ドロミテ周遊トレッキング
- イタリア
2016.06.01 update
ドロミテは、イタリアアルプス東部、イタリアとオーストリア国境付近に広がる山岳地帯に位置しています。数多の奇峰群が織りなす独特な山容、美しい自然景観、地形・地質学的価値が認められ、2009年にはユネスコ世界自然遺産にも登録されています。そのドロミテが1年で一番美しいと言われる、花咲く季節に、2016年6月に周遊トレッキングに行ってまいりました。
トレチメ・デ・ラバレド周遊トレッキング
ドロミテの象徴とも言える岩山群トレチメ・デ・ラバレド。ミズリナ湖畔のロッジから、車でアウロンツォ小屋まで上がり、トレッキング開始です。反時計回りに、トレチメ・デ・ラバレドを一周します。軽いアップダウンを繰り返しながら、刻一刻と見え方が変わるトレチメ・デ・ラバレドを楽しむことができます。ここは、第一次世界大戦時の激戦地でもあり、防空壕跡をそこかしこに見ることができます。かつて、グランデ(大峰)の上に、砲台が引き上げられて設置され、猛威をふるっていたというから驚きです。下山後は、アルプスの一大リゾート、コルティナ・タンベンツォの街にも立ち寄りました。
- 左から順にピコラ(小峰)、グランデ(大峰)、オベスト(西峰)
- 今なお残る防空壕跡
- コルティナ・タンペンツォの街並み
トファナ山群トレッキング~ファネス渓谷トレッキング~サスデラ・クルスクトレッキング
今回のツアーのハイライトともいえる、山小屋泊での2泊3日のトレッキングです。宿泊地のディボナ山小屋から目の前のトファナ・デ・ローゼの裾野をトラバースしていきます。晴天にも恵まれ、非常に気持ちのよいトラバースルートを進み、最後は急登を登りきると、ラガツォイ小屋に到着です。
ラガツォイ小屋は標高2,752mの断崖の上にありドロミテ随一の好展望地。ドロミテ最高峰のマルモラーダ(3,343m)をはじめ、チベッタ、プエズ、サッソルンゴ、ペルモなどドロミテの名峰群の展望が広がります。小屋のカフェにてビールやソフトドリンクをオーダーして、小屋のテラスで過ごす時間は格別です。チェックイン後は、十字架のあるところまでの往復トレッキングもお楽しみいただきました。
- トファナ・デ・ローゼの裾野を歩きます
- 気持ちの良いトラバースルート
- ラガツォイ小屋のテラス
2日目はファネス渓谷トレッキングです。朝は、ラガツォイ小屋直下の斜面の残雪がまだ固く、傾斜が緩やかなルートへ迂回しての、緊張を要する下りが続きましたが、アイゼンは不要でした。風光明媚なスコットーニ湖まで来ると一先ず安心です。峠を越えてファネス渓谷に入ると、そこはまさに別天地。眩暈がするほどのお花畑が広がっていて、度肝を抜かれました。特にキンポウゲが密度が凄まじく、「花」に関しては、ここが本ツアーのハイライトでした。アルペ・デ・ファネスの山小屋も、湖と牧草地の広がる雰囲気のある立地です。
- 峠を越えて、ファネス渓谷へ
- 一面のキンポウゲ畑を歩きます
- アルペ・デ・ファネスの山小屋
3日目は、アルペンローゼやエリカの花が広がるエリアを抜けて登ると、カルスト地形の大地が顔をだします。独特の奇岩帯が広がり、ちらほらとマーモットの姿も見かけることができます。このように、歩きながら様々な景観を楽しめるところも、ドロミテトレッキングの醍醐味です。セッラ山群、サッソルンゴ山群の展望を味わった後は、メデスク峠から長い下山ルートを歩き、コスタデドイ村へ到着。バディア渓谷では久々のホテル泊となります。
- 美しい湖と花畑の中を歩きます
- 奇岩帯の広がるカルスト地形
- 巣穴からひょっこり顔を出したマーモット
プエズ山トレッキング
車で移動し、リフトにて、一気に2,038m地点まで上がります。ドロミテのリフトは、風よけもついており、非常に快適です。プエズ山群を見据えながら、トラバースし、ゆっくりと上がっていきます。鞍部に登り、台地上に出ると、正面にヴァレルンガ渓谷が広がり、セッラ山群、サッソルンゴ山群が綺麗に見えてきます。昼食は、プエズ小屋の前で食べ、美しいヴァレルンガ渓谷(イタリア語で「長い谷」という名の通り長い渓谷です)を下っていきます。道中、山の展望だけでなく、ドロミテの花々も楽しめるコースでした。
