雪原の上高地へ
- 日本
2021.11.18 update
2021年2月。厳冬期の上高地に訪れました。
上高地は、長野県の飛騨山脈南部の梓川上流に位置する日本屈指の景勝地であり、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)に指定されています。険しい山々と森に囲まれた上高地には、山小屋から温泉宿、高級感溢れるホテルまで多様な宿もあり、異なる目的をもった様々な方々が滞在を楽しむことができます。特に夏休みと秋の紅葉のシーズンは多くの登山客と観光客で賑わう上高地ですが、冬は人気のない静まり返った場所となります。
そもそも冬はアクセスが厳しくなります。通常だと上高地は車両で上高地バスターミナルまで一気に移動しますが、冬は上高地へ続く入口・釜トンネル(通称釜トン)が閉鎖されて車両通行止めになっているため、トンネルの入口より歩いていかなければなりません。
また、トンネル内は所々非常灯や注意灯がありますが、基本的には真っ暗です。釜トンネルは全長1,310m、その後上高地トンネル590mと2つのトンネルが続きます。
勾配もあり、トンネルの入口と最後では、標高差が200m弱あります。しかし、トレッキングが「暗闇のトンネル」から始まるというのは何とも珍しく、冒険心が掻き立てられます。当日は車で5分の場所に位置する「中の湯温泉」より、送迎車でトンネルへ向かいました。
到着後、ヘッドライトを点けてスタート。トンネルを抜けた先にはどんな景色が待っているのでしょうか…?
※スノーシューは、トンネル内では手持ちかザックに括り付けて持っていきます。
準備体操後、ゆっくりとトンネルの中を進んでいきました。今回は約40分かけて通過しましたが、待っていたのは……澄みきった青空と真っ白な雪山の世界でした…!!
まずは雪を被った焼岳が見えます。焼岳は今も活発に動いている活火山で、よく見ると薄っすらと噴煙が出ているのがわかります。
その後しばらく進むと凍結した大正池が現れます。大正池の向こうに聳え立つのは、北アルプスを代表する名峰・穂高連峰。
冬景色というだけでも魅力的ですが、夏は多くの方がバスで通過してしまうポイントを歩いて眺めることができるのも、このコースの大きな魅力の一つです。
辺りの山々は、夏・秋には広がるカラマツやコナラの林から頭を覗かせるように聳え立ちますが、冬はすっかり落葉しているため、全身をすっきり眺めることができます。
ここからは、河童橋までほとんど平坦な道を歩いていきます。
周りに響くのは「ザッザッ」というスノーシューで歩く音だけ。雪に覆われた静寂の上高地です。道中では、冬の限られた餌を求めて歩くニホンザルの群れや、小動物のしっぽのように可愛いらしく芽生えたネコヤナギの冬芽等を観察しながら歩きます。
道中の木道には雪が積もって、手すりより高いところを歩くこともあります。
そして、ようやく河童橋に到着。遠くから見えた穂高連峰がぐっと近づき迫力の景色を楽しむことができました。
梓川越しに角度を変えて望む焼岳もまた壮観です。
その後、景色の良い場所でお弁当の昼食を食べて、往路とは若干異なる道を歩きながらトンネルまで戻り、再びトンネルを抜けて、中の湯温泉まで戻りました。
冬だけしか味わえない特別な上高地。
高低差はトンネル内の200mしかないので、登山初心者の方にもオススメです。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。