小笠原諸島でザトウクジラのホエールウォッチング
- 日本
2021.02.05 update
数々の世界の秘境を旅している西遊旅行ですが、日本にも素晴らしい秘境がたくさんあることを再発見しています。今回はその中でも特に秘境である小笠原諸島をご紹介します。
小笠原諸島は東京から南に約1,000㎞の太平洋上に浮かび、交通手段は船のみ。およそ24時間かけて向かいます。24時間あれば世界各国ほぼ行けてしまいますね。そしてもちろん小笠原は24時間かけて向かう価値は多いにあります。
春夏秋冬それぞれに魅力がありますが、今の時期はなんといってもザトウクジラのトップシーズンです! ザトウクジラは夏の間は極地付近の海で採餌をし、冬になると小笠原のような温かい海に回遊し、繁殖行動をとります。11月から目撃情報が出始め、年末のツアーではその姿を多く見ることができました。ザトウクジラは浅域で繫殖行動を行っているため、ボートに乗船してのホエールウォッチングはもちろん、展望台の上からでも、母島へと向かう定期船「ははじま丸」に乗船している時でも見られることがあります。
こちらはチャーターボートで南島へと向かう途中に出会ったザトウクジラの子クジラです。背景に町が写るほど港近くでもクジラを見ることができました。子クジラは母クジラほど長く息が続かないため、頻繫にブローをあげ、また好奇心旺盛で元気いっぱいにブリーチングなど様々なアクションを見せてくれます。この後少ししたら、母クジラもブローをあげました。ブローの時に見えた背中だけでもその大きさがわかります。
母クジラがブリーチしたらどれほどダイナミックなのか、想像にかたくありません。この時期は子育てもするため、このような母子連れを見ることができます。
こちらは「ははじま丸」で見られた2頭のザトウクジラです。とある乗り合わせた女性は、ホエールウォッチングのボートより「ははじま丸」での方が見られたとまで言っていました。
こちらは父島での最終日に訪れた中山峠展望台です。残念ながらこの時はクジラを見ることはできませんでした。これからもう少し冬が近づけば更にクジラのシーズンとなり、峠からでもあちこちでクジラが跳ねているのを見ることができるそうです。展望台からは美しく輝くボニンブルーの海と、小笠原一の景勝地である南島を見ることができます。
南島は父島の南西約10キロにある無人島で、石灰質の土地が隆起・沈降してできた沈水カルスト地形と呼ばれる”ラピエ”と呼ばれる鋭く尖った岩や、”ドリーネ”と呼ばれるすり鉢状の窪地など美しい景観が有名です。
南島は美しい景観に加え、浜辺では絶滅し半化石化したヒロベソカタマイマイをたくさんみることができます。浜辺で多くみれますが海に住んでいたわけではなく、半化石の中に現在も母島の山の樹に生息している陸産貝類(マイマイの仲間)と共通の特徴があることから、かつて南島は深い森があり、樹ので生活していたと考えられているそうです。南島は雑誌や広告にも大きく取り上げられているため、簡単に行けると思われがちですが、実は海況が良くなければ上陸が難しい島です。
南島への上陸はボートでサメ池に入り、ボートの舳先から直接上陸するのですが、これがなかなかくせ者です。サメ池の入り口には岩がごつごつとあり、潮と海況が良くないとボートが進入できません。また、冬季は植生保護のため、上陸が禁止されている期間があります。今回は上陸可能な期間であり、条件もしっかり守ったうえ、幸運にも海況も良かったため上陸することができました。これからは海況も良くなり上陸できる可能性も上がってくるでしょう。写真で何度も見てもやはり実際の南島に上陸したときはその美しさに感動します。ぜひご自身で美しい景色を目にしてください。
ザトウクジラのシーズンはこれからトップシーズンを迎え、ゴールデンウィークまで小笠原でその姿を見ることができるそうです。海況も落ち着いてきた小笠原でぜひ雄大で美しいザトウクジラたちに出会いましょう!