カラバーグにパンジャーブウリアル Punjab urial を求めて

1月のパンジャーブ平野、ジャヴァの山にあるカラバーグ・プライベート・ゲームリザーブにパキスタン固有種のパンジャーブウリアル Punjab Urialを探しに行きました。

Kalabagh Private Game Reserveはハンティングのための野生動物保護区ですが、トロフィーハンティングのためには個体数を増やす必要があり、銃を持ったレンジャーが密猟を防いでいて保護区内は野生動物が結構いるのです。

 

ウリアル Urialは偶蹄目ウシ科ヒツジ属の哺乳類。雄の角は弧を描いて大きく巻き、首の下に長い毛の房がある野生のヒツジです。南アジアから中央アジアにかけての山岳地帯に生息。パキスタンのパンジャーブ地方に生息するウリアルはインドのラダックウリアル Ladakh Urialと同じ扱いをされていましたが、2016年に発刊された “BOVIDS of the World” (世界のウシ科動物)ではパンジャーブウリアル Punjab Urialとして独立種になりました。

 

車を降りて、パンジャーブウリアルの群れの近くへ。風向きに気をつけてアプローチします。

 

あまり近寄りすぎるとすぐに距離をあけられてします。2時間くらいの滞在で、大きな角を持つオスを含め30頭以上を見ることができました。

 

そしてお待ちかねのランチタイム。さすがハンティングロッジ。そのセッティングもサービスもとても心地よいものでした。

 

地元食材をふんだんに使ったランチ。そしてオレンジの季節!!

 

ハンティングロッジの内装。「トロフィー」が飾られていました。パンジャーブウリアルのハンティング・オークションでの価格は1頭 15,000~16,000 USドルと高価なもの。1年にパンジャーブ平野全体で15頭ほどがハンティングの対象となっています。

 

ロッジの周りには人になついてしまったパンジャーブウリアルの子供が何匹かいました。私たちとは距離を置いていましたが、ロッジの人には寄り添っていました。

 

ガイドのアブルとパンジャーブウリアルの子供。

Kalabagh Private Game Reserveで出会った生き物をご紹介します。

 

ソルトレンジ・チンカラ Salt Range Chinkara。以前はインド・チンカラの亜種とされていましたが、2016年発行の図鑑によると種として独立しました。パキスタンの塩の山脈~インドの首都デリー付近まで分布しています。

 

インドノウサギ Indian hare

 

オオバンケン Greater Coucal、 インド・パキスタンの平野部、農村の鳥。

 

シロエリハゲワシ Eurasian Griffonの若鳥。大人になると翼が白くなります。

 

シマシャコ Grey Francolin インド・パキスタンの平野部の鳥です。

 

すぐに藪に入ってしまいます、とてもかわいらしい鳥。

 

イノシシ Wild Boar

 

ムナグロシャコ Black Francolin。美しいオスです。

 

午前中2時間、昼食をはさんで午後2時間の観察をし、もうイスラマバードに戻る時間です。きっと朝と夕方にここにいれたら、もっと素敵なワイルドライフ遭遇があるはずです。

 

最後に、案内してくださったGame Reserveのレンジャーさんの雄姿。ハンティングのために保護するって、最初は驚きましたが、どうぞしっかり守ってください!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2023, Kalabagh Private Game Reserve, Punjab

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特集記事:パキスタンの野生動物

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パンジャーブウリアル Punjab Urial(ソルトレンジ)

パンジャーブ州、ソルトレンジ<塩の山脈>の丘陵地帯に生息するパンジャーブウリアル Punjab Urialのレポートです。

 

ウリアル Urialは偶蹄目ウシ科ヒツジ属の哺乳類。雄の角は弧を描いて大きく巻き、首の下に長い毛の房がある野生のヒツジです。南アジアから中央アジアにかけての山岳地帯に生息。パキスタンのパンジャーブ地方に生息するウリアルはインドのラダックウリアル Ladakh Urialと同じ扱いをされていましたが、2016年に発刊された “BOVIDS of the World” (世界のウシ科動物)ではパンジャーブウリアル Punjab Urialとして独立種になりました。

 

パンジャーブウリアル Punjab Urial はパキスタンの固有種で、パンジャーブ州のジェルム川からインダス川の間にあるソルトレンジSalt Range(塩の山脈)とカラチッタ山脈 Kala Chitta Rangeのみに生息しています。

 

パンジャーブウリアルが生息するのは、ゆるやかな岩山の斜面があり、灌木が茂っているような場所です。

 

今回訪れたのはポトハル Potohar のコミュニティ保護区。現在、パンジャーブ州には5つのCBO (Community Based Organization)があり、その中では一番小さい保護区ですが、2017年に保護区が設立され違法な狩猟が禁止されてからウリアルの数は着実に増えているといいます。

 

尚、CBOはプライベートの保護区であり、毎年、年をとった角の大きなオスのハンティングの権利がオークションで売られ(主に外国人のハンター)、その収益がコミュニティに分配されたり保護活動に使われているというものです。いわゆる”トロフィーサイズ”と呼ばれるハンティングの対象となるオスの角は28~31インチ。同行してくれたレンジャーによると、トロフィーサイズのウリアルは12~13歳で、ほおっておいても14歳には死ぬので、ハンティングオークションによりコミュニティがうるおい、さらに他のウリアルの保護にもつながり、以前よりずっとよくなったとのことでした。

ちなみに2020年当時、ハンティングの許可は各CBOに3頭が割り当てられ、パンジャーブ州全体で年間15頭の許可を発行していました。オークションでの価格は1頭 15,000~16,000 USドルと高価なもの。確かにコミュニティに入るお金も大きくなります。ポトハルCBOでは16人のレンジャーが違法ハンティングを取り締まり、ウリアルの保護活動をしていました。

 

パンジャーブウリアル Punjab Urial の群れです。あまり大きなグループはみかけず、6~8頭くらいの小さな群れがほとんどでした。

 

パンジャーブウリアルのメスです。角は小さくまっすぐ伸びています。

 

パンジャーブウリアルの若いオスです。

 

灌木の茂みからこちらの様子をうかがっている”トロフィーサイズ”のオス。メスや若いオスの個体と違い、角の大きなオスはなかなか姿を現しません。狙われていることがわかってるようです。

 

一瞬、”トロフィーサイズ”の角をもったオスが姿を現してくれました。

 

大きく巻いた角、首の下の長毛の房、立派なパンジャーブウリアルです。

 

そしてあっという間に逃げ去ってしまいました。近年まで違法ハンティングが行われていた狩猟圧の高さを感じさせます。パキスタン北部山岳地帯のマーコールやアイベックスのように個体数が増え、コントロールされた狩猟だけが行われるようになると事態は変わってくるかもしれません。

 

家畜に追いやられ生息域を失い、高速道路により群れが分断されるなどして危機的に生息数を減らしていたパンジャーブウリアルですが、ハンティングオークションのシステム導入により保護が進んでいました。

同行したレンジャーに、ハンター以外でこの保護区に来た最初の外国人だと言われました。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Potohar CBO, Punjab

Reference : BOVIDS of the World (Princeton Field guides)

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