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添乗員ツアーレポート  南アジア

南インドの旅

  • インド

2012.08.01 update

経済発展、観光開発の進む大国インド。その中で、南インドはドラヴィダ民族文化と建築美、豊かな海と食文化、そしてモンスーン(季節風による雨)とともに再生する自然の美しさを持つ、「多彩な魅力をもつインド」そのものの姿を魅せてくれます。

右:軒下でおしゃべりをしながら刺繍をする少女たち。母から娘へとその技術が伝えられていきます。 左:精緻なミラー刺繍が特徴のムトワ刺繍。この地方の棘のある植物を表現したバワリヤ刺繍やチェーンステッチなどで隙間がびっしりと埋められています。
上段:ヤシの茂る浜辺よりアラビア海を望む。
下段(左から):カタカリダンス、南インドの定食「ミールス」、ジャスミンの花、南インドの料理に欠かせないスパイス

西遊旅行ならではの「南インドの旅」

2012年6月、モンスーンが始まったばかりの南インドを訪問しました。

インダス文明の担い手であるともされるドラヴィダ民族。彼らは、サンスクリット文字が発明される以前に独自の文字を持っていたことからもわかるように、インド亜大陸に高度な文化を築きました。イラン高原からアーリア人が移住し、北インド全域に新たな文化がもたらされたあとも、南インドには彼らの豊かな文化が残りました。

一方、大航海時代にはヨーロッパとの交易で栄え、イギリス当地時代には高原避暑地として人々を癒したこの地には、今もコロニアル風の建物や蒸気機関車が残り、インドの他の地域とは異なる異国情緒溢れる一面も持っています。

様々な文化を取り入れながらも、ゆったりと流れる時間の中に連綿と続くドラヴィダ民族文化の真髄を感じた今回の訪問は、おおらかでありながら力強い南インドの魅力を再確認する旅になりました。

今冬のツアーで訪れる西遊旅行ならではのツアーポイントをご紹介いたします。

世界遺産・ニルギリ山岳鉄道

高原避暑地への交通手段としてスイス人技師によって計画され、1899年に開通したニルギリ山岳鉄道。ツアーでは、全長45.88kmの中でラック形式の蒸気機関車が今も現役で走るハイライトのメットゥパラヤム~クーヌール区間に乗車します。

列車の最高時速は13㎞。時折給水のために停車し、スイッチバックを繰り返しながら、高低差1,386mのニルギリの山を2時間50分かけて登ります。運行開始から114年間変わらない、ゆったりとした列車の旅をお楽しみください。
※ニルギリ鉄道の蒸気機関は正面が客車に連結されています。右の写真はクーヌ-ル駅着後、蒸気機関のみスイッチバックして車庫に入るときに撮影したものです。 

ニルギリ鉄道・ラック形式の蒸気機関車
ニルギリ鉄道・ラック形式の蒸気機関車
パトロンの庇護のもと発展したモチ刺繍。1ミリ程度のチェーンステッチを刺すもので、現在は数家族のみがその伝統を受け継いでいます。
“ニルギリティー”お茶畑の中を走る
車内で出会ったインド人の新婚さん
車内で出会ったインド人の新婚さん
ニルギリ丘陵を登る鉄道
ニルギリ丘陵を登る鉄道
クーヌールの駅に到着
クーヌールの駅に到着

ハウスボートでいく
バックウォーター (水郷地帯)の旅

インド洋に沿って南北に伸びるケララ州。南北1,500㎞に張り巡らされたバックウォーター(水郷地帯)をハウスボートで巡ります。

ボートはエアコンやシャワーを完備したまさに「移動するホテル」。運河の左右には豊かな水田がり、運河沿いに暮らす人々が小船に乗って学校に通ったり漁をしたりする姿が垣間見られます。