- 長く美しいヴァレルンガ渓谷
- プエズ小屋の前で昼食を食べました
- 夕食に興じるガイドさんたち
オドレ山群トレッキング
車でダフネイまで上がり、そこからトレッキング開始です。歩き始めると、すぐに一面のお花畑に迎えられました。ステビア山を右手に見ながら、まっすぐに登って行くとフィレンツェ小屋に到着。ちょうど、豪雨につかまったので、小屋で雨宿りをしました。その後、気持ちのよい稜線歩きをし、好展望地のコルライザーへ。タカネシオガマ、リンドウ、キンボウゲ、悪魔のかぎ爪などの花が咲き誇る芝生でピクニックランチを楽しんだ後、リフトで下山をしました。昨日に引き続き、セルヴァ・デ・ヴァルガルデーナの綺麗なホテルで連泊です。連泊があると、ゆったりとドロミテを満喫することができます。
- あともう少しでコルライザー
- コルライザーの花畑
- リフトで下山します
サッソルンゴ周遊トレッキング
車で移動し、モンテパナからリフトでサッソルンゴの裾野へ。2日かけての周遊トレッキングです。こちらもアップダウンも多くなく、ドロミテらしい景観を楽しめるコースです。サッソルンゴはずっと遠くから見ていた山。岩壁も見事で、クライミングルートもたくさんあります。
まずは、リフト降り場のキンポウゲ畑を抜けると、簡単なアップダウンがあります。分岐にて昼食。分岐は、サッソルンゴの横断ルートとなっています。反対側にはリフトもあり、冬はスキーで滑れます。鉄塔が見えてきたら、その下がもうフレドリック・オーガスト小屋です。ここもテラスが素敵な小屋です。ドロミテの有名な登山家の名前にちなんでつけられました。
- アルペンローゼとタマキンバイ
- 草原地帯をトラバース
- フレドリックオーガスト小屋
サッソルンゴ周遊トレッキング2日目。この日も朝から快晴でした。残り半周を美しいセッラ山群を眺めながら歩きます。中でも、サッソピアトの5本の岩峰は見事です。岩の町と呼ばれる奇岩帯を抜けて、コミチ小屋で休息しました。コミチ小屋から、緩やかな斜面を越えて、最後の登りを終え、リフト降り場に到着です。プエズ山群、ステビア山、ヴァレルンガ渓谷、オドレ山群と見慣れた景観が戻ってきました。お花畑でランチの後、リフトで下山。フェダイア湖畔の山小屋へ車で移動。いよいよ旅も終盤です。
- アネモネとサッソピアト
- 奇岩帯の広がる「岩の町」
- リフト乗り場前のお花畑でピクニックランチ
マルモラーダの山頂付近展望台とマルガ・オンブレッタハイキング
朝起きると、小屋前のフェダイア湖にマルモラーダが綺麗に映っていました。9時の運行開始に合わせて、ゴンドラ乗り場へ車で移動。マルモラーダのゴンドラは2回乗り継ぎで、約2000mの高度差をわずか10分で一気に上がります。高山病対策で、深呼吸しながら歩きます。一つ目のゴンドラで雲を突き抜け、上は好天です。本来であれば、旅のハイライトとして今まで通ってきたコースを上からは眺めることができるのですが生憎、雲に隠れて見ることができませんでした。その代わりに、見事な雲海と、一瞬だけ雲の上の現れたブロッケン現象を見ることができました。
ゴンドラで降りてから、今度はマルガ・オンブレッタトレッキングです。今まではずっとマルモラーダの北面を見ていましたが、このトレッキングでは急峻な南壁を詰め上がります。ここもクライミングルートがたくさんあります。終着のチーズ小屋前で、ピクニックランチをした後、同じルートを下山し、車でカナツェイに移動。最後の夜はイタリアらしく、ピザで締めくくりました。
- フェダイア湖に映るマルモラーダ
- マルモラーダ山頂から望むサッソルンゴどセッラ山群 歩いてきたコースを一望できます(2015年6月ツアー時のもの)
- 本場イタリアのピザ
ドロミテのもう一つの主役。咲き誇る高山植物たち
初夏のドロミテの主役は、高山植物と言っても過言ではありません。
山々を華やかに彩る、ツアーで見ることができた高山植物を紹介いたします。
- エーデルワイス
- 悪魔のかぎ爪
- >アルペンローゼ
- コケマンテマ
- エリカ
- イエローポピー
- タマキンバイ
- イワカガミダマシ
- フタマタ・アウレアタンポポ
- オキナグサ