秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

「飛鳥の里から奈良最深部へ」のツアーでは奈良南部を中心にめぐり、三重県の熊野市へと縦断する旅です。今回は4月に訪問した様子をご紹介いたします。

■1日目 飛鳥の里
旅は大和八木駅からスタートし、1日目は明日香村を回りました。
日本最古の仏像・飛鳥大仏を祀る「飛鳥寺」は推古4年(596年)に創建された我が国最初の仏教寺院です。

創立者は蘇我馬子です。蘇我氏と結びつきの強かった朝鮮半島の百済国などから6人の僧、寺大工などの派遣を受け、建立されたとされたとされています。
飛鳥大仏(釈迦如来坐像)は609年に銅15t、金30㎏を用いて造られました。日本最古の仏像ですが、鎌倉期の火災により大きく破損し、一部のみが創建当時のままで、修復されたことから国宝には指定されていないそうです。お寺の傍には中大兄皇子と中臣鎌足によって殺害された蘇我入鹿の首塚もありました。

最初の仏教寺院 飛鳥寺 飛鳥大仏

続いて、聖徳太子誕生の地とされる「橘寺」へ向かいました。
本堂にはご本尊の聖徳太子坐像が祀られています。
創建当時には一辺7mの五重塔があったそうですが、現在は塔礎石が残るのみです。
往生院の堂内にある天井画を寝そべって眺めることもお忘れなく。

         季節の花々が描かれた天井画

明日香地方にはたくさんの古墳があることでも知られています。その中の一つ、キトラ古墳も訪ねました。
キトラ古墳は7世紀末から8世紀初頭頃に造られたと考えられています。
石室内部の天井、側壁、床面の全面に漆喰が塗られ、その漆喰面には四神や十二支、天文図などの極彩色壁画が描かれていました。古墳横にある「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」でその壁画のレプリカを見ました。
実物の壁画は四半期毎に期間限定で公開されます。

■2日目 名勝・吉野山から天川村・洞川温泉へ
旅の2日目は名勝・吉野山へ。
桜の名所としても名高い吉野山ですが、今年の桜前線は早く通過したため桜はほとんどありませんでしたが、シャクナゲやアセビの花が綺麗でした。吉野山は大峰山脈の北側に位置し、金峯山寺の門前町として栄えました。
約1300年前、修験道の開祖、役行者は難行苦行の果てに蔵王権現を感得し、その尊像こそが民衆を救うものだとして、桜の木に刻み、吉野山に祀りました。それ以降、桜の木は吉野山において御神木とされています。
ちょうど訪問した時期には金峯山寺の本堂である国宝・蔵王堂の御本尊、金剛蔵王大権現が御開帳されていました。

金峯山寺の本堂 蔵王堂 見頃のシャクナゲの花

洞川温泉がある天川村では関西最大級の鍾乳洞、面不動鍾乳洞へ。
鍾乳洞の入り口までは林業が盛んな地域ならではの丸太の木をモチーフにしたモノレールで向かいます。
夏でも平均気温8度の洞内ではストロー状の鍾乳石や石筍が見られました。

丸太のトロッコに乗り鍾乳洞へ向かいます 面不動洞窟の内部

次に訪問した「龍泉寺」は洞川から大峰山へ登る修験者が水行をして八大龍王尊に道中安全の祈願をすることが慣例となっています。八大龍王堂には見事な龍天井もありました。
この日の宿泊は大峯山から発し熊野川の源流ともなっている山上川のほとり、標高約820m余りの高地に位置する洞川温泉です。純和風木造建築の旅館や民宿がならぶ、どこか懐かしい風景です。

■3日目 天川村から奈良最深部・十津川村へ
朝から天川村を代表する雄大な渓谷美を誇る「みたらい渓谷」へ。
みたらい渓谷は大峯山を源流とする山上川の下流部で川迫川が合流する場所付近で渓谷を形成しています。高低差の大きな渓谷では大小の滝が流れ落ちます。自然林に沿って7㎞の渓谷が整備されています。その一部のハイキングを楽しみました。新緑や歩道に咲く花を見ながらの散策でした。

渓谷ではいくつもの滝が見られます 新緑が美しい巨木

江戸時代の僧、円空が大峯の地で修行した際に彫られた円空仏が(聖観音菩薩立像、大日如来坐像、大弁財天天女立像、金剛童子像、御法神像)が祀られている「栃尾観音堂」も訪問しました。
円空は全国各地を行脚し、行く先々で一般に円空仏と呼ばれる木像や神像を造り、その生涯において彫った数は12万体にも及ぶとされ、現存するだけでも5000体以上とされます。柔和なお顔が印象的でした。

           栃尾観音堂に祀られている円空仏

その後、十津川村では生活用鉄橋としては日本最長の「谷瀬のつり橋」を訪ねました。高さ54m、全長297.7mです。
眼下には熊野川を見ながらのドキドキ体験が楽しめます。
また、落差15mの「清納の滝」でマイナスイオンを感じてから十津川温泉での宿泊でした。

■4日目 十津川村から日本唯一の飛び地・北山村へ。

十津川村に位置する果無集落は熊野参詣道の一つ、小辺路が通ります。急斜面の田畑、昔ながらの古き良き日本の生活風景が残り、果無山脈を見渡す美しさから「天空の郷」と呼ばれています。

果無集落は懐かしい風景が広がります。

その後、玉置神社を参拝しました。
2004年に登録されたユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部です。日本最初の神様とされる国之常立神(くにのとこたちのかみ)をお祀りする神社で、また、伊弉諾尊と伊弉冉尊もお祀りされている神社です。

その後、日本で唯一の飛び地、北山村へ向かいました。
奈良県と三重県と和歌山県の県境をいくつか越え、和歌山県の飛び地、北山村では筏師の道を歩きました。
林業が盛んに行われるようになった江戸時代以降、大台ケ原方面から木材集積場がある新宮市まで北山川に筏を流し、木材を運搬していました。良質な木材は江戸城の本丸にも使われ、明治・大正の産業革命期や戦後の復興期には東京や大阪などの大都市に建築資材を供給し、明治の最盛期には500人の筏師が活躍しました。
筏を無事に目的地に運んだ、筏師が山道を歩いて家路についた道が「筏師の道」です。
ツアーではその一部を歩き、当時に思いを馳せました。

                立合川に架かる吊り橋

■5日目 山の北山村から海の熊野へ
奈良県の山岳部を縦断してきた旅は、海の熊野へと向かいます。
国の史跡に指定される「赤木城跡」と「丸山千枚田」を見学後、「花の窟神社」は高さ45mの巨石がご神体で、伊弉冉尊が祀られています。

               花の窟神社

海岸線の鬼ケ城は熊野灘の荒波に削られた大小無数の海食洞が、地震による隆起によって階段状に並び、約1.2㎞続いています。志摩半島から続くリアス式海岸の最南端で、これより南はなだらかな砂浜の海岸へと変わります。
鬼ケ城もユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部を構成しています。

                鬼ケ城

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四季折々の自然美を見せてくれる奈良最深部ですが、11月頃には山が紅葉し、秋の風景を楽しめます。
是非、秋の大和路にでかけませんか。

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