秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

古墳紹介の最後は、熊本県玉名市に残る石貫ナギノ横穴古墳と石貫穴観音横穴です。菊池川の支流の繁根木川右岸には、灰石と呼ばれる阿蘇溶結凝灰岩の崖面が多くあり、その崖面250メートルほどの範囲にわたって6世紀頃に作られた横穴墓が造られています。熊本県教育委員会の調査では48基が確認されています。

 

【横穴墓が並ぶ石貫ナギノ横穴古墳】

二重、三重の飾縁(横穴墓入口の縁部分)には、円文、同心円文、三角文などが赤色などで描かれており、現在もその形跡を見ることができます。

【赤い装飾が残る飾縁】

内部には太刀のレリーフや屋根形の浮き彫りなどの装飾が施されているものもあります。

【内部に彫られた太刀のレリーフ】

 

内部からは鉄製の鉾(ほこ)、鏃(やじり)、玉類などが見つかり、国指定史跡となっています。

【横穴内部の遺体を置く部分(屍床)】

同じ丘陵の西側には、別の5基の横穴墓が残ります。3(1号墓から3号墓)はほぼ同じ位置に並び、2号墓の内部に千手観音が彫られていることから石貫穴観音横穴と呼ばれています。

【石貫穴観音横穴の看板】

【石貫穴観音横穴の祭壇】

石貫穴観音横穴は、古墳時代にこの地を治めていた首長の墓で、「千手観音像」が彫られたのは、古墳時代より後に仏教が伝わった平安時代初期になります。その後、「安世寺」というお寺もつくられ、この地域の人々の信仰の対象になっています。

【平安時代から続く地元の人の信仰の対象】

 

【内部に彫られた千手観音像】

石貫ナギノ横穴古墳と石貫穴観音横穴は、大正10年に熊本県内の他の装飾古墳(井寺古墳・千金甲甲古墳・千金甲乙古墳・釜尾古墳・大村横穴群)と共に国の史跡に指定されました。これらは日本国内で指定された装飾古墳群としては第一期の古墳群になります。そして、石貫ナギノ横穴古墳と石貫穴観音横穴は玉名市が全国に誇る装飾がある横穴墓で、九州各地に広がった古墳建造の歴史を知るうえで大変興味深いものだと思います。

 

 

キーワード
PAGE TOP