切手

  • ブータン

2020.09.24 update

ブータンのお土産紹介、第2回目は切手です。

ティンプーの郵便局は、記念切手のコレクションが豊富で、お気に入りの切手をお土産にお買い求めいただくことができます。CD切手、ホログラム切手などいろいろありますが、やはり1番人気は国王の切手でしょうか・・・。

郵便局の記念切手を販売している部屋はまるでお土産屋さんのようです。

 

切手シートは、数冊のクリアファイルにファイリングされていますので、そこからお好きなものを抜き取って、お買い求めください。

 

ハガキも売られていますので、ハガキや切手を購入し、その場で手紙を書いて、外の郵便ポストに投函することも可能です。

 

 

現在、日本までの絵葉書の切手代は30ヌルタム(約60円)です。旅の記念としていかがでしょうか。

キーワード
PAGE TOP