【視察レポート】ケララ北部の秘祭を撮る
テイヤムの神と女神たち【その3】
- インド
2019.08.28 update
【その2】では、テイヤムの魅力・みどころを実際の祭りの流れに沿ってご紹介しました。今回は、芸術という視点から見たテイヤムと、祭り見学の合間に訪れた北ケララ郊外のみどころを紹介します。
芸術としても評価されるテイヤム
テイヤムの祭儀は、神の存在の信憑性が、装飾の美しさや舞いの迫力など演者の技量で左右される性質があることから、芸術や学術的な考察など多様な解釈が生じています。顔や身体に施される鮮やかなペイントも、アートとしてとらえられる大きな要素でしょう。
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鮮やかな原色が美しいペイントと衣装
近年はその芸術性が評価され、一部ではアートやパフォーマンスとしてとらえられる傾向もあります。寺院ではないケララ州外の舞台や、インド国内にとどまらず海外の芸術祭などでも演じられ、芸能化されているものもあります。また、そうしてアートとして扱われることや海外との接触によって、演者自身にも「アーティスト」としての自意識が芽生えるなど、担い手の価値観も変わってきているといいます。
生活や信仰との深い結びつき
しかし、テイヤムは単なる伝統芸能や宗教儀礼という側面だけではありません。カーストや親族とのつながり、土地の慣習などと深く結びついていて、テイヤムに携わる人々の生活を支えています。そのため、慣習と切り離した芸能化に対しては、他地域の伝統芸能と比較しても、地元の人々の抵抗が強いといわれています。
テイヤムには、単なるパフォーマンスでは生み出すことのできない、人々の生活と結びつき実際に信仰され続けている、本物の“生きた”儀式だからこそ感じられる魅力があります。
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供物を手に、祭りに参加する女性たち
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PARIPPAYI MUCHILOT KAAVUの寺院にて
北ケララ郊外のみどころ
・カラリパヤットの道場
ケララ発祥とされる古代武術「カラリパヤット」。動物にみたてた姿勢や、蹴り技・間接技など素手の打撃技が特徴で、盾や剣を使う武器術も。テイヤム演者がカラリパヤットを幼少期に経験するという風習があるようで、テイヤムの踊りに影響しているという見方もあります。
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カラリパヤットの道場内部
・ヤシのロープを作る村
年間を通してヤシの木々が生い茂る、緑豊かなケララ州。ヤシは葉や実など様々な利用価値がありますが、実の内側の繊維からはロープが作られます。このロープは、アラビア海に面したケララ州の豊かな漁場で貝を獲るために利用されるそうです。
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機械を使って手でヤシのロープを作る
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できあがったヤシのロープ
・織物工場
織物工場では、サリーや男性用の腰巻布などを制作する現場を訪問しました。大きな織機が所狭しと並べられ、織子の女性が注文に応じて布を織ります。工場内では販売も行っていて、ここで織られた布地を買うこともできます。
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織機で作業をする様子
次回は、代表的なテイヤムの神とその神話、ユニークな神々の一部をご紹介します!
参考図書:「神話と芸能のインド」- 儀礼と神話にみる神と人(古賀万由里)(鈴木正崇 編/山川出版社)
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