チャド エネディ山地の旅
- チャド
2012.08.01 update
写真:アルシェイのゲルタ
首都ンジャメナから北へチャド湖にそそぐシャーリ川とロゴネ川の合流地点に位置するのが首都ンジャメナ。川の対岸にカメルーンのクッセリを望む、まさにチャドの中心に位置する町です。チャド北部を構成するエネディ山地、ティベスティ山地付近ははBET(Borkou-Ennedi-Tibesti)と呼ばれ、堆積岩、火山岩による岩山砂漠地帯と砂丘の交じる大地にナツメヤシ茂る小さな村が点在しています。首都ンジャメナを出発して3日走ってようやくたどり着くことができる、「サハラ最深部」ともいえる地域です。 |
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チャド北部のタッシリ、エネディ山地「タッシリ」とは風と雨により浸食された堆積岩(砂岩)の台地のことをさすアラビア語です。サハラ砂漠にある大きなタッシリにはタッシリ・ナジェール(アルジェリア)、アカクス(アルジェリア)、アルホッガー(アルジェリア)がありますが、このエネディ山地も巨大な「タッシリ」。ちょうどサハラ砂漠の中央に位置する堆積岩(砂岩)の岩山で、全ての面を砂漠の砂により侵食されエネディ独得の渓谷、ワディ、ゲルタを造り出しています。その砂岩の壁には岩絵が描かれ、浸食によって造り出されたゲルタには、ナイル・クロコダイルの生き残り「デザート・クロコダイル」と呼ばれるワニが生息しています。 |
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アルシェイのゲルタ「ゲルタ」とはアラビア語で「砂漠にある水のたまっているところ」。アルシェイのゲルタのみどころはいくつかありますが、ハイライトはたくさんラクダがゲルタに集まっている様子と、「サハラ最後のワニ」、デザート・クロコダイルです。アルシェイのゲルタのビューポイントまで歩けば、その2つを一度に楽しむことができます。もちろん、ラクダの数はその日によって違いますし、ワニは必ずしも見られるとは限りません。すべては「運」。 |
「サハラ最後のワニ」 |
デザート・クロコダイル |
エネディ山地の岩絵一般にサハラの壁画は古いものほど美しく、時代が新しいものは稚拙なものが多いように言われますが、チャドにおいては新しい時代のもの、馬の時代、ラクダの時代の壁画が美しく生き生きと表現されています。色素の材料はオークル(黄土)、岩石、卵、乳を使い、それをアカシアの樹液を用いて保護しています。 芸術性の高い、チャドの岩絵の一部をご紹介します。
そして、一番見事なのが、高さ6mにあるマンダゲリの砂岩のキャンパス。一面に当時の暮らしの様子が描かれています。 マンダゲリの砂岩のキャンパス |
エネディの風景四方を砂に囲まれたエネディ山地はこの厳しいサハラの自然環境の中で動植物に、そして遊牧民・家畜たちの「シェルター」的な役割をなしてきました。砂岩の浸食が生み出した景色とそこにいきる人々の姿はまさに「手つかずのサハラ」。豊かな自然と伝統が残されています。 |
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アルシェイのゲルタへ向かう遊牧民と家畜 |
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