自然豊かな島 タスマニア島 ~動物編~
- オーストラリア
2022.11.08 update
古代の大陸から生き延びた動植物
今から2億年前、地球上には超大陸と呼ばれたパンゲアという大陸ひとつしかありませんでした。1億8000万年前頃にパンゲアは北のローラシア大陸、南のゴンドワナ大陸に分かれ、オーストラリア大陸から分離したタスマニアはこのゴンドワナ大陸の一部でした。そのため、かつてのゴンドワナ大陸にルーツを持つ動植物を、現在のタスマニア島で観察することができるのです。早い時代に大陸から分離したため、タスマニアにしか生息しない固有の動植物も多く見られます。大陸では絶滅した原始的な単孔類や有袋類が独自の進化を続けてきたタスマニア。ツアー中、野生のカモノハシやウォンバット、オーストラリア・オットセイやフェアリーペンギンなど様々な野生動物の観察をお楽しみいただきます。
カモノハシ
カモノハシは世界でもオーストラリア大陸東側と、そしてこのタスマニア島だけに生息し、準絶滅危惧種に指定されている動物です。成獣で大きさは全長約50cm~60cm、重さは大きいもので3kgにもなります。
哺乳類でありながら胎生ではなく卵生であり、水際に穴を掘り作った巣穴の中で、1回に1~3個の卵を産みます。遥か昔、2億数千年前の三畳紀にその祖先が誕生し、気の遠くなるような時間を掛けて、ここままで進化をしてきたカモノハシが見られるのはタスマニア島の開発されていない手つかずの自然が多く残る環境だからこそです。ツアーではファーングレード保護区とマーシー川で野生のカモノハシを探します。
オーストラリアオットセイ
オーストラリアオットセイは南半球に幅広く生息するミナミオットセイの1種です。タスマニア近海では赤道反流からの暖流と南極から北上する寒流が程好くぶつかるため、そこに発生する豊富な海洋資源が彼らを支えています。また夏に多くのオットセイを目にすることが出来ます。それはタスマニアとメインランドを隔てたバス海峡周辺がこのオーストラリアアザラシの一大繁殖地になっているからです。スタンレーの港からボートクルーズで繁殖地を観察します。
ハリモグラ
オーストラリアにのみ生息する原始的な哺乳類のグループで、爬虫類や鳥類と同じように産卵し、育児嚢で産んだ卵を孵し、母乳で育てます。細長くとがった鼻面をもち、その先端近くにわりに大きな鼻孔があります。嗅覚も鋭く、落ち葉や下生えの中に鼻先を突っ込んで掘り返しながら食物を探します。口は小さく、歯はまったくなく、シロアリやアリを主な食物とします。細長く柔軟な舌でこれらの食物をなめとり、素早く口の中に運びます。クレイドルマウンテン国立公園ではハリモグラに出会うチャンスがあります。
ウォンバット
ウォンバットは、コアラに一番近い動物です。一般的にウォンバットとのみ呼ばれますが、オーストラリアには3種類のウォンバットが生息しています。名前の由来はアボリジニの言葉で「平べったい鼻の動物」という意味から来ています。体長は70~110センチ程で体重は、最大で40キロまで大きくなります。穴を掘るのが得意で丈夫な爪を持っています。夜行性で日中は巣穴で休み、夜間に行動します。視力はあまり良くないですが嗅覚と聴覚は鋭く、動きの遅い動物に思われていますが、走れば30キロ以上のスピードが出ることが知られています。草食性で草や木の根を食べます。クレイドルマウンテン国立公園で見られます。
タスマニアデビル
かって、ヨーロッパから入植した白人たちが、山中から聞こえてくるデビルの声を「悪魔の声」の様だと言ったことから名付けられたと言われています。タスマニアデビルが唸り声を上げるのは、餌の争奪時や繁殖期などです。以前はオーストラリア全土に暮らしていましたが、オーストラリア本土ではディンゴ(タイリクオオカミの亜種)により駆逐され、ディンゴのいないここタスマニアだけに残ったと言われています。動きが鈍く、他の動物を襲えません。そのため森の中で死んでしまった動物の死骸を食べるので「森の掃除屋」の異名を持ちます。1度に産み落とされる赤ん坊は20~40匹ですが、生き残る赤ん坊は2~3匹。これは、母親の育児嚢の中の乳が4つしかないためで、最初にしがみついた赤ん坊がその乳を独占するため、他の赤ん坊たち全ては育つことができないそうです。産まれてから4ヶ月ほどは袋の中で育ち、200グラムほどに成長した頃に袋から出ます。それからさらに3ヶ月ほど、授乳されながら掘った巣の中で過ごします。そしてそれから3ヶ月ほどしてやっと独り立ち。しかし、タスマニアデビルは独り立ちしてからの1年間を生き延びる事ができるのはほんの僅かです。さらにデビル顔面潰瘍性疾患(DFTD:Devil Facial Tumour Disease)の流行もあり絶滅の危機に瀕しています。ツアーではデビルズアットクレイドルを訪れ、デビルを観察します。
ワラビー
タスマニアの森に住むワラビーは、ベネットワラビーとタスマニアンパディメロンの2種類です。ベネットワラビーは大きいもので全長が1.5m、体重は20kgにもなります。それに対してタスマニアの固有種タスマニアンパディメロンは小さく、特にメスの個体は5kg程度です。生息範囲は広く、スタンレーのナットからレインフォレストなどいたるところで目にすることができます。
フェアリーペンギン
身長40cm。体重1㎏ほどでペンギン全18種の中で、最も小さい種類です。陸上では完全に夜行性で、早朝に海に出かけ、沖合まで餌を求めて泳いでいき、夕方暗くなってから陸上に戻ります。夕方、沖合に集合し「ラフト」と呼ばれる集団をつくり、グループで上陸して巣穴を探して海岸を歩いて行きます。海岸の草地や灌木の中・藪の中・岩の下に巣穴を作ることがほとんどですが、海岸沿いの民家の軒下に巣を作ることもあります。
ヨーロッパの入植以降、数百万羽以上いたペンギンの数は急速の減少していきました。車や人間の持ち込んだ犬や猫が大きな被害の原因となっています。ビシェノの町で観察ができます。