椰子の木をシルエットに朝日や夕日に染まる南国らしい景色や、船上で専属コックが作る美味しいケララ料理もぜひご堪能ください。

両岸にヤシの生い茂る運河をハウスボートで行く
両岸にヤシの生い茂る運河をハウスボートで行く
 ローガンペイントで綿布に描かれた「生命の樹」。シンメトリーのデザインが特徴です。
夕暮れ時のバックウォーター
ハウスボートのデッキの一例
ハウスボートのデッキの一例
ハウスボートの客室の一例
ハウスボートの客室の一例
コックさんの作るケララ家庭料理
コックさんの作るケララ家庭料理

信仰篤い人々の姿
ミナークシ寺院のクロージングセレモニー

何千もの極彩色の神々の像で埋め尽くされ、後期ドラヴィダ様式の頂点を極めたといわれるミナークシ寺院。ここにはヒンドゥーの神シヴァと土着の女神ミナークシとが夫婦として祀られ、毎夕方にはシヴァ神がミナークシ女神の寝所に入る様子を儀式化したセレモニーが行われます。

楽隊の音楽とともに銀の神輿に乗ったシヴァ神が出てくると、僧侶がその日の行事や寄付の額を神輿に報告します。神輿は2人の息子の祠の前でおやすみの挨拶をしたあと、妻のミナークシの聖所の前で中に入っていいか伺いをたてます。

その後、神輿の下に用意された祭壇が蓮の花 竄ィ香で清められます。これはこの地方の伝統で、主人が仕事から帰ってきたときに妻が家の前でその足を清める儀式からとられたと考えられています。ハスの花、ジャスミンの花、そしてお香がたかれ孔雀の羽でお香が広がり神々しい雰囲気が作られていきます。

ミナークシ寺院の色鮮やかなゴプラム(塔門)
ミナークシ寺院の色鮮やかなゴプラム(塔門)
孔雀の羽の扇でお香が招かれると、神輿は聖所へと入っていきます。神が人間のように親しみを込めて扱われ、毎日繰り返されるその儀式は南国らしいおおらかさと人々の信仰の篤さを物語っているようです。 そして、ミナークシの寝室へと神輿が運ばれていき、この儀式が終了します。神々も人と同じ暮らしをしている・・・そう考える南インドの信仰の姿です。
シヴァの聖所から出てくる神輿。中にはシヴァ神像。
シヴァの聖所から出てくる神輿。中にはシヴァ神像。
ミナークシの聖所の前で祭壇が清められる
ミナークシの聖所の前で祭壇が清められる
シヴァの足跡の祭壇
シヴァの足跡の祭壇
ハスの花とジャスミンの花
ハスの花とジャスミンの花
ミナークシの寝室へと運ばれる神輿
ミナークシの寝室へと運ばれる神輿

食文化豊かな“美味しい南インド”を満喫

南インドの主食はお米。お米といっても北インドの長いインディカ米とはちがい、丸い大きなタイプのお米が主流です。そして一番の特徴はココナッツミルクをふんだんに使ったやさしい甘さが特徴の野菜や魚のカレー。そのほか、豆の粉のクレープ「ドーサ」、かるかんのような舌触りの蒸しパン「イドリ」、お好み焼きのような「ウッターパム」など、野菜や魚中心のヘルシーな料理は日本お客様に大変好評です。

アラビア海やベンガル湾でとれる新鮮なシーフードも楽しみのひとつです。朝食は蒸しパンのイドリに酸味のあるスープのサンバルやラッサムをつけていただきます。クレープのようなドーサも人気です。

蒸しパン「イドリ」
蒸しパン「イドリ」
スパイシーな「サンバル」
スパイシーな「サンバル」
酸味のある「ラッサム」
酸味のある「ラッサム」
お好み焼きのようなウッターパム
お好み焼きのようなウッターパム
南インドの定食「バナナ・リーフのミールス」
南インドの定食「バナナ・リーフのミールス」

そのほか、世界遺産の遺跡群が残るマハーバリプラムやコロニアルな雰囲気の港町コーチン、マハラジャの壮大な宮殿の残るマイソールなど、まだまだご紹介したい場所がたくさんある南インド。一度の旅でこれだけ多様な楽しみが見つけつけられることが、南インドの魅力です。

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