裏磐梯の大自然
磐梯山登頂 火口壁ルート&檜原湖
- 日本
2022.04.15 update
今回は都内周辺から気軽に行ける豊かな自然スポット、福島県裏磐梯の魅力についてご紹介いたします。
裏磐梯とは百名山で知られる会津磐梯山の北側のエリアを指しますが(人口の数や交通量が少ないため”裏側”の印象になる)、1888年に起こった大規模な噴火にともなう山体崩壊によって、多くの尊い命が奪われてしまった場所になります。
ただし、当時は土砂や岩石で覆われた景色が広がっていたものの、全滅した森林を復活させるべく立ち上がった、会津若松生まれの遠藤現夢の指揮の下、多くの人々の手によって植林再生が進められました。そして、荒野に植えられたアカ松から始まり、次第にカエデ、ブナ等の広葉樹林が育ち、長い年月を経て今や深い森林が広がるオアシスのような人々の癒しの場所にまで回復したのです。
また、山体崩壊によって、以前より流れていた数本の沢が堰き止められて自然のダムができ、多くの湖沼群が生まれました。檜原湖を始めする豊な緑に囲まれた湖は大変美しく、登山・カヌー・釣り・バードウォッチング等様々なアクティビティを楽しむことができます。小さな沼や池の一部では、磐梯山の火山成分が溶けだすことで、ただの水たまりでは決して見ることのできない色彩を帯びるようになり、そうした特殊な色相をもつ池沼が顕著に集まる場所が五色沼として知られるようになりました。
2020年の夏と秋には、こうして生まれた裏磐梯の美しさを知ってもらうべく、「神秘の湖沼群と磐梯山(1,816m)・安達太良山(1,700m)登頂」を企画し、多くのお客様に参加していただくことができました。
裏磐梯を代表する”磐梯山”と”安達太良山”は、上記のような自然史とは別に、その見事な山容や、深田久弥の選ぶ百名山に選ばれていること、また比較的登りやすい山として知られます。ここで登りやすい山というのは「途中までロープウェイを使える」、「標高の高い場所からの短いルートがある」といった意味なのですが、せっかくツアーとして現地のガイド同行で行くのですから、個人では選ばないような、火山の魅力を感じることができる、達成感を一層感じることのできるコースを選びました。どちらも爆裂火口に近づく迫力のあるルートです。
まずは磐梯山。裏磐梯登山口より裏磐梯スキー場を経て、爆裂火口エリアへ。眼前には古い地層が露わになった火口壁が左右に延びます。復路で脇を通りましたが、この周辺に強酸性の銅沼(あかぬま)が存在しており、そこから酸性の水が地中を通って麓に流れる過程で、段々とPH値がアルカリ性になり、五色沼の様々な色合いを生む根源となっているのです。
ここからは急登が始まり、磐梯山山頂と櫛ヶ峰のコル(鞍部)を目指します。再び森へ入ると次第に段差が大きくなっていき、途中から手すり付きの登りとなります。
ゆっくり身体をぐ~っと押し上げながら登っていくと、急に視界が開きます。振り返れば森の奥に大きな檜原湖が見えます! 鬱蒼とした森を抜けたのでそよ風があたり気持ち良いです。
既に標高を抜いてしまいましたが、後ろに見える櫛ヶ峰の姿がこれまた見事。景色がどんどん変化していきます。さらに登って弘方清水小屋で休憩し、ハイマツ帯と岩場を抜けると頂上です!
反対側では猪苗代から那須高原、会津若松の方まで一望できます。何といっても眼下の猪苗代湖は美しいです。天鏡湖という呼び名がありますが、高い角度から覗き込むことによって空を映す姿がよりはっきりとわかり、その名の相応しさを感じます。
景色を堪能した後は、一部別のコースを通って始めの裏磐梯登山口へ。銅沼(あかぬま)から望む磐梯山の姿もコントラストがとても綺麗で何度見ても飽きません。なお、その時の天候や環境にもよりますが、厳冬期にはこの辺りに幻の黄色い滝・イエローフォールがひっそりと生成されるのです。
下山後、ホテルで源泉かけ流しの温泉に身体も心もふやけます…。
そして翌日はクールダウンの日。檜原湖畔にて磐梯山を大パノラマで望むカヌーと湖畔の探勝路散策をのんびり楽しみました